東京都品川区から長野県御代田町（みよたまち）への移住の経緯については最初の記事に書きました。我が家の移住ストーリー最大のポイントは、５つの家族で一緒に大きな土地を手に入れたことでしょうか。東京でつきあいがあった友人たち家族と共同で土地を購入し、同じ敷地内にそれぞれ家を建てて暮らしています。我が家が一番先に完成し、今夏には５棟目となる友人宅が竣工予定です。

５家族全員が最初から知り合い同士だったわけではなく、このプロジェクトで初めて会ったメンバーもいます。土地を購入してから実際に住み始めるまで、山あり谷あり、３年以上の年月を過ごしただけあって、今ではすっかり運命共同体になりました。

スープの冷めない…どころか、まだぐつぐつ沸騰しているくらいの距離にライフスタイルの近い友人家族が住んでいるというのは、何につけても心強いこと。それも、ほとんどが同じ年頃の子どもたちがいる子育て世代です。

仲間のお誕生日をみんなで集まってお祝い。端っこにいる蕗ちゃんもこの後、ケーキにありつきました。

蕗ちゃんも生まれたときから仲間たちにたくさん抱っこしてもらっています。私が産後２ヵ月で仕事復帰ができたのも、まだ保育園に入れないほど小さい蕗ちゃんを快く預かってくれた友人がいたからです。保育園が始まるまで毎週お世話してくれていたので、「今日の蕗ちゃん、便秘していておなかが苦しいんじゃない？」なんて私では気がつかないようなことにまで気がついてくれました。

産気づいたとき、出張中の夫に代わり病院まで運転してくれたのもこの友人でした。産後も、あまり家事ができないときにお惣菜を作って届けてもらったり、私の帰りが遅くなるときに子どもたちが夕飯を分けてもらったり、お風呂に入らせてもらったり。友人たちには本当に助けられています。我が家にもよく友人の子どもが泊まりに来ていて、子どもたちはみんなで育てよう、という空気があります。移住後、子育てがぐんと楽になったのはそのためです。

お隣のおうちのお姉ちゃんにおんぶされて、蕗ちゃんも子どもたちの遊びに混ぜてもらいます。

助け合うのは大人だけではありません。子どもたちも血縁を超えてきょうだいのように育っています。あっちの家、こっちの家と自由に行き来して、遊ぶときもケンカするときもまったく遠慮がありません。子どもたちの間で一番小さな蕗ちゃんはみんなのマスコット的な存在。かわいがってもらっているので、蕗ちゃんはお兄ちゃん、お姉ちゃんがたくさんいると思っている節があります。いつもお世話してくれる隣のおうちのお姉ちゃんがやってくると、おんぶをせがみます。

土地の真ん中には５家族共有のエリアがあります。毎月決まった日を「共同作業日」とし、土地に暮らす全員が集まって作業をします。大人たちは薪の整備やDIY、子どもたちは土地のゴミ拾い。昨年は、子どもたちが遊べるように遊具を作りました。といっても、木の幹に吊るしたロープのブランコと、丸太を埋め込んで不規則に並べただけのワイルドな遊び場ですが、子どもたちは競うように遊んでいます。

大人も子どもも赤ちゃんも、ごちゃ混ぜになって、よく遊び、よく働き、みんなでワイワイ食べ、そして眠る。そんな中で生活していると、図らずも拡張した家族のようだなと感じます。こんな環境で育つ蕗ちゃんは、さぞかしオープンな人間になるんじゃないかなあ。

誰が作るご飯でもパクパクよく食べる蕗ちゃんです。いろいろなおうちの味、たくさんの人たちの抱っこやおんぶに育まれています。

PROFILE

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ピラティスインストラクター。日本で十数名しか保有していないオーストラリアのピラティス国家資格を取得し、ASICS Sports Complex TOKYO BAYなどでクラスを受け持つ。2020年長野に拠点を移し、フリーのインストラクターとして働きながら一男二女の子育て中。
https://www.instagram.com/shiorilates/

(制作 * エチカ)