先輩パパとママの毎日コラムvol.327

1+1+1+1=∞の日々「里帰りをした1人目、しなかった2人目」

2020/5/18
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産後をどう過ごす?初めての出産時は実家で、2人目を自宅で過ごしたという岸野恵加さんのお話。

妊娠・出産をするにあたって、まず考えなければいけないのが、どこでどのように産むか、そして産後をどのように過ごすか。第1子の息子の出産に際してどうしようかと考えたとき、私は自宅近くの産院で出産をしたかったこともあり、産前までは里帰りをしないでおこうと決めました。

でもやはり「産後はとにかく周りに助けてもらって母体の回復に努めたほうがいい」「産後は体がボロボロで、赤ちゃんの世話に追われて家事を満足にできる余裕なんてない」…調べると出てくるのはそんな意見ばかりで、初めての育児を退院後に1人で進めるということがだんだん不安になってきて、退院後は電車で1時間の距離にある実家に1ヵ月ほど里帰りをすることに決めました。

退院してタクシーで自宅に戻り、いろいろと荷物の整理などをして、家族3人で初めて過ごした夜。ああ、本当に3人で家族になったんだなと実感できた、なんだかふわふわと幸せな時間でした。その余韻も束の間、翌日にはタクシーで実家に向かいました。

新生児期

実家ではもちろん上げ膳据え膳、座っていれば食事が出てきて、洗濯も自動的にしてもらえる天国のような環境。母もいろいろと準備をしてくれ、本当にありがたかったのです…が。私はお約束のように、慣れない育児にどんどん追いつめられていってしまいました。

私は母乳の出が順調ではなく、それでもできるだけ母乳育児をしたいと試行錯誤していたけれど、息子が泣くたびに母が、「おなかが空いているのよ、かわいそうよ。早くミルクを飲ませてあげなさいよ」と言ってくるのがだんだんストレスになっていきました。さらに、泣いても「少しは放っておいていいかな?」と思っていても、母がすぐ抱っこしに行ったり、私に抱っこしなさいと声をかけてきたりするので、初めての育児に不安ばかりでスマホでずっと調べ続けていました。「抱き癖がついちゃうんじゃないの?抱っこしないと寝られない子になってしまうのでは?」と混乱し、徐々にピリピリして「お母さんはわかってくれない」「お母さんの考えを押し付けられている」と、思いつめるようになり…。

泣く赤ちゃん

もともと普段からドライな母娘関係で、コミュニケーションがなかなかうまく取れない不器用な母と私。里帰りは1ヵ月を予定していましたが、耐えきれなくなってしまい、3週間で切り上げて自宅に戻りました。貴重な新生児期を、夫に見てもらえない、共有できない、ということも、自分的には悲しく感じていた部分もありました。夫は毎週末に実家に通ってくれて、私や息子を労わろうとしていてくれたのですが、やはり24時間赤ちゃんと一緒にいる私と同じように息子の変化を感じとってもらうのは難しく、「里帰りしなくてもよかったかな」と、ここでも思うに至りました。

このときの記憶が強かったので、5年後、娘の出産に際しては、里帰りはせずに自宅で過ごすことに。でもやはり息子の保育園への送迎や、家事を100%自分でやるのは自信がなかったため、どうしようかな…と考え、広島に住む義母に2週間サポートに来てもらうことにしました。これが私には大正解。実母だとつい甘えすぎてしまうこともありますが、義母だといい意味でこちらもほどよい緊張感があるので、ちょうどよく気を使えて、育児に必死になりすぎずに精神をフラットに保つことができたように思います。

お兄ちゃんと妹

また、昼間息子は保育園に行き、義母と私と産まれたての娘で過ごしていたので、普段は遠方に住んでいてなかなか長い期間時間を過ごせない義母とゆっくり話す時間を取れたのも貴重で。娘が寝た間に、お茶をしながら義母から夫が小さかった頃の話を聞けた時間が、今でも印象深く残っています。夫も18才で実家を出てからお母さんとこれほど長い時間を一緒に過ごしたことはなかったと思うので、2人にとってもいい機会になったのかもしれません。もちろん2人目という慣れはありますが、それを差し引いても、ほとんど不安な気持ちにならずに過ごせていた娘の新生児期。リラックスできる自宅で自分のペースで過ごせて、結果的にはこのほうが、自分にはとても合っていたように思います。

義母と娘

育児をして日々を過ごしていると、選択を迫られるシーンがたびたびありますが、どんなときでも痛感するのが、「その選択は、自分に、子どもに、そして家族に本当に合っているのか?」を考えることの大切さ。世間一般がこうだからとか、こうするものだからとか、こうしたほうがよいとか、とにかく洪水のようにいろいろな情報が入ってきても、それを自分の置かれた状況に照らし合わせて、本当にその判断で正しいのか、を常に考えることが、できるだけストレスなく楽しく過ごすために必要なことだなと、ひしひしと感じます。

岸野恵加(きしのけいか)

PROFILE

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2011年生まれ男児と2016年生まれ女児の母。編集者として働くかたわら、インタビューZINE『meine(マイネ)』を発行するなど活動の幅を広げている。ドラマーとしても活動(所属バンド『the mornings』は現在休止中)。
https://www.instagram.com/kemonokeika/
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