子育てエール!専門家による、ママパパ応援コラムvol.131

産後に慌てない為に!産前から知っておきたい各種手続き8選【助産師がアドバイス】

2022/5/13
産後に慌てない為に!産前から知っておきたい各種手続... 産後に慌てない為に!産前から知っておきたい各種手続...

出生届、健康保険加入、児童手当など、出産後は、さまざまな手続きが必要です。出産後、ママは赤ちゃんのお世話で大変になるので、妊娠中に夫婦で確認しておくことがおすすめです。どんな手続きがあり、いつまでに何をすればいいのか、一児のママであり、「助産師サロン」を運営する助産師の高杉絵理さんに教えてもらいました。

産後に必要な手続きについて

パソコンを見ながら電話をする妊婦

出産後に必ず申請・届け出をしたいのは5つ。期限が設けられているものもありますから、必要なもの、届け出先などを事前にチェックしておいてくださいね。

1. 出生届

赤ちゃんが産まれた当日を含め、14日以内に提出します。出生届には「出生証明書」欄もあり、この欄は出産に立ち会った医師や助産師に記入してもらうことになります。退院後住んでいる自治体の窓口に提出しましょう。

里帰り先で出産した場合は、現地でも手続きができます。

〈手続きの期間〉
出生から14日以内

〈必要なもの〉
出生届、母子健康手帳、届出人の印鑑

〈届け出先〉
子どもの出生地・本籍地、届出人の居住地のいずれかの市区町村役所

〈届け出人〉
原則として父または母。父・母が届け出できない場合は、1.同居者、2.出産に立ち会った医師・助産師、3.父・母以外の法定代理人の順で届け出てもよい。

2. 健康保険加入

赤ちゃんが生まれたら、両親どちらかの扶養として健康保険に加入させます。1ヵ月健診時に必要になるので、できるだけ早く作成しましょう。

親が社会保険に加入している場合は勤務先で加入の手続きをします。必要書類は加入している保険協会によって異なりますから、勤務先で確認してください。

国民健康保険の場合は、居住地の役所・役場の窓口で手続きをします。出生届と同時に手続きをするとスムーズです。

〈手続きの期間〉
出生後、できるだけ早く

〈必要なもの〉
社会保険:申請書、扶養者本人の確認書類、扶養者と本人のマイナンバー
国民健康保険:申請者の健康保険証、申請者のマイナンバーカード(なければ通知カードなどの番号確認書類と運転免許証などの身元確認書類)、母子健康手帳(「出生届出済証明」蘭に記入があるもの)
※加入している健康保険、自治体によって規定が異なるので、事前に確認を。

〈届け出先〉
社会保険は勤務先・社会保険協会、国民健康保険は居住地の(住民票のある)役所

〈届け出人〉
父・母のどちらか

3. 乳幼児医療費助成

赤ちゃんの医療費を自治体が助成してくれる制度。自治体によって、助成の受け方や金額、子どもの対象年齢が異なります。児童手当の申請とともに手続きをして、早めに医療証を入手しておきましょう。

里帰り先で、住民登録のある地域と別の地域の病院を受診した場合、医療費は自費(保険証があれば保険適応)になりますが、あとから払い戻しの申請をすれば助成されます。しかし、予防接種に関しては自治体によっては助成がない、もしくは全額助成にならない場合も。長期で(2ヵ月以上)里帰りする場合は、事前に居住地の自治体の役所で確認しておきましょう。

〈手続きの期間〉
出生後、できるだけ早く

〈必要なもの〉
印鑑、医療費助成申請書、出生届出済照明が記入された母子健康手帳、赤ちゃんの健康保険証、自治体によっては申請者の個人番号(マイナンバー)が確認できるものが必要な場合も

〈届け出先〉
居住地の(住民票のある)市区町村の役所

〈届け出人〉
父または母

4. 児童手当

0才~中学卒業までの子どもがいる世帯を対象に、国からお金を支給する制度。所得制限の限度額未満の場合、3才未満までは月額15,000円、3才からは月額10,000円(第3子以降は15,000円)になります。申請者の所得が限度額以上の場合は、年齢に関わらず、特例給付として一律5,000円となります。

申請が遅れるとさかのぼってもらうことはできないので、出生届の直後に申請するのがおすすめです。

〈手続きの期間〉
出生月の月末(月末生まれや震災などやむを得ない理由により手続きができなかった場合は、出生の翌日から15日以内)

〈必要なもの〉
印鑑、児童手当認定請求書、申請者の振込先の口座番号、申請者の健康保険証の写し、申請者と配偶者のマイナンバーカード(なければ通知カードなどの番号確認書類と運転免許証などの身元確認書類)

〈届け出先〉
居住地の(住民票のある)市区町村の役所

〈届け出人〉
父または母

5. 出産育児一時金

加入している健康保険から入院・分娩費として出産児1人につき42万円が支払われます(妊娠4ヵ月以降の流産・死産も対象)。支給方法は、産院がママに代わって健康保険に申請を行い、直接産院にお金が支払われる「直接支払制度」が基本。この場合、妊娠中に産院で直接手続きとなるのでラクですね。

