篠崎芽美

先輩パパとママに聞きました!

vol.122

ダンスで開く、子育ての明るい扉。「子育ても仕事も、同じお皿に入れて考える。」

プロのダンサーとして幅広い作品に参加しながら、子連れで受けられるピラティス教室や親子向けのワークショップなど、子どもや親子に向けた活動を積極的に行っている篠崎芽美さん。二児の母であるご自身の妊娠や出産について、今回はさまざまなお話を伺いました。第4回は「子育ても仕事も、同じお皿に入れて考える」です。

ダンスで開く、子育ての明るい扉。「子育ても仕事も、... ダンスで開く、子育ての明るい扉。「子育ても仕事も、...

ーー産後、お仕事の復帰はどのようにされていましたか?

篠崎
ひとりめのときは、生後3ヵ月半から稽古場に連れていきました。どうしても出たい公演があったので、それをきっかけに復帰時期を決めた感じです。稽古場は床もやわらかくて広いので、意外と赤ちゃんに優しい環境だというのも新発見でした。ダンスを生業としていたけれど出産を機に引退した、という方も以前は多かったのですが、わたしの世代くらいからは少しずつ変わってきているように思います。とはいえ、赤ちゃんを連れて稽古場に来るダンサーは、当時はわたしぐらいしかいませんでした。

お子さん

ーー赤ちゃんを連れながらのお稽古はいかがでしたか。

篠崎
自分ではそんなつもりはなかったのですが、ある日、代表の伊藤千枝子さんに、「罪悪感はいらないよ。踊りに表れてしまっているから、罪悪感を持つことをやめて」とはっきり言われて、はっとしました。言われてみれば、メンバーや子どもや夫に対して、知らず知らずのうちに負い目を感じてしまい、「すみません」が口癖になっていたんですよね。

でも改めて考えてみたら、わたしが赤ちゃんを連れて仕事をしていることに対して、メンバーからも、夫からも、一度だって不平や文句を言われたことはなかった。つまり、わたしがひとりで勝手に、罪悪感を感じてしまっていたんです。

それからは、罪悪感を意識的に手放すようにして、まわりの人たちに対しても、「すみません」じゃなくて「ありがとう」って言えるようにシフトしていく努力をしました。そうしたら、まわりと自分との関係性も、子どもを取りまく状況も、どんどんシンプルに、健全に変わっていった。罪悪感は、自分自身が勝手につくっていた余計なフィルターだったんだと気づいた出来事でした。

ーー産前と産後で、仕事の環境にはどのような変化がありましたか?

篠崎
赤ちゃんがいると24時間を自分の為に使えるわけではなくなるので、やっぱりできないことは増えました。出張ができないから地方公演は受けられないし、夜の仕事も難しい。でもそのぶん、子ども向けや親子向けの仕事が増えて、新しい扉がどんどん開いていったんです。できないことが増えたぶん、できることも増える。これはとても嬉しい発見でした。

ーー新しく始めたお仕事には、どのようなものがありますか?

篠崎
いまは、子育てをしている各方面の仲間たちと一緒に、子どもに関する3つのプロジェクトを併行でやっています。まずは「ハニカムジカ」という音楽系の親子向けイベントと、「ダンス保育園!!」という参加型のダンスのワークショップ。子どもがいるダンサーの仲間たちと一緒に、ダンスと生活の新しい関わりを提案できるプラットフォームのようなものを作りたい、という想いが原動力になっています。たとえば本番の前日にメンバーの誰かの子どもが熱をだして来れなくなったら、「さあ、じゃあ、ここからどうする?」って話し合って、臨機応変に新しいものを作っていく。子どもがいるから起きるいろんなことを、プラス方面にどんどん受け止めて、楽しみながら前に進んで行く。わたしにとって、そういう理想を実践する場でもあるんです。

