先輩パパとママの毎日コラムvol.508

火山のふもとで深呼吸「夫婦の役割分担どうしてる?」

2022/8/9
火山のふもとで深呼吸「夫婦の役割分担どうしてる?」 火山のふもとで深呼吸「夫婦の役割分担どうしてる?」

浅間山の裾野に家族5人で暮らすピラティスインストラクター前村詩織さんファミリー。10才差の兄妹3人の子育てと家事、夫婦間でどうやりくりしているのでしょうか?

赤ちゃんが家にやってきたその日から育児がスタート。赤ちゃんが成長するにつれ、愛しさとともに加速度的に増えるのが、それまで当たり前のようにこなしてきた家事の量!洗濯の回数は増え、自分たちの食事に加えて離乳食も作り、はいはいであちこち移動する赤ちゃんのために掃除機はこまめにかけるようになり…気がつくと、朝から晩までひと息つく暇もなく、自分のためにお茶を淹れることもできないで1日が終わる、なんてよくあること。家事も育児も一人で抱え込んでいてはパンクしてしまいます。

何でも手づかみで食べる蕗ちゃん。食事の後はもちろんテーブルも床もベタベタです。何でも手づかみで食べる蕗ちゃん。食事の後はもちろんテーブルも床もベタベタです。

家計、家事、育児…家族で生活するうえで生じる負担を夫婦でどう分かち合うのか。どの夫婦も一度はぶつかるテーマではないでしょうか。私の周りを見渡しても、四苦八苦している夫婦は数知れず。そして解決方法は夫婦の数ほどあったように思います。

ある夫婦は、家計に入れる金額と家事・育児にかける時間の割合を反転させることで合意していました。たとえば、家事・育児を妻が6割、夫が4割負担しているなら、家計負担は妻4割、夫6割という具合です。またある夫婦は、リビングにホワイトボードを掲げて、保育園への送迎やご飯作りなどのタスクを曜日ごとに名前を書き込んで管理していました。

そして我が家はといえば…親になって11年の間に、どちらかが無理をし、不満を溜めて、ケンカが勃発して、2人で話し合い、うまく回るようになって、でもまた無理が生じて、ケンカして、と、その繰り返し。夫は一人暮らしが長かったこともあり、私より生活能力が高く、料理も掃除も上手で、裁縫やDIYまでこなす、理想的なパートナーだったにもかかわらず、です。

朝食は夫が焼く絶品カンパーニュ。東京でもときどきベーグルを焼いていたけれど、長野に来てからどんどん本格的に。子どもたちが「パパパン」と呼ぶ。朝食は夫が焼く絶品カンパーニュ。東京でもときどきベーグルを焼いていたけれど、長野に来てからどんどん本格的に。子どもたちが「パパパン」と呼ぶ。

お互いに会社員で、忙しくしながら小さい子どもたち2人を育てていた頃は、とにかく余裕がありませんでした。毎日朝から晩までバタバタ、とくに夕方帰ってから寝かしつけまでの時間は戦いのよう。疲弊した私は、なんとか納得できる分担の落とし所を見つけたくて「子どもの歯磨き」から「保護者会への出席」に至るまで、"名もなき家事"も含めたすべてのタスクとその頻度をエクセルに書き出して、ポイント化して、「私が66%も負担してる!」なんて話し合いに持ち込んだこともありました。話し合いは見事に決裂。今振り返れば、私目線で作ったリストを突きつけたらケンカになるに決まっています。それに気がつかないくらい、当時は何とか負担を半々にしようと必死でした(タスクの見える化が悪いのではなく、私のコミュニケーション方法に問題があったということです)。

当時作ったタスクシート。見ているだけで胃がキリキリ痛みます。当時作ったタスクシート。見ているだけで胃がキリキリ痛みます。

今は解決した!とはとても言えませんが、10年前に比べたら、さすがにケンカすることは少なくなりました。上の子どもたちが大きくなってよく手伝ってくれるようになったこと、フリーランスやリモートワークになって時間の融通が効くようになったことも大きいですし、何より、たくさんの摩擦や話し合いを経て、お互いに見えないところで家族のためにしていることが山ほどあると腑に落ちたからです。

私が夕飯を作っている間に夫が蕗ちゃんの遊びに付き合っているところ。逆パターンもよくあります。私が夕飯を作っている間に夫が蕗ちゃんの遊びに付き合っているところ。逆パターンもよくあります。

長野に移住してからは、それがより目に見えるようになりました。なにせ、いつだって暮らしの仕事が山積みなのです。暖をとるにしても薪の調達から始まります。鶏の世話、庭や畑の管理、DIYも次から次へと。夫は田んぼを始めてみたり、山仕事に出かけたり。その間、私は蕗ちゃんや他の子どもたちと遊んだり、田んぼで合流したりと、お互いに得意なこと、やりたいことをやって、家族の暮らしが回ればそれでOK!というものすごく大雑把な感じでやっています。

「世界全体が壮大な役割分担」とは達観した友人の名言ですが、細かなタスクをもれなく書き出すミクロの視点と同時に、そのくらいマクロな視点も持っていたいものです。

前村詩織

PROFILE

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ピラティスインストラクター。日本で十数名しか保有していないオーストラリアのピラティス国家資格を取得し、ASICS Sports Complex TOKYO BAYなどでクラスを受け持つ。2020年長野に拠点を移し、フリーのインストラクターとして働きながら一男二女の子育て中。
https://www.instagram.com/shiorilates/

(制作 * エチカ)

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