先輩パパとママの毎日コラムvol.487

ラフラフリアル ”すべては君に会うために”「妊娠前期」

2022/5/19
ラフラフリアル ”すべては君に会うために”「妊娠前期」 ラフラフリアル ”すべては君に会うために”「妊娠前期」

イラストレーターのシンザトマリコさんが、初めての妊娠をしたときの気持ちを綴ります。

はじめまして。シンザトマリコと申します。イラストレーターをしている、二児の母です。

この折り紙の鳥は息子が幼稚園のときに「はいっ!」とくれたもの。しあわせの鳥みたいで、今も大切にしています。いつも気持ちをまっすぐに伝えてくれる子どもたち。母になり、暮らしの中に「大好き」がたくさん増えました。

もちろん初めてだらけの育児、大変なこともたくさんありました。慣れないことばかりで特に最初の4年間は無我夢中でした。

今年で兄妹の母になり10年目になります。積み上げた過去のてっぺんに、新しい風が吹いています。今味わっているのは、自由が増えたうれしさと、少しのさみしさです。あっという間に大きくなりました。

それでも寝顔はまだあどけなく、赤ちゃんのころの面影があります。おなかすいたおなかすいたとさわぐのは背がずいぶんと伸びた今も、小さなころと変わりません。巣立ちの日々まで、腕まくりはつづきます。

「ママ、今日のごはんなぁに?」「あのね、ママ、今日学校でね…」

時には疲れたり、へこたれたりしながらも大好きがいっぱいのこの賑やかな暮らしを楽しみたいと思います。

出産前から、日々を書き綴ってきた手帳やノート出産前から、日々を書き綴ってきた手帳やノート

気付けばずっと「おかあさん」に憧れていました。

雑貨屋で見つけた、スミレの花とミツバチの刺繍が施された手作りのベビーシューズ。まだ結婚や出産の予定もなかったのに、つい買ってしまうようなわたしでした。春の日だまりが形になっているみたいで、見るだけで心がほころんだのです。

スミレの花とミツバチの刺繍が施された手作りのベビーシューズ

でも「おかあさん」ってなんだろう?おやつに手作りのアップルパイを焼く。記念日にはお子さまランチを作る。ふわふわの頭を撫でてやり、チクチクと子どものための縫いものをする。わたしには、そんな夢みがちな「おかあさん像」があったかもしれません。

26才で結婚。それから、楽しいこと、うれしいこと、悲しいこと…いろいろなことを体験し、大切な人生経験を積みました。そして結婚2年半目の初秋、待望の妊娠が判明。28才最後の日のことだったので、29才は「おかあさん」の始まりでした。

けれどすぐ、喜びと同じくらいの不安がわたしを包み込みます。夢みがちだった自分はどこへやら!全神経を総動員してピリピリと日々を過ごすナーバスな妊婦でした。トンネルの中を小さな光に向かって何とか歩くような日々。

つわりもやってきました。十人十色と言われていますが、わたしの場合そこまで重症じゃなかったものの常にだるくて、眠くなりました。食べ物に関しては鍋物の湯気や焼き魚など、和食が無理になり料理も全くやる気が起きません。このとき、仕事でマンガの連載をしていたのですが、集中力が湧かず大変でした。しかもマンガのテーマは「季節のごはん」。ちょうど<鍋物>の回を仕上げており、絵に描いたモチならぬ、絵に描いた湯気にウウッと悩まされたものです。

3ヵ月が過ぎるころ、ようやくつわりが落ち着いてきた気がしました。同時にネガティブだった心も明るさを取り戻し始めます。そして、持ち前の「食い意地」も復活してきたのが何より元気の合図!あれやこれやと食べたいものを思い巡らせ、妊娠前期の検査で血糖値が引っかかるほど食欲が出てきました。(血液検査の前に病院のレストランでクリームソーダとミックスサンドイッチを食べてしまったうっかり者…!再検査は問題なし)。

朝昼晩食べたもの、体重など記録したノート。読み返すとなかなか楽しい。「くいしんぼう妊婦」、中期・後期は体重管理との戦いでもありました朝昼晩食べたもの、体重など記録したノート。読み返すとなかなか楽しい。「くいしんぼう妊婦」、中期・後期は体重管理との戦いでもありました

健診で「赤ちゃん、順調ですよ!」と言われるたびホッとし、胸を撫で下ろしました。最初は自分の心と体の変化についていくだけで必死だったけれど、少しずつ赤ちゃんとの明るい未来が見えてきたのです。

季節は冬になり、山登りの峠の茶店みたいな「安定期」というひとつの目標にたどり着きます。好きな場所へお出かけすることでリフレッシュになり、ますます気力も充実!無理のない程度で気分転換することはとっても大切だなと思います。

ある日、久しぶりの遠出で大好きな軽井沢へ行きました。母と夫という安心のメンバーで、美しいフランス自然料理を味わい、森の中の教会へ。雪がはらはらと舞っていて、スノードームの中みたいにとても幻想的でした。わたしと、おなかの赤ちゃんと、世界が調和しているような優しい時間。「こういう時間を過ごしたかったの…!」とうれしく思ったのを覚えています。(これはひとり目妊娠中ならではの、優雅なマタニティタイムでした…)

おなかの中に「世界でいちばん会いたい人がいる」不思議な感覚。君はどんな子なんだろう?この世界に現れる日を想像するだけでワクワクするのでした。

さて、タイトルの「ラフラフリアル」は、子育ての現実は大変なこともいっぱいあるけれど、深刻になりすぎず、「ラフ rough」=大ざっぱ、自然体、「ラフ laugh」=笑い で行こう!という思いでつけました。

シンザトマリコ

PROFILE

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イラストレーター。カメラマンの夫、小学生の兄妹と4人暮らし。インスタグラムでは子育てにまつわるイラストエッセイを更新。サリー・M・ローズマリーという名前で魔女修行エッセイも綴っている。
https://www.instagram.com/nonohanadesign

(制作 * エチカ)

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