ただし、小規模の医療機関では、ママが事前に申請を行う「受取代理制度」の場合も。退院時に、入院・分娩費を自分で支払った後、健康保険に申請してお金を振り込んでもらう「産後申請方式」もあります。

〈手続きの期間〉
直接支払制度・受取代理制度→妊娠中、産後申請方式→出産後(退院後)

〈必要なもの〉
出産育児一時金支給申請書、直接支払制度に対応していないことの証明書、出産費用の領収・明細書の写し、マイナンバーカード(なければ通知カードなどの番号確認書類と運転免許証などの身元確認書類)、申請者の振込先の口座番号、健康保険証、印鑑

【直接支払制度】
妊娠中:意思確認証
差額申請時:健康保険証、母子手帳(写し)、申請者の振込先の口座番号、印鑑

【受取代理制度】
出産育児一時金支給申請書(受取代理用)、母子手帳(写し)、健康保険証、印鑑、申請者の振込先の口座番号

〈届け出先〉
【産後申請方式】・【受取代理制度】
社会保険の場合:社会保険協会
国民健康保険の場合:居住地の(住民票のある)市区町村の役所

【直接支払制度】
産院(差額があった場合は、産後、社会保険協会に申請)

〈届け出人〉
出産する本人(専業主婦などで被扶養者の場合は夫)

必要に応じて申請するものもチェック!
ほかにも妊娠、出産で高額の医療費を払った人など、場合によって申請できる制度があります。妊娠中に調べておき、必要に応じて利用しましょう。

6. 未熟児養育医療給付金

小さく生まれるなどして、入院養育の必要があると診断された場合、条件を満たせば、入院・治療費が公的負担に。世帯所得に応じて、一部自己負担になることがあります。

〈手続きの期間〉
医師からの証明などが必要なので病院からの指示を待ちます。こちらは病院に確認してからのほうが良いでしょう。

〈必要なもの〉
未熟児養育医療給付申請書、未熟児養育医療意見書、母子健康手帳、世帯調書、子どもの健康保険証、乳幼児医療費受給者証、マイナンバーカード(なければ通知カードなどの番号確認書類と運転免許証などの身元確認書類)、印鑑など(自治体によって異なる)

〈届け出先〉
居住地の(住民票のある)役所、保健センターなど(自治体により異なる)

〈届け出人〉
父または母

7. 高額療養費

切迫流産・切迫早産の治療や帝王切開分娩など、健康保険が適用される治療で、1ヵ月間に自己負担限度額を超える医療費がかかった場合、超過分を申請して後から受給できる制度。予定帝王切開など、事前に多額の医療費がかかるとわかっている場合は「健康保険限度額適用認定証」をもらっておきましょう。

〈手続きの期間〉
診察日の翌月~2年以内

〈必要なもの〉
通常:高度医療費支給申請書、医療費の領収書、健康保険証、印鑑など
事前認定の場合:健康保険限度額適用認定証、健康保険証

〈届け出先〉
社会保険の場合:加入している社会保険協会
国民健康保険の場合:居住地の(住民票のある)市区町村の役所

〈届け出人〉
出産する本人

8. 出産手当金(働いているママ)

出産前後の働けない期間の生活を支えるため、加入している健康保険から、休業補填に当たる出産手当金が支給されます。ただし、もらえるのは産休終了後です(産休の途中から提出することが可能な場合も)。育休手当なども含めて、産後に必要な手続きは産休前にまとめて職場で確認しておきましょう。

〈手続きの期間〉
産前・産後休業開始の翌日~2年以内

〈必要なもの〉
健康保健出産手当金支給申請書(産院と事業主に必要事項を記入してもらう)、健康保険証

〈届け出先〉
社会保険協会

〈届け出人〉
出産する本人

家族での話し合いは産前にしておこう

夫婦でパソコンを見ながら相談している様子

産後はママの身体を少しでも休めることが大切ですし、役所の手続きは時間がかかることも多いですから、必要な手続きの1~4と6は、パパに積極的にしてもらうのがおすすめです。産後の手続きについては、里帰りするしないに関わらず、夫婦で事前に話し合い、調べて、誰がいつ出すかなども含めリストアップしておきましょう。

また、パパとママで住所地が違う場合があります(住民票が異なる、世帯が別など)。その場合、手続きの種類によってパパ・ママどちらの住所地で必要になるかが異なります。特別な事情がなければ妊娠中に入籍や住民票の移動は済ませておいた方がスムーズです。

まとめ

出産したらママの体はすぐに元通りというわけではなく1、2ヵ月かけてゆっくり回復していきます。そして、不眠不休で慣れない育児も始まり、睡眠不足やホルモンの影響でぼんやりすることも。妊娠中に、産後に必要な手続きはリストアップしておきパパと役割分担しておきましょう。パパにとっても、親として初めての大切な役割を果たす機会の一つです。家族で協力して準備、手続きができるといいですね。

高杉絵理

PROFILE

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看護師、助産師、保健師の資格を取得。総合周産期母子医療センターの産科やNICU、産科クリニックで経験を積む。現在は世田谷区の保健センターで妊婦さんやママたちの相談業務に携わる。助産師にオンラインで相談できる「助産師サロン」も運営。自身も1児の母として育児に奮闘中。 オンライン助産師サービス「助産師サロン」

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