無理をしない。そう思うようになった最初のきっかけは、コロナ禍の妊活だったと思います。自分ではどうにもできない流れのなかで、強制的に無理ができない環境になったのは大きかった。“今大切なこと”というのを、よりシンプルに意識させられたことは、親になる前に経験できてよかったなと思っています。

さらには妊娠中も産後も体調が辛い時期が続いたので、物理的にも無理はできませんでした。そんななかで、夫からは頼れるサービスがあるなら利用してほしいとお願いされました。しかし、もともとの私は、全てにおいてフルスイングが基本。来る仕事は全部受けたいし、仕事をいただけることが嬉しくて楽しくて、生活の中心でした。若さゆえなのか、前のめりというか、今よりずっと肩に力が入っていたように思います。それに、妊娠前は妙なところにこだわりが強くて、少し神経質なところもありました。その性格はつわり期にピークを迎え、臨月に向けて徐々に穏やかになり、出産で半分くらいは産み落としてきた気がします（笑）。親になって色々なことが変わりましたが、性格がおおらかになったとも感じています。

まだひとりでは生きられない息子のことが最優先になったのは、体力的にも時間的にも無限ではないと気づき、残りの人生の時間を初めて意識したからでした。母となったわたしは、倒れるわけにはいかないなぁと。だから、夫が言うように、頼れる便利アイテムはどんどん使おう！と振り切りました。いろいろな情報があふれるなかで、悩んでいる時間ももったいないと思い、育児便利アイテムはトライアンドエラーの意識でどんどん利用してみることにしました。

生活ががらりと変化して戸惑うことも多かったですが、朝起きて、自分の家のリビングに赤ちゃんが寝ている姿は、新鮮で毎日幸せな気持ちでした。

生後半年くらいまでは、子どもが寝ている隙間時間に読書の時間は持てたので、気になった育児書を読んだり、夫にも読んでもらって、感想や意見を話し合ったりもしました。助産師さん主催のオンラインサロンで、先輩ママさんや同じくらいの月齢のママさんと定期的に会話したり話を聞くことができたのも助かりました。月齢が低いころは外出も大変なので、私にとってオンラインサロンは便利でありがたい存在でした。

育児の分担は特に話し合いで決めることもなかったのですが、沐浴は夫が担当。授乳も好きだったようで、平日の夜間以外、日中の仕事に支障が出ないくらいの範囲で夫が担当しました。家事は、手を抜いてもいいところは抜くと決めたので、お惣菜やミールキットを頼るようになりました。もちろん便利家電もフル活用！掃除は、平日は最低限でOKとして、週末に大人２人がいる時間にやることに。でも、新生児のころは息子の生活リズムがみるみる変わる時期だったので、決めるというよりは常にすり合わせです。

祖母とは90才ちがい。

もともとふたりとも料理が好きだったこともあり、ぬか床や発酵食品を育てていたりもしましたが、産後にはチューブの生姜とニンニク、シーズニングなどを常備するようになりました。今も丁寧に大切にしたい気持ちは変わらないですが、息子を育てなければという大仕事も食い込んできたので、模索中です。大人のふたり暮らしでの家事は、暮らしを整えるイメージ、赤ちゃんのいる今は、生きること（生かすこと）というイメージ。でも、そろそろ息子が大人と同じ食事ができるようになってきたので、また少しずつ色々なことに挑戦してみたいし、やりたいこともたくさん。息子の成長が楽しみです。

お座り練習中の息子。

PROFILE

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1985年埼玉県所沢市生まれ。活発で男の子のような幼少期を過ごす。高校生まではスポーツ少女だった一方でものつくりが好きだった母の影響から、絵画や造形、映画に興味を持つようになる。大学は日本大学芸術学部写真学科に進学。卒業後、広告代理店制作部勤務。フォトグラファーを志し、広告フォトグラファーアシスタントを経験。2013年からの２年間はバンコクを拠点とし活動。2015年からは東京を拠点とし、人物写真、料理写真、ウェディングフォト、ファミリーポートレートなど女性らしいあたたかみのある写真を得意として幅広く活動中。
https://www.chisatoyamagami.com/

(制作 * エチカ)