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「頼むことに罪悪感を持たないで」- 夫婦はチーム。一緒に家事・育児をするということ

2019/9/30
「頼むことに罪悪感を持たないで」- 夫婦はチーム。一... 「頼むことに罪悪感を持たないで」- 夫婦はチーム。一...

家族が増える。それは、楽しみな反面、ちょっぴり不安もあります。赤ちゃんが生まれるとなると、自分たちの健康管理、育児用品の買い物、産休・育休を取得する申請・準備などやることも多いでしょう。ただそんな時にちょっと足を止めて、自分の今後を考えてみる時間をとってみませんか? 夫婦向けコミニュケーションセミナーの講師として企業などで講演を行う林田香織先生に、家族を迎える前の気持ちの準備について、大切なポイントを伺いました。

林田香織  ワンダライフLLP 代表/NPO法人ファザーリング・ジャパン 理事 林田香織
ワンダライフLLP 代表/NPO法人ファザーリング・ジャパン 理事


自治体・企業にて、育休前・復帰前セミナー、夫婦向けコミニュケーションセミナーなどを全国で実施。育児と仕事の両立、1人ではなく周りを巻き込みながらチームで育児をする「チームわが家」を提唱する。プライベートでは3人の子育てに奮闘中。

ベビーフードも家事代行も育児を行うチームの仲間

ーー林田先生は、育児に関するセミナーを多く実施されていますが、受講者の中に男性はいるのでしょうか?

林田先生
たくさんいますよ。夫婦向けのコミュニケーションセミナーなどをしていると、むしろ若い世代のパパたちにも積極的に参加していただけています。以前はママが熱心に聞いている後ろで、いかにも「連れられてきました」という感じのパパが待っていることも多かったのですが、最近ではフリートークの時間を設けると、パパたちがとても楽しそうに情報交換をしてますね。

ーーそうなんですね! 男性の育休取得なども少しずつ浸透してきているのも、その影響なのかもしれないですね。マイナビニュースでの読者調査でも約半数の男性が産休・育休取得を経験していることがわかりました。

円グラフ「あなたは産休・育休を取得した経験はありますか」 はい43.8% いいえ56.3% (回答数:160)

以前よりも育児に積極的に参加する男性が増えているような気がします。

林田先生
そうですね。やはり育児をするにはママ1人では大変ということに、男性側が少しずつ気づいてきた証拠かもしれません。でもママやパパだけではなくて、家族以外の周りのリソースも活用して“チームで育児をすること”こそ大切だと私は感じています。

資料を見ている林田先生

ーー家族以外の周りのリソースとは、具体的にどのようなものでしょうか?

周りのリソースは大きく「ヒト・モノ・コト」に分けられます。「ヒト」は職場の上司・祖父母などの第三者。「モノ」は、家電や育児グッズといった製品。ベビーフードやさく乳器などもこれにあたります。「コト」は、家事代行やファミリーサポートなどのサービスのことです。
そういった周りのリソースを活用しつつ、育児や家事で起こるママとパパの隙間を埋めていくことが重要です。身近だからこそ、夫婦間ではちょっとしたすれ違いも起きやすいんですよね。

ーーたしかにすれ違いに悩んでいる夫婦は多いかもしれないですね。マイナビニュースが行った「育児における”家庭”の不安。悩み」に関するアンケートでも、と「パートナーともっと話し合っておけばよかった」という回答が目につきます。

Q:育児を行う過程で「家庭内でもっとこうしていればよかった」と思うことを教えてください
「夫と普段からもっと会話を増やすべきだと思った」(東京都/30歳/女性)
「お互いにどうして欲しいかを、もっと話していればよかった」(佐賀県/42歳/男性)

林田先生
「育児中はパートナーとの会話が業務連絡みたいになってしまいがち」というママやパパの話も聞きますが、実は普段からのコミュニケーションこそとても大切なんです。特に雑談をするのがポイント。子どもの可愛かったエピソードや、街中で見かけたもののことなど、普段から雑談していると、そこからお願い事や相談がスムーズにできるようになります。

Q:「家庭内で悩んだり夫婦でモメたりしたエピソード」とその改善方法を具体的に教えてください
「お互い自分の時間を作れず、ストレスが溜まってしまった。」(東京都/44歳/男性)
→話し合いでそれぞれが少しずつお互いのために行動するようになった。

話すことがすれ違いの一番の解決方法。相手が何を思っているのか、自分が何を思ったのか雑談から気軽にはじめてみては?

