岸野恵加(きしのけいか)

先輩パパとママの毎日コラム

vol.343

1+1+1+1=∞の日々「物語の登場人物のようにはいかなかった、子どもの名付け」

幼い頃から名前を付けることが好きだった岸野さん。さて、ご自身のお子さんの場合はどうだったのでしょう?

1+1+1+1=∞の日々「物語の登場人物のように... 1+1+1+1=∞の日々「物語の登場人物のように...

私はマンガや小説など物語世界に浸り続けていた子どもで、自分で創作して遊んだりもしていたので、登場人物の名前を考えるのは大好きでした。お約束のようですが、自分があの人と結婚して苗字が変わったらどんな名前になるかな?猫を飼ったらどんな名前を付けようかな?と、妄想して楽しんだりも(笑)。名前の響きや、そこから派生して生まれていくあだ名を想像したりすることは、私にとってとてもワクワクする行為だったのです。

なのになのに。いざ子どもを授かって、その子の名前を考えるという段になると、なぜだかこれがまあ、決まらない決まらない。というか、何だか考えることが畏れ多いことのように感じてしまう。第一子の息子のときは、これで決定だ!となったのは、本当に出産の直前だったように記憶しています。それも、本人の顔や雰囲気を見て最終的にそれにするか別の名前を考えるか判断しよう、と思っていました。

アイスのおひげ

なんでそこまで、考えることが難しかったのか。それは、まだ会ってもない、顔もどんな人なのかも全然わからない相手の名前を付けるという行為が、自分にとってはとてもハードルが高かったのだと思います。物語の登場人物だったら、そこにはっきりと存在しているので、どんな人物なのかわかります。名前からキャラクターを作っていくパターンもあるとは思いますが、その場合は名前からパーソナリティを考えていける。でも赤ちゃんはもうすでに自分のおなかの中に存在しているけど、まだ顔も、どんな子なのかも、生まれてこないとわからない。

よく、「名付けは親から子どもへの、生まれて初めてのプレゼント」「親から子どもへの願いを込めて名前を付けよ」と耳にしたりしますが、それはそうだなと思いつつ、生まれてくる子どもは自分とはまったく違う個性を持った、自分とは別の存在だという意識が強かったので、こちらの一方的なイメージや願いで名を与えるということが、なんとなくしっくりこなかったのかなあと思います。そして本人は、私たち親の手を離れてからも、その名前と一生付き合っていくことになる。そう考えるとすごく責任感を感じて、なかなか気軽に考えられなくなっていたのです。

とはいえ決めないわけにはいかない。名付けの本を買ってきて、夫と定期的に会議が繰り広げられました。「グローバルに活躍できる名前」というサブテーマが据えられた本をなんとなく買ってしまったので、日本人離れした響きの名前がたくさん掲載されているのに圧倒されつつ(笑)、色々な候補を眺めて、夫と共通して出た意見としては、響きが素敵で呼びやすい名前だということ。突飛過ぎず、ありきたり過ぎないこと。その前提で進めていきました。

その当時、友人が高円寺で「いっき」という居酒屋をやっていて、バンド友達とともに入り浸っていたので、もう「いっき」という名前でいいのでは?響きが潔くてかっこいいし。という思考で一瞬決まりかけたのですが、数ヵ月後にやはり「由来が居酒屋というのはどうなんだ…?」と思い直すことに(笑)。でもそこから愛称が「いっくん」になっていたため、「い」から始まる名前で考えていって、「文化が隆盛する」という、音楽で繋がった私と夫にもリンクするような漢字一文字に出会い、その字を冠した名前に決めました。友人の居酒屋はその数年後に閉店したので、避けておいてよかったかも、と今では思っています(笑)。

お兄ちゃんと妹

娘のときは、息子が前のめりで一緒に考えてくれました。息子による第一候補は「いち」。可愛い響きだなあと思ったり、「いちか」にしてみたらより女の子っぽいかな?と考えてみたりしましたが、「いっくん、いっちゃん」だとややこしいかな?ということで、いったん別の道を模索してみることに。息子による続く候補案は「くるみ」。これも素敵だなと悩んだのですが、いろいろあって採用とはならず、結果的にその名前は、娘が生まれた頃にお世話になった上司にプレゼントしていただいたクマのお人形に与えました。クマのくるみちゃんは、今でも娘が相棒のように慕っています。

娘さんとクマのくるみちゃん

娘の名前は紆余曲折を経て、「り」から始まる名前に。息子のときと同じく響きを重視して、漢字の組み合わせがちょっとだけ個性的かなという名前に決めました。「いっくん、りっちゃん」というあだ名は呼びやすくて、周りの親族や友人からもその呼び方で親しまれています。

あんなに好きだった名付け。いざ自分の子どもに付けるとなると、こんなにも難しいのか、と思うことばかりでしたが、子どもたちが今後もずっと、自分の名前を気に入ってくれていたらいいなと願うばかりです。

岸野恵加(きしのけいか)

PROFILE

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2011年生まれ男児と2016年生まれ女児の母。編集者として働くかたわら、インタビューZINE『meine(マイネ)』を発行するなど活動の幅を広げている。ドラマーとしても活動(所属バンド『the mornings』は現在休止中)。
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