3人兄弟のパパであるミヤモトタクヤさんの子育てエッセイ。今回は3人の息子の妊娠~出産までのこと。
こんにちは。ミヤモトタクヤと申します。父親になったのは、いまから16年前。28才の頃。
2000年1月に入籍して夫になり、11月には1人目の男の子が誕生。いまは高校2年生の長男、中学2年生の二男、そして小学校5年生の三男の3兄弟、そして妻を含めた5人家族で賑やかな毎日を過ごしています。
周りの方からはよく「子どもが3人も居て大変でしょう」と言われます。
実は、私も妻も3人兄弟の家庭で育ちました。小さい頃から兄弟姉妹にもまれ、子どもたちがたくさん居る騒々しい生活はむしろ普通で、大変とは思っていませんでした。
もちろん父や母となったいま、育ち盛りの男の子3人がパクパク食べる様子や毎日泥だらけで汚れて帰ってくる姿を見ると、決して大変でないことはないのですが……(主に妻が!)。
長男が生まれた年、私はインターネット関連の会社に勤めていました。めまぐるしく変わる技術の進歩についていくため必死で勉強していた頃、(ちょうどケータイが浸透し、iモードや写メールが登場した時期!)さらに未知の世界が広がる出来事がありました。
それは、妻からの「赤ちゃんができた」という報告でした。
結婚して夫婦になり、そこにもうひとり家族が増えることにとても私は喜びました!……と、同時に「私が父親に!?父親になるってなにをすればええんやー?」とこれまで学校や職場で経験したことを思い出しても想像できない世界が、ぶわーーーーーッと、突然あらわれたことを記憶しています。
出産予定日もわかり、定期検診で見られるエコー写真は間違いなく赤ちゃんの姿。これから母になるとわかった妊娠中の妻は、友人、知人、そして人生の先輩である親から得るアドバイスを元に知識をグングンと蓄え、それと比例するようにお腹もグングンと膨らんできました。
一方、イクメンといった単語などない当時。妊娠に向けた男性が読む書籍や情報は少なく、当たり前ですがカラダの変化もない私は「本当に父親になれるの?」と焦りばかりがグングン大きくなっていました。
そんな私を察した妻が「これ行ってみる?」と誘ってくれたのが、地域で開催していた夫婦で参加のできる両親学級でした。夫が重りをつけた服を着てお腹の大きくなった妊婦の疑似体験をしたり、まだ見ぬ赤ちゃんの抱っこや沐浴を人形を使って練習したり……というもの。そこでの体験は、遊園地に初めてきたことのようにワクワクし、新しいことを知る喜びで楽しくて仕方ありませんでした。
でも、帰宅する頃、「私を産んだ母や妻は、こんな重い体で毎日過ごしていたのか……」と、あらためてその大変さに敬意を表すしかありませんでした。
これからはじめて父親になる方、そして2人目、3人目の父親になる方はたくさんの不安があることと思います。
私が1人目の長男を迎えようとしていたとき、良い父になるには?と書籍やネットで情報を得ようとしたのですが、仕事が多忙な時期も重なり、一向に頭も心も準備もできていませんでした。妊娠中の妻が少し体調(&機嫌)の不調を訴えるたびに「もう生まれるんやないか!?」とオドオド焦るばかり。
でも結果、私が焦っていてもいなくても長男は誕生し、その後、二男・三男も無事に生まれてきました。毎回出産に立ち会ってきましたが、私がそこでできたことは、妻の手を握り、腰をさすり、生まれた子どもに涙するくらい。
男性は親になるのに自身の体に変化もなく、なかなか実感するのは難しいです。
でも、ゆっくり時間をかけ、妻や生まれた子どもたちに頼られていき、それからやっと父親になっていくものだといまは感じます。
そして、1人、2人と家族が増えるたびにヒトが持つ個性の違いに気付かされ、父親になるノウハウは自分自身で作るしかないと覚悟を決めます。
そしてそのたび、母は、妻は、やっぱり偉大だなーと思うのです。
PROFILE
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1973年大阪生まれ。有限会社モノグラム取締役・ディレクター。毎日写真を撮ったり、絵を描いたり、Webや本をつくったり。週末は地域の子どもたちとボーイスカウト活動に奮闘中。
http://miyamototakuya.com
(制作 * エチカ)