先輩パパとママの毎日コラムvol.416

まだまだ新米おかあさん「預ける?預けない? 子育てを任せる選択」

2021/7/9
まだまだ新米おかあさん「預ける?預けない? 子育て... まだまだ新米おかあさん「預ける?預けない? 子育て...

子どもを保育園に預けるときに少し後ろめたさを感じたという、ライター・藤沢あかりさんの「子育てを任せる選択」をテーマにしたエピソードです。

4月。桜前線の行方を追いながら、そわそわと浮き足立つ季節がくると、毎年わたしの気持ちもどこか落ち着かず、そして胸の奥がきゅーっとなります。SNSを覗くたびに、「もうすぐ職場復帰」「慣らし保育1日目」なんていう投稿を目にするからです。

初めて娘を保育園に預けたときの計り知れない不安や、心臓を体から引き剥がされるような胸の痛み、子どもにとんでもなく悪いことをしているかのような、それでいて子どもがそばにいないと感じる自由さと罪悪感、いろいろな気持ちがないまぜになったあの気持ちは、きっと一生忘れません。

川沿いのベンチにて

今では長女は保育園を経て学童へ、息子に至っては生後3ヵ月から保育園のお世話になり、土曜日に仕事が入ろうものなら遠慮のかけらもなく「土曜保育お願いします〜」とサクッとお願いしていますが、長女が産まれたときは、「保育園に子どもを預けて働くなんて、鬼のような狂気の沙汰である」と本気で思っていたものです。

が、今でははっきり思います。狂気の沙汰はわたしです。

娘を産んだときのわたしは、フリーランスへ転身したばかり。というとかっこいいですが、勤めていた会社を辞め、復帰の予定は白紙のまま出産を迎えていました。育休というタイムリミットがなく、ただただ目の前の時間だけを過ごしていた時期は、ある意味とても贅沢だったのだと思います。

沐浴中

前回、夫に育児を手渡さず全部独り占めしていたことを書きましたが、そんなわたしですから、誰かに預けたり、他人に子育てをゆだねるなんて微塵も考えませんでした。実家も遠方で、親に見てもらう機会もゼロ。そうして、職場復帰をする人を横目に見ながら、「こんなにかわいい子どもを預けるなんて、わたしにはできない」と思っていたのでした。

結果的にずるずると仕事を先延ばしにしながら、長女は一時保育を経て、正式に入園したのは2才児クラスから。幼稚園でいうと、年少さんのひとつ下、プレ幼稚園と同じころです。

ソファでお昼寝

対して5年後に産まれた息子はというと、まだ首もすわるかすわらないかというくらいの、ほにゃほにゃな生後3ヵ月から、認証保育園の一時預かりへ。もちろん寂しかったけれど、「目の前の仕事を終わらせねば!」という必死さに加えて、2人目だということで気持ちの余裕もあったのかもしれません。先生が見つけてくれる息子のいいところ、かわいい一面は、自分では気づけない視点ばかりで、それもまた楽しみのひとつでした。

さて、長い時間を家で一緒に過ごした娘と、生後すぐから預けられた息子。2人に愛情のかけ方や育ち方の違いがあるかと言われると、まったくそんなことを感じないのが正直な気持ちです。

長女のころは、全部自分で!と思っていましたが、保育園に通うことで家ではできない経験をたくさんさせてもらいました。そしてわたし自身も、他の子どもや親と接することで、いろいろな家庭と考えがあって、みんな違ってみんなかわいい!と思うようになりました(それまでは、わが子しか見えていなかった)。

預ける、預けない。いろいろな選択肢があります。わたしは結局、「預けて働く」という道を歩いてきましたが、それは決して、寂しいことでも、子どもにかわいそうな思いをさせることでもなかったと思います。

アスレチック

あるとき取材で、お迎えのとき「おそくなってごめんね」ではなく、「待っていてくれてありがとう!おかげでこんなにいい仕事ができたよ!」と伝えると、子どもはとても誇らしくうれしい気持ちになるのだと聞いてからは、延長保育ギリギリに駆け込むような日こそ実践するようになりました。子どもは、楽しく働いている親の姿を見て育ちます。もし、預けることに罪悪感や悲しみをもちながら仕事に向かっている人がいるならば、ぜひ声に出してみてください。お互いに笑顔になって、すーっと気持ちがほどけるのでおすすめです。

働いていても、いなくても。親が自分の道をまっすぐ見つめてごきげんに歩いていたら、子どもも楽しくついてきてくれると今は信じています。

藤沢あかり

PROFILE

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編集者、ライター。衣食住や子育てなど暮らしまわりを中心に執筆。主流・傍流にこだわらない視点で丁寧に取材し、分かりやすい言葉を使って伝えることがモットー。2012年、2017年、どちらも夏生まれの2児の母。
https://www.instagram.com/akari_kd/

(制作 * エチカ)

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