小宮山さくら

先輩パパとママの毎日コラム

vol.121 なんとなくおかあさん「授乳タイムをおおらかに」

2人の子どものママでもあるライター・小宮山さくらさんによる等身大の子育てコラム。

なんとなくおかあさん「授乳タイムをおおらかに」 なんとなくおかあさん「授乳タイムをおおらかに」

たかがおっぱい、されどおっぱい。赤ちゃんとおっぱいの関係は、山あり谷あり、大変です。すべての方の参考にはならないとは思うのですが、今回は、私自身の授乳のお話です。

新生児のころは、朝も夜もなくほぼ2時間ごとに繰り返される授乳タイム。

出産直後はなかなかうまくおっぱいが出ず、量を計っては一喜一憂していました。飲みたいけどうまく飲めない赤ちゃんと、飲ませたいけどおっぱいが出ないわたし。我が子の口に上手く含ませてあげることに難儀し、そのうち乳首が切れて激痛に。軟膏と血の混ざった妙な色のおっぱいを見ながら、生んだら自動的におっぱいが出ると思っていたのに、「普通の授乳」がこんなに大変だなんて!と絶望的な気分になったのを覚えています。

だんだんおっぱいが出るようになったら、今度はコントロールが効かなくなってきて、出過ぎる、詰まる、膿む。仕事に復帰し、授乳の間隔が開いたとたんに42度の発熱。立派な乳腺炎で、泣きながら病院に通いました。こうしておっぱいトラブルは休みなく続き、へとへとになった時期もありました。

きょうだい

さて、そんな数ヵ月の紆余曲折を経て、乳首もしっかり丈夫になり、搾乳にも慣れ、我が子も余裕でおっぱいが上手に飲めるように。おっぱいの量も、胸の張りも落ち着いてきて、おっぱいを自分でコントロールできるとでも言いますか、ようやく穏やかな気持ちで授乳ができるようになってきました。

ところが、なんということでしょう、今度は、授乳がひまになってきたんです。正直、同じ姿勢でずーっと赤ちゃんに集中するのも疲れるし、やることは毎回一緒だし、なんとも手持ち無沙汰。夏は暑いし、冬は寒い。「はやく飲み終わってくれないかな……」なんて感じることもだんだんと増えていきました。

いろいろとジェットコースター期

安定期

倦怠期

むむ、これはまるで、恋愛ですね。

ガイドブックには、「授乳中は、リラックスして、赤ちゃんに意識を集中させましょう」などと書いてあります。たしかに授乳は、赤ちゃんと自分がおっぱいを通してひとつに繋がっている!という一体感と幸福感を実感できる、とってもしあわせな貴重なひとときでもあります。それに、いままでのおっぱいトラブルに比べれば、こんなことは贅沢な悩みだということは、百も承知です。

でも、人間とは慣れる生き物。ひまなものは、仕方がない!お母さんは、決して女神さまではありません。絶え間なく微笑み続け、滅私の精神で腕の中の赤ちゃんに無償の愛情を注ぎ続けられたらいいですが、そんなわけにはいきません。赤ちゃんが静かにおっぱいを飲んでいるこの隙に、たまっている朝ドラも見たいし、SNSもチェックしたくなってしまうのです。授乳中にスマホを触ったり、テレビを見たりするお母さんを非難する声もネットでは散見されますが、それぐらい、たまには許してあげてよ……というのがわたしの正直な気持ち。

もちろん赤ちゃんの安全の確保は最優先ですが、テレビを見たり音楽を聴くなどの受動的な作業は比較的容易だし、限度をこさなければ、お母さんにとって大切な気分転換になるんじゃないかなと思います。

わたしは、授乳しながら激しめのパンクロックも聴きました。授乳しながらお笑い番組も見ました。SNSをアップするときもありました。子育てにちょっと疲れてしまって、おっぱいをあげながら、「ああ、眠いなぁ、しんどいなあ」って、ひたすら暗い顔をしていたときもあります。