親子参加型のイベント

ーーそういう考え方は、ダンスをしないお母さんやお父さんにとっても、楽しく子育てをする上での大切なヒントになりそうですね。

篠崎
わたし自身、イベントで鍛えられた精神力を日常の子育てに応用できたりもしているので、そうだったらうれしいですね。それから最後に、わたしが企画している「ヒョーゲンのメメメ」は、赤ちゃんにはまだ少し早いですが、小さな子どもに、とにかく楽しい!と思ってもらえるようなことをたくさんやってもらうためのイベントです。ダンスでも歌でも絵でもなんでもいいんですが、子どものころならではの、型にはまらない美しさ、「それってあなたにしかできないよ!」というきらめきを引き出してあげたい。専門的な知識がなくたって、指一本でもダンスはできる。その楽しさや喜びも伝えたい。表現は子どもたちが自分で好きなように爆発させるものですが、子どものなかにあるきらめきを発見してあげるのは、やはり大人の役目かなと思うので、そこをしっかりやっていきたいです。

ーー参加型のイベントがとても多いですね!

篠崎
そうですね、親と子どもがいっしょに何かを体験できる場を、なるべくたくさん作ってあげられたらいいな、と思っています。わたし自身、子どもには大人が働いている姿を見ながら育ってほしいなという気持ちが大きいんです。わたしたちが悩みながら0から1を生み出すその瞬間を、子どもにも見ていてほしい。新しい表現が生まれるときって、いつもなにかすごく華やかな事件が起きるわけじゃなくて、わりと地味だったり、ダラダラしていたりするんですよね(笑)。大の大人が寄ってたかって、端から見たらどうでもいいようなことを、あーだこーだと一日中話し合っていたりする。でも、そういうリアルな、決して生産的とはいえないような風景も含めて、子どもにはしっかり見ていてほしい。そういう日々を通して、子どもの心になにかの種を植えることができているんじゃないか、って感じるんです。

屋外でのイベント

ーーこれから新しく挑戦したいことはありますか?

篠崎
いまは親子向けの動画コンテンツを製作する準備をしています。また、ソロ作品の製作にも向き合っていこうと思います。子どもがいると、ひとりで集中する時間がなかなか取れないので難しいこともありますが、子どもからインスピレーションをもらうこともすごく多いですし、いろいろ考えてはわくわくしています。

ーー篠崎さんのお話を聞いていると、仕事と子育てを「両立」しているというよりは、仕事と子育てが混じり合って新しいハーモニーを奏でるのを楽しく聞いているような感じを受けます。

篠崎
これも「珍しいキノコ舞踊団」の伊藤千枝子さんからのアドバイスなのですが、「仕事と子育てを天秤にかけることなく、どちらも同じお皿に入れて考える」ということをいつもイメージしながら過ごしてしています。もちろんそれが難しい仕事もあるし、向き不向きもあるので、誰に対しても通じる考え方ではないかもしれませんが…、わたし自身は、なるべく自分の人生で実践できたら、と思っているんです。実際に、妊婦のときは大きなおなかで踊ったし、子どもが生後半年のときは抱っこひもで抱っこをしながら公演本番に臨みました。大変なこともあったけど、わたしにとっては本番がご褒美の場。本番で踊っているときは本当に幸せで、どんなに練習がつらくても、すべてが昇華されていくんです。これからも、自分の生き方を通して、「子どもがいても人生は失われない」ということを表現で証明していきたい。いまはむしろ、子どもがいることで新しい魂を手に入れたような感覚でいるんです。

ダッシュ!
篠崎芽美

PROFILE

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高校在学中に「珍しいキノコ舞踊団」に出演。入団後、国内外で発表された全作品に出演。 CM、MV、演劇などへの振り付け提供多数。その他、子ども連れで受けられるピラティス教室やダンスワークショップを各地で行う。2016年より子育て中のアーティストと観客を支援する「ダンス保育園!!」の発足に参画。2018年より子どもと表現をテーマにしたワークショップとパフォーマンスのイベント「ヒョーゲンのメメメ」を主催。
@memi_shinozaki

(制作 * エチカ)

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コモドライフ編集長NOTE