先輩パパとママの毎日コラムvol.596

父親、やらせていただくことになりました「記憶すること。記録すること」 

2023/11/8
父親、やらせていただくことになりました「記憶するこ... 父親、やらせていただくことになりました「記憶するこ...

編集者として活躍中の池田圭さんによる新連載がスタート。仕事そっちのけで溺愛中という愛娘さんとの日々を紡いでいただきます。初回のテーマは「記録と記憶」についてです。

我が家に待望の娘がやってきて、早1年が経とうとしています。父親になることがわかってからの日々は、文字通り、時間が飛ぶように過ぎ去っていきました。このまま流れに身を任せて、毎日を過ごすのも悪くないのですが、ここらで1度立ち止まって、子どもができてからの2年弱の記憶を記録してみようかと思います。

足も手も、日に日に大きくなる。この大きさなのは、その日だけ。足も手も、日に日に大きくなる。この大きさなのは、その日だけ。

私の仕事は、フリーランスの編集者です。基本的には毎日家にいて、娘と近所をお散歩したり、朝風呂に入ったり、ゴロゴロしながら一緒に絵本を読んだりして過ごし、その隙間で仕事をしています。取材に出かける時は、山に登ったり、海で釣りをしたり、キャンプをしたり、お店で美味しいご飯を食べて感想を書いたりしています。仕事内容を文字に起こすと、我ながらなんとお気楽な仕事なのでしょう…。

しかし、この仕事の本当に素晴らしいところは、たくさんの人に会って、お話を伺う機会に恵まれていることです。とある作家の方にインタビューをした際には、職権を濫用して子育てについてアドバイスを求めてみました。

曰く、「子どもがなにをしたか、どんな1日だったのか、日記でも走り書きでもいいから記録しておいた方がいい。楽しかった出来事は案外細かいことで、そういうことってすぐに忘れてしまうものだよ」とのこと。

写真家の方に質問した時も、全く同じようなアドバイスをもらいました。 「スマホでもいいから、とにかく写真や動画をたくさん残した方がいい。あとから欲しくなっても、絶対に撮り直すことはできないから」

なるほど。記録をつけるのか。私はその日から妊婦の妻と過ごした時間を、そして娘が産まれてからは3人の毎日を、日記や写真に記録し始めました。

母がつけていた私の育児日記。母がつけていた私の育児日記。

改めて当時の日記や写真を見返してみると、人生の先輩方の素晴らしいアドバイス通り、すっかり忘れてしまっていた記憶が次々と蘇ってきます。

私は元々、記念撮影が苦手で、楽しいことは自分が覚えていればいいやと思って生きてきました。しかし、娘ができてからは、毎日すごい速度でやらなければならないことが次々にやってきて、楽しかった出来事の全てを覚えておくことはできません。当然、人に伝えることもできません。

そこで、我が家は記録用に写真や動画を共有できるアプリを使うようになりました。おなかの赤ちゃんの成長具合や子どもの様子を、親兄弟などグループ参加者に知らせられるので、わざわざ個別に送る必要がなく便利なのです。さらに、参加者は誰でも日記のようなコメントがつけられるし、それぞれが撮った写真をアップしてくれるので、家族みんなで1つのアルバムを作っている感覚です。

じつは両親に妊娠の報告をした時に、妻は母から私が生まれた当時の育児日記を手渡されたそうです。そこには私が生まれるまでのこと、生まれてからのことなど、時代を経た今も、同じ母親として共感できる悩みがたくさん書かれており、とても参考になったとのこと。なにより、目を通してみて私も子どもを育てることの大変さが想像でき、親になる実感が湧いてきました。記憶は自分のためですが、記録は周りになにかを伝えるためのものなのです。

先日、娘の1才の誕生日に写真館で家族写真を撮りました。緊張して泣き出した娘にお菓子をあげたら、ぴたりと泣き止んだこと。その後はご機嫌で、音楽に合わせてお尻をフリフリ踊っていたこと。この記録も、あとから見返したらいろいろと思い出すんだろうな。

池田圭

PROFILE

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編集者、ライター。40才を越えてから第一子を授かり、仕事そっちのけで溺愛する毎日を送る。共著に『無人地帯の遊び方』(グラフィック社)。編集を手掛けた書籍に『焚き火の本』『焚き火料理の本』(すべて山と溪谷社)など多数。

(制作 * エチカ)

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