できればいつだって笑顔でいたいけど、笑顔になれない日だってありました。それでも、朝昼晩、授乳は続きます。大丈夫。ちょっとくらい、大丈夫です。赤ちゃん最優先の毎日に、自分を楽しませる時間を、うまくミックスしてみてくださいね。

窓際でにこにこ

さて、痛くても辛くても、慣れてもひまでも、授乳ライフは続きます。凝り性のわたしは、もっともっと授乳タイムを楽にするための労力を惜しみませんでした。生粋の面倒くさがりやのくせに、楽をするための努力なら少しも面倒と思わないのが不思議です。授乳グッズ、たくさん試しました。おっぱいの亀裂(できてしまうと、授乳のたびに飛び上がるほどの激痛が走るんです)をカバーしてくれる透明のシリコンや、赤ちゃんの頭を支える授乳クッション。なかでも便利で手放せなかったのは、最新型の搾乳器と、便利な授乳服でした。

授乳服はもちろん普通の服でも代用できますが、ライターという仕事柄か、わたしはこういう「目的に特化したグッズや服」に目がなく、使ってみたい欲求も強いのです。長い人生において、今しか意味をもたない授乳服。試さない理由はない!というわけで、パジャマからTシャツ、ワンピースまで、いろいろと手に入れました。トップスを脱がず、まったく目立たず、胸の部分だけを出せる授乳服はとっても便利で、寒い日は本当に重宝しましたし、授乳タイムのストレスがガクンと減りました。結局1年間ヘビロテでよれよれになるまで着倒したので、コスパ面でも大満足。もちろんいつもの服で満足なら問題ないのですが、胸を出す動作にストレスを感じている方は、まずは一着、試してみてください。とってもとってもおすすめです。

電車内

そうそう、最後に、もうひとつだけおっぱいアドバイスを!

わたしは本当にずぼらで、姿勢的にらくちんな左のおっぱいばっかりをあげていたのですが、次第によく使うほうの乳腺だけが発達し、バストの左右の大きさが恐ろしいくらいに偏ってしまい、気づくと右と左で4カップ分くらいの差がついてしまいました。左右の大きさが均等に戻るまでに3年ほどかかり、本気で後悔しました。

まわりでこういう話は聞かないので、わたしがよっぽどずぼらだったからだと思うのですが……、もし、わたしのような「片側派」のお母さんがいるならば、今日からでも、左右交互スタイルに戻すことをおすすめします。右5分、左5分、右3分、左3分などと、理想通りにするのはなかなか面倒ですが、せめて、一度の授乳に、左も右も使ってあげれば、おっぱいも喜ぶとおもいます。以上、切実な体験談でした。

そんなこんなで、泣いたり笑ったり、張ったり傷んだり、ひまになったりあれこれ試したり、いろんな思い出ができた授乳生活。寝ても覚めても、どこかでおっぱいのことを考えていたように思いますが、子どもがふたりとも卒乳を終えたいまでは、遠い真夏の夜の夢のように感じます。

授乳時は破裂寸前の風船のようにふくれあがっていたおっぱいも、役目を終えたいまではすっかりしぼんでおとなしくしています。決してそれを美しいとは思わないですが、わたしにとっては共に大変な子育てを生き抜いた、かけがえのない戦友のような存在。「よく頑張ったね」という気持ちを込めて、毎日お風呂でやさしく洗ってあげている日々なのでした。

ニット帽をかぶったお子さん
小宮山さくら

PROFILE

小宮山さくら

ライター。クリエイターへの取材やインタビューを中心に、『カメラ日和』『tocotoco』(第一プログレス)などの雑誌、書籍、広告などで活動。参加書籍に『無名の頃』(パイインターナショナル)、『脇阪克二のデザイン』(PIEBOOKS)、『エジプト塩の本』(美術出版社)、『猪熊弦一郎のおもちゃ箱』(小学館)など。目下、2児の子育て中。

(制作 * エチカ)

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