先輩パパとママの毎日コラムvol.15

なんとなくおかあさん「赤ちゃん、赤ちゃん、なに見てるの?」

2016/6/3
なんとなくおかあさん「赤ちゃん、赤ちゃん、なに見て... なんとなくおかあさん「赤ちゃん、赤ちゃん、なに見て...

2人の子どものママでもあるライター・小宮山さくらさんによる等身大の子育てコラム。

子育ては驚きの連続ですが、わたしが出産して最初に驚いたのが、赤ちゃんの小ささでした。もちろん知識としては知っているのですが、それでも本物の我が子を見たときの「実感」のインパクトといったら!なかなか他では味わえないような不思議な衝撃です。

現在、娘5才、息子3才。普段は「まだまだ小さいなあ」と思っているのですが、友人の出産などで新生児期の赤ちゃんを見るたび、「えっ、うそでしょ?赤ちゃんって、こんなに小さかったっけ?」とびっくり。また別の日は、ハイハイ期の赤ちゃんを見て「えっ、このころってこんなに小さかったっけ?」とびっくり。そしてまた別の日、よちよちの赤ちゃんを見て「えっ、このころってまだこんなに赤ちゃんぽかったっけ?」とびっくり。しつこいくらいにびっくりしまくりです。そう、子育てライフは日々上書き保存ですから、あんなに毎日いっしょにいたはずの赤ちゃんの各時代のサイズ感も、今の我が子の強烈な存在感、そしてボリューム感にかき消され、あっというまに記憶がぼやけてしまうんです……。

小さなおめめ、小さなおはな、小さなおくち。

昨日と同じように見える赤ちゃんも、日々細胞は生まれ変わり、どんどん背はどんどん伸びている。お父さんが1週間の出張から帰ってきて赤ちゃんを見たとき、「あれ、なんか大きくなってる!」とびっくりした、という話もよく聞きます。毎日一緒にいることの多いお母さんには実感しづらい感覚かもしれませんが、それほど赤ちゃんの成長はスピーディー。だからこそ、今だけのこの小ささを、心の底から愛おしく思います。

ニコニコツーショット

そんなわたしが赤ちゃんを我が家に迎え入れたときにまずやってみたのが、ごろんと一緒にねそべって、赤ちゃんと同じ目線になってみること。そして、赤ちゃんの見ている景色を、赤ちゃんと同じ高さから見つめてみることでした。ハイハイができるようになったときは、いっしょにハイハイを。そしてよちよち歩きのころは、一緒にしゃがんで同じ方向を。たったそれだけのことですが、それは自分にとってかけがえのない体験でした。

猫と一緒に

意識的に赤ちゃんの目の高さをキープすることで、今まで見えなかったものが見えるようになる気がします。具体的なところでいうと、ちょっとした段の危なさに気づきます。ほんの20cmのベッドマットでも、寝返り前の赤ちゃんにとってはなかなかな高さ。部屋中を赤ちゃんの目の高さでくまなくチェックして、暖房器具の通風口はガードする、倒れる可能性のある扇風機などは遠くに置く、陶器の置物はすべて棚にしまうなど、赤ちゃんの目線より上には不安定なものを置かないようにしました。

そして感覚的なところでいうと、赤ちゃんの目の高さからみる世界は、びっくりするほど新鮮で面白い! 部屋のなかで我が子と一緒にハイハイすれば、床がすぐ下にあって、猫のからだはとっても大きくて、大人の顔はうんと上の方にあって、部屋の天井なんて、もう、空のように高くって。外に出てベビーカーの目線で我が子と一緒に前を向けば、道ばたの草花はより近く大きく感じられ、横切る車や自転車は迫力満点です。前から後ろへと流れて行く景色と音は、きっととてもにぎやかで美しく、強烈な存在感を放っているはず。毎日べったり一緒にいて、同じ物を見ていると思っていたけれど、こんなにも見える世界は違っていたんだなあ、と、改めて驚かされます。

花の下で

赤ちゃんだった我が子を抱っこしたときの、目をまあるくさせながら周りをじーっと見つめていたあの顔を、いまでもときどき思い出します。大人の目の高さから見える世界は、あなたにとってすごく特別で新鮮なものだったんだね。あなたの目線から見える世界もまた、ママにとっては、すごく特別だったんだよ。

我が子がどんなに大きくなっても忘れたくない、あの不思議で新鮮な世界。決して繰り返されることのない成長の日々のなかで、子どもが見つめていた景色を同時に共有できたという体験は、いまでも大切な宝物です。

我が子と向かい合い、かわいい顔を見つめる時間ももちろんかけがえのないものですが、ときには赤ちゃんと同じ目の高さから、赤ちゃんと同じ方を見つめてみてはいかがでしょうか?きっと、面白い発見があなたを待っていると思います。

小宮山さくら

PROFILE

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ライター。クリエイターへの取材やインタビューを中心に、『カメラ日和』『tocotoco』(第一プログレス)などの雑誌、書籍、広告などで活動。参加書籍に『無名の頃』(パイインターナショナル)、『脇阪克二のデザイン』(PIEBOOKS)、『エジプト塩の本』(美術出版社)、『猪熊弦一郎のおもちゃ箱』(小学館)など。目下、2児の子育て中。

(制作 * エチカ)

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