先輩パパとママの毎日コラムvol.299

がんばらない、マイペースな子育て日誌「寝返り」

2020/2/3
がんばらない、マイペースな子育て日誌「寝返り」 がんばらない、マイペースな子育て日誌「寝返り」

赤ちゃんは一日一日、目まぐるしく成長をします。山田愛さんが初めてのお子さんの「寝返り」を振り返ります。

出産してしばらくは、これまで味わったことのない愛情が込み上げるときと、誰かから手渡されて「この小さな赤ちゃんはいったい?」と代わりに抱きかかえているような、実感のない感覚が行ったり来たり。ただただ、か弱くキラキラした命の塊のような赤子を手放しで喜んで良いものか、成長の一つ一つが私の手にゆだねられている責任を、意識的に持たなければいけないのでは……なんて色々と考えてしまう日々でした。まだ親になりきれていない分、おそらく自分自身の心と体が一致していないのですよね。

産婦人科に入院している間に教えてもらった赤ちゃんのお世話。寝る時間やおっぱいの間隔、おむつ交換のタイミングなど、退院してからしばらくはそれに追われる毎日でした。その日々に少し慣れた頃、小さな成長に喜びを感じ始めました。

ポーッとどこかを見ていた赤ちゃんの目が私を追ってきているような、昨日までウーウーと言って一方通行だったおしゃべりが、今日は私の語りかけに反応しているような……。誰からも教わっていない変化にどう対応していいのか追いつかず、育児書を読んだりネットで検索したりしました。「次はこの子に何が起きるの?」「私が何かを教えるの?」ちょっと不安さえ覚え始めます。

赤ちゃんって自然と座ったりハイハイしたり歩き出したりするものだと思っていました。でも実際にはその間にも細かく成長の発達や発育の段階があるのですね。

お顔アップ

最初にそんな過程があったんだって驚いたのが「寝返り」です。その言葉を知ってからは、いつ一体どのようにしてこの子が転がるのかを、お世話をしながら少しの動きも逃すまいと毎日のように観察しました。横に揺らすのを促してアシストしないと始まらないのかとか。今思うと笑ってしまうことばかりですが、相当こちらも構えていたようで、ビデオや携帯の動画にやたらとこの時期の映像が残っています。

そうこうしているうちにこれはまさに特訓という名にふさわしいような横揺れが始まりました。明くる日もその明くる日も娘は右に左に揺れ続けます。小さく「ウッ」という声を発しながら勢いをつけて、体のひねりは徐々に大きくなりました。

ある夜、大人の布団の間にベビー布団を敷いて寝かせていたときのことです。寝返りの練習が始まりました。夜暗くなってからというのは初めてのことだったので特に記憶に残っています。主人と固唾を飲んで見守ります。「頑張れ!頑張れ!」なかなか回転するまではいきません。少しずつ移動した体が布団と布団の間の溝へ近づき、そのくぼみを利用し勢いづいてきました。

すると右手のひじを曲げて左胸に。左手のひじを曲げて右胸に。「え!なになに、このポーズ!」と思ったそのとき、「んぎゃー!」と大きな叫び声と共に、小さな娘はくるりと回転し仰向けからうつ伏せに。まだ両腕は自分の体の下に挟まっています。それを必死で右手、左手と引き抜き、ついに寝返りが成功した瞬間でした。「こんなに感動的なことなの?寝返りってすごい。」

寝返り成功

いまだにその夜のことは主人と思い返して話すことがあります。と思ったら3つ下の息子の寝返りは案外あっさりとしたものでした。でも親が新米だったから余計に大きな出来事に感じていたのかもしれないですね。兎にも角にも人の成長って神秘的です。

山田 愛

PROFILE

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大阪と東京でカフェ『Localite』を営んだ後、神戸へお引越し。育児に専念しながら海の見える場所で家族4人と暮らしている。

(制作 * エチカ)

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