子育てエール!専門家による、ママパパ応援コラムvol.134

妊娠中期に訪れる「安定期」とはどういった状態? 判断の基準、安定期にできること・気を付けることとは

2022/6/22
妊娠中期に訪れる「安定期」とはどういった状態? 判... 妊娠中期に訪れる「安定期」とはどういった状態? 判...

「安定期になったから〇〇したい」「安定期まではつらかった」といった話を聞くことがありますが、そもそも「安定期」とはどのような状態なのでしょうか。安定期とは何か? 安定期と判断する基準、安定期の過ごし方で気を付けたいことなどを産婦人科医の天神尚子先生に詳しく教えていただきました。

安定期とは?

医学的には「安定期」という言葉、時期はありませんが、一般的には流産のリスクが少なくなり、つわりも落ち着き活動しやすくなる妊娠5ヵ月ごろ~7ヵ月ごろ(16週~27週)が「安定期」と言われています。しかし、安定期と言われている時期もトラブルが生じる可能性がありますし、体調は人それぞれであるため、厳密に「安定期はいつからいつまで」と決まっているわけではありません。

安定期の判断

楽しく話している夫婦

妊娠5ヵ月ごろ~7ヵ月ごろ(16週~27週)が「安定期」と呼ばれる理由は、妊娠15週ごろに胎盤が完成して早期流産の可能性が低くなるためです。ママの体もホルモンバランスが安定するため、つわりも落ち着いてきます。体調が安定してくるだけでなく、妊娠18~22週以降には胎動を感じるようになり、お腹も少しずつ目立ち始めるので、家族が増える喜びや母親になる実感がわき、精神的にも安定する時期と言えるでしょう。そのため、妊娠期を楽しむ余裕も出てきます。

安定期に入るとできること、気を付けること

お出かけしている妊婦さん

安定期に入ると、妊娠初期よりもアクティブに過ごしたいと前向きな気持ちになる妊婦さんも多いでしょう。でも、安定期と言っても妊娠中のママの体はとてもデリケートなので、無理は禁物です。日常生活の過ごし方について、ポイントをまとめました。

安定期の日常生活でできること・気を付けること

●買い物
妊婦健診で自宅安静などの指示が出ていなければ、近所のお店に食材や日用品を買いに出かけましょう。ただし、重い荷物を持つとお腹が張りやすくなるので控えてください。もし、外出中にお腹の張りが気になったら、座れるところを探して少し休みましょう。

また、安定期はお腹がふっくらとしてくる時期です。気分が良い日はマタニティ服を買いに行くのも良いでしょう。この時期から、出産・育児グッズのリサーチ・購入を始めると、妊娠後期に慌てなくてすみます。

●仕事
妊娠初期に思うように仕事ができなかった方にとって、安定期は動けることが心地よく感じられるでしょう。そのため、つい頑張り過ぎてしまうかもしませんが、基本的に無理をしないことが大切です。妊娠中は周囲の人に協力してもらいながら、あくまで体調優先で取り組みましょう。

●家事
体調が良いときに家事をすることは問題ありませんが、お腹に負担をかけないような動作を意識しましょう。お腹が張った時は、無理をせずに休んで。産後しばらくは昼夜問わず赤ちゃんのお世話で忙しくなります。今のうちからパートナーが家事をひと通りできるようにしておけるといいですね。

●運動
妊婦健診で問題が指摘されていなければ、適度に体を動かす習慣をつけましょう。妊娠中は激しい運動ではなく、軽度の有酸素運動がおすすめです。適度な運動はストレスの解消や分娩に向けた体力づくりにつながりますから、調子の良い時は自分のペースで手軽に行うことができるウォーキングやストレッチ、マタニティヨガを行うといいでしょう。マタニティヨガなどのスクールに通うと、同じ時期に出産するママ友を作る上でも役立ちます。

また、運動のし過ぎにも注意し、運動後は休息することも忘れずに。体調が気になるときは「途中でやめる」「今日は運動するのはお休みしよう」など、体調に合わせて柔軟に取り入れることが大切です。

●旅行
旅行など、長時間の移動を予定している人は必ず主治医に相談し、ゆとりのあるスケジュールにしましょう。出かける際は、必ず母子健康手帳、健康保険証、病院の診察券を携帯してください。また、出血や破水したときのために、大きめのナプキンも用意しておくといいでしょう。

観光地は近くに病院がない場合もあり、さらに海外の場合は言葉の壁もあります。観光目的の計画は主治医に相談した上で慎重に検討し、「体調次第で中止もありうる」といった柔軟な気持ちでプランを立てましょう。

最近では、赤ちゃん連れで宿泊できるホテルや旅行プランも増えています。「旅行は安定期のうちに!」と焦って無理な計画を立てるより、発想を変えて産後に家族旅行を楽しむ方法もありますよ。

●食事
安定期は、つわりの症状が落ち着くので、食欲が出てくる時期です。おいしく食べられるのは嬉しいことですが、食べ過ぎには注意。体重増加による妊娠高血圧症候群などの合併症を引き起こしたり、出産の際のトラブルにもつながったりする恐れもありますから、体重管理には十分注意しましょう。

反対に、妊娠中に栄養不足で痩せてしまった、極端な偏食で栄養が偏ってしまったという妊婦さんもいます。栄養不足の状態になると、お腹の赤ちゃんに十分な栄養を送ることができず、胎児発育不全に陥る可能性があります。体重が極端に増えたり減ったりしないように、日頃からバランスの良い食事を心がけてください。

まとめ

どういうお産をしたいのか、どのように育てたいのかパートナーと考えたり、入院準備や出産・育児用品を整えたり、やらなければいけないことがあれば安定期にしておきましょう。散歩や妊婦体操、ちょっとした旅行などで身体を動かすのは良いのですが、流産などの危険性が全くなくなったわけではありませんから無理は禁物です。妊娠中は疲れやすいので、お腹の赤ちゃんのことも考え、体を労ってくださいね。

天神尚子

PROFILE

天神尚子このライターの記事一覧

産婦人科 | 三鷹レディースクリニック院長
日本医科大学産婦人科入局後、派遣病院を経て、米国ローレンスリバモア国立研究所留学。その後、日本医科大学付属病院講師となり、1995年5月から三楽病院勤務。日本医科大学付属病院客員講師、三楽病院産婦人科科長を務めた後、退職。2004年2月2日より、三鷹レディースクリニックを開業。

RELATED 関連情報はこちらから

RANKING アクセスが多い記事をランキング形式でご紹介。

妊娠・出産・育児は、
わからないことがいっぱい。
悩み過ぎず、自分のペースで
行える育児のカタチを紹介していきます。
コモドライフとは?