ーーたしかに、普段あまり話していないのにいきなりお願い事ってしづらいですよね。ただ、育児や仕事でお互い疲れているとき、上手にコミュニケーションをとるには何が必要なのでしょうか。

林田先生
会ってないときにお互いが何をしているかを考えることでしょうか。仕事や育児で忙しいけれど、見えていないと「なんでそんなに忙しいんだろう?」ってピンとこないこともありますよね。よくあるのは外で仕事をしている側が「なんで一日中家にいるのに、そんなに大変なんだろう?」と、パートナーのことを不思議に思ってしまうこと。

林田先生

そういうときこそ、アプリでスケジュールを共有するなど、「モノ」のリソースを上手に使うのがおすすめです。スケジュールを共有しておけば、「今日は予防接種にいったんだな」とか、「今週は仕事がちょっと忙しいんだな」など、お互いの状況がわかりやすいでしょ。そのあたりがわからないと、「自分の方が忙しい」と思って家事や育児の押し付け合いがはじまってしまうので。

頼むことに罪悪感は必要ない

ーー一緒にいない時のことを”見える化”して、お互いの大変さを想像して、思いやれる関係になれると理想ですよね。そういうベースがあって、家事・育児の役割分担をすることになると思うのですが、パートナーに頼む時のコツってありますか?

林田先生
そうですね、ママがパパに家事などを頼む時にありがちなのが、「言わなくても気づいてほしい」と思うこと。いくら夫婦でもそれはなかなか難しいので、具体的に頼むのがポイントなんです。

ーー「洗濯して」だけじゃなくて、「洗って、干して、乾いたものは畳んでしまって」という感じですか?

林田先生
それだと上司から指示されているみたいなので、「晩御飯作っている間に洗濯物干しておいてくれる?」のように「いつまでにしてほしいか」も忘れずに伝えましょう。それから、一番大切なことは、“頼むことに罪悪感を感じない”ことです。パートナーだって、きちんと頼んでくれれば、嫌な気持ちはしないもの。どちらも同じぐらい相手に頼れば、どちらかが優位に立つということもないですからね。

林田先生

チーム作りは“考える”よりも“使ってみる”

ーーなるほど!頼む方はどうしても「悪いな」と感じてしまいがちなので、目から鱗でした。最後に、林田先生は周りの力を借りながらわが家流のチームで育児をする「チームわが家」という概念をよくお話されていますが、うまく運用するためのポイントを教えていただけますか。

林田先生
2つポイントがあります。1つは、自分が持っているリソースを棚卸しすること。パートナーの協力はどうか、祖父母の協力があるのか、ファミリーサポートなどは利用できるのかなど、改めて見直すと見えてくるものがありますよ。

2つめは、自分が人に頼るのが得意か不得意かを認識しておくこと。それによって「ヒト・モノ・コト」どれに頼るかが明確になります。ただ、固定する必要はないので、状況に応じて頼る相手を変えていけばいいと思います。

Q.パートナー(夫・妻)以外にどのように育児を助けてもらいましたか? 具体的に教えてください
「妻の母が平日ほぼ毎日来てくれ妻と時間を決めて交代で育児を手伝ってくれました。」(神奈川県/41歳/男性)
「食材の宅配を始めて、買い物に行く頻度が減って助かった」(東京都/30歳/女性)

人によって頼るものは「ヒト」だったり「モノ」や「コト」だったり。自分が頼れるものに頼ることがチーム育児のポイント

ーーまずは自分の傾向を知ることが重要ってことですね。いつ頃から準備しておくべきものですか?

林田先生
いつからでもいいんですよ。例えば家事代行サービスのお試しや、家電レンタルなどを興味を持ったタイミングで使ってみて、自分にあうものを徐々にチームメンバーにしていけばいいと思います。

ーーなるほど。とりあえず興味のあるものは使ってみることが大切なのですね。

林田先生
そうですね。ちなみに、何かを活用しようと考えたとき自分が楽になるためではなく、自分にも家族にもプラスになる、という軸で考えることが重要です。料理など自分でしたい部分はこだわって、その他はどんどん他に頼ってしまうのは別にサボっていることにはなりません。むしろ家族の時間に余白を作り、自分と家族の笑顔を作れますから。

林田先生

ーーチームわが家について様々なポイントがお聞きできて楽しかったです。本日はありがとうございました!

【産後の育児に関するアンケート】
調査時期 : 2019年9月5日
調査対象 : マイナビニュース会員(セグメント:20代~40代/子持ち/会社員)
調査数  : 200人
調査方法 : マイナビニュースインターネット調査

(撮影/稲澤朝博 編集/伊森ちづる)

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