先輩パパとママの毎日コラムvol.306

がんばらない、マイペースな子育て日誌「朝の散歩」

2020/2/17
がんばらない、マイペースな子育て日誌「朝の散歩」 がんばらない、マイペースな子育て日誌「朝の散歩」

子どもがいれば人との関わりも増えていきます。人見知りだった山田愛さんが、朝の散歩をしていた理由とは?

私は長く接客業をしていましたが、好きでやっていたというよりは、極度の人見知りを克服したいという思いが強くありました。でもまあ苦手なりになんとかやってこられたのは大人の世界だったから。

上の娘を妊娠してから2才半になるまでに3度の引っ越しをして、最終的に地元の神戸へ戻ってきました。2才半となると、いよいよおしゃべりも上達して上手に歩き回れるようになり、一緒に外へ出ることも増えてきます。引っ越しが重なったこともあって、いわゆるママ友という存在もなく家の中で子どもと過ごしていました。それはそれで楽しいのですが、自己嫌悪に陥ることもしばしば。頭でっかちな話ですが、ネットやテレビでたまに見る「公園デビュー」や「ママ友のトラブル」という言葉が、より外の世界から自分を遠ざけていました。きっとこれも人付き合いの苦手意識から来るものなのだけど、もちろん子どもには関係のないこと。

何度か近くの公園へ行ってみましたが、周りにいる親子がみんな仲の良いお友だちに見えて疎外感を抱いたり、大きなボールが飛んできたりするんじゃないかと心配したり。娘はいろんな遊具や同じくらいのお友だちに興味を示していたのに、新たに買ったお砂場で遊ぶおもちゃを広げてもすぐしまって、気づけば親の私がそそくさと娘の手を引いて人のいない場所や自宅に向かって歩き出していました。

通勤ラッシュを避けて早朝に家を出て仕事に向かう主人。ある日、その主人を見送るついでに一緒に家を出て公園に向かってみたら、ほとんど誰もいません。朝の公園の空気は気持ちがいいし、周りを気にすることなく子どもの遊びたい遊具でたっぷりのんびりと過ごすことができました。これも今思えばおかしな話なのですが、そのときの私の精一杯だったのです。

朝のお散歩

小さな小さな娘の手は私の大きな小指をしっかりと握ってちょこまかと歩きながら笑顔でお話ししてくれます。それからは毎日のように朝、主人と家を出ては子どもと違う公園を探してみたり、少し山に近いところにある神社へ行ったり。なかなか思うようにお友だちを作ることはできないのだけど、季節を感じながら子どもと歩いているうちに、向こうからくるおばあさんが話しかけてくれたり、電車の中から運転士さんが手を振ってくれたり。不器用なりに子どもと楽しいことを見つけて過ごす毎日は愉快でもありました。

その後また引越しをして、下の子も1才くらいまでは似たような状況でしたが、上の子が幼稚園に通い始めるようになってようやく同じ子育てに奮闘するお友だちに溶け込むことができ、随分時間はかかりましたが、そんな苦い思い出も今となっては笑い話となりました。

現在上の子が7才。下は4才。まだまだ子育ての真っ只中。終われば一日はあっという間なのですが、朝から思い返すとまあ一日あれやこれやと三日分くらいの濃度です。過去を振り返ることも明日の心配をすることもなく、今目の前にある一つ一つをこなす日常。

パパと娘

今子どもたちが寝静まって、キャンドルを灯し好きな音楽をかけてパソコンを開き、数年前の小さな子どもたちとの時間がどうだったかを思い出してはカチカチとキーボードを叩いています。あの朝の冷たく肌に触れた空気、小さなスニーカーを履いて歩く娘の姿。ちょっぴり苦く切ない新米ママの記憶。この今をまた何年後かの自分はどんな風に思い出すんだろう。

山田 愛

PROFILE

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大阪と東京でカフェ『Localite』を営んだ後、神戸へお引越し。育児に専念しながら海の見える場所で家族4人と暮らしている。

(制作 * エチカ)

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