先輩パパとママの毎日コラムvol.275

なんでもない日もありがとう「お母さんになったこと」

2019/10/16
なんでもない日もありがとう「お母さんになったこと」 なんでもない日もありがとう「お母さんになったこと」

TORiというフードユニットとして食にまつわる仕事をする岡本雅恵さんが、はじめてお母さんになったときのはなし。

今回、自分の仕事である“食”の分野から飛び出して、一人のお母さんとして記事を書くこととなり、6年前の記憶をぐーっとたぐり寄せるように、今まで目の前のことに必死になって日々を送ってきた中での、振り返るという作業をいただけた機会に、改めて感慨深く、ありがたい気持ちでいます。

TORiという屋号で、“世界のお母さんの味と古くから伝わる保存食”をテーマに、季節の食材を使って料理を届けており、子どもたちが産まれる何年も前から、そんなコンセプトを掲げています。学生の頃から世界を旅することが好きで、その土地で穫れる特産物や、気候に合った食べ方など、一家を支えるお母さんたちが、家族を思って作るご飯に、ずっと漠然とした憧れがあったからなのだな〜と思うわけです。とある友人に、子どもが産まれたことを伝えたときに、「やっとTORiとして着地した感じだね!」と言われて、ハッとした覚えがあります。

毎年クリスマスを一緒に過ごしている友人の家にお届けしたご飯。毎年クリスマスを一緒に過ごしている友人の家にお届けしたご飯。

……と、“お母さん”というくくりで話し出してしまうと、結局私の仕事の話と切ってもきれなくなってしまうわけですが、話を戻すと、妊婦時代のマイナートラブルはほぼなく、出産前の高揚としたゴールに向かう晴れやかな気持ちとは裏腹に(今考えても、出産はゴールではなくスタートなのに、その後のことが何も考えられず、ただただ赤ちゃんに会えるのが楽しみなのでした)、私の出産はとても大変なものになってしまい、家族の支えなしでは乗り越えることができないスタートとなってしまいました。

病院から退院できる時期も延びてしまい、やっと家に帰れることになったときに見た、タクシーから眺める外の世界の美しいこと。道端に植えられたツツジの強く濃いピンク色、今までは特に思い入れもなかったわけですが、毎年力強く、咲き誇る姿に、娘の生命力の強さが重なって、このときの気持ちを思い出す、特別なお花になりました。

初夏の気候と相まって、ツツジを見かけるととてもパワーをもらいます。
初夏の気候と相まって、ツツジを見かけるととてもパワーをもらいます。

当たり前に、普通の生活を送れるということが、どれだけ尊いのか、今でも現在進行形で子どもたちから教わっていることです。そして、世の中のすべてのお母さんのことを尊敬せずにはいられないのでした。命がけで産み、右も左もわからず、途方にくれることも沢山あるわけですが、見渡せば、そうやってみんな育てられ、育ててきたということ。

(左)初めて赤ちゃんを確認できたエコー写真。(右)赤ちゃんの手や足を見るのが大好き。(左)初めて赤ちゃんを確認できたエコー写真。(右)赤ちゃんの手や足を見るのが大好き。

ことあるごとに「新米かあちゃんだな〜」と落ち込んだりしますが、周りの先輩お母さんたちが助けてくれたり、手を差し伸べてくれたりと、みんながそれぞれ経験してきたことを糧に、力を分けてくれるのです。“お母さん学校”に入学した新入生の気分でした。

そして、お母さん6年生になった今も、まだまだ新米気分はなかなか抜けないものの、色々と自分が体験してきたことが少し自信となって、誰か困っていたり、助けを求められたら、できる限りのことをしたいなと思う自分がいて、「みんなそうやって見守ってきてくれたんだな〜」と、命が繋がっていく関係に、心がぎゅっと温かくなります。

赤ちゃんが誕生したばかりの、あの頃の私に、伝えたいアドバイスは山ほどありますが(笑)、「大丈夫だよ、赤ちゃんのことも、自分のことも信じてね」って。肩をぽんぽんって、叩くくらい、少し余裕が出て先輩風を吹かせることができるくらいにはなっているようです。

きっと一人一人の語り尽くせないドラマがあることでしょう。楽しいこと、嬉しいことだけじゃないことも同じくらいあるかもしれません。それでも、子どもと共に成長していける幸せは、言葉では言い表すことができないほどだなあと。

とっても小さいのに命の大きさはずっしり感じました。とっても小さいのに命の大きさはずっしり感じました。

なんとなく日々思っていることも、こうして文章に書いてみると、改めて胸に刻まれます。お母さんになったこと、そして、新しい世界に飛び込んだことで知った沢山のこと。次回は、そんな愛おしい日々のことを書けたらと思っています。

Rom 岡本雅恵

PROFILE

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料理家。友人と共にフードユニットTORiとして、カフェ営業、ケータリング、webや雑誌などのレシピ提供などを経て、2020年に長野へ移住。畑に隣接する古民家をアトリエとし、Romという屋号で活動を開始。野菜を育てたり、土に近い暮らしを通じて、さらに季節と地域を意識した食の在り方を模索中。女の子と男の子の二児の母。
https://www.instagram.com/masha518/
https://www.instagram.com/atelier.rom/

(制作 * エチカ)

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