先輩パパとママの毎日コラムvol.283

伊野家の子育て日記「8月は日本のどこかで田舎暮らし! 一ヵ月間のプチ移住」後編

2019/11/12
伊野家の子育て日記「8月は日本のどこかで田舎暮らし... 伊野家の子育て日記「8月は日本のどこかで田舎暮らし...

写真好きのママがお届けする、3人の子どもの子育て写真日記。今回は「プチ移住」の後編です。

毎年家族で行っている一ヵ月間のプチ移住、現在4才の息子が0才のときから続けているので、息子は8月を東京で過ごしたことがありません。赤ちゃんを連れての外出や旅行は大変というイメージがあると思うのですが、プチ移住の場合は、最初と最後の移動を除けば一ヵ月間おなじところに暮らし続けるので、赤ちゃん本人や家族にとっての負担も、もちろん全くないとは言えないけれど、意外とそんなに重くないのかなと思っています。

今回は、幼い子どもや赤ちゃんを連れてプチ移住することの魅力や苦労について、書いてみたいと思います。

2015年の夏、息子が生後9ヵ月のときに、長野県・長和町の古民家に滞在しました。2015年の夏、息子が生後9ヵ月のときに、長野県・長和町の古民家に滞在しました。

最大の魅力は、なんといっても、様々な土地と暮らしを見て体験させてあげられることです。赤ちゃんのときの体験がはっきりと記憶に残るということはなくても、多様な経験をすることで、物事の受容の仕方や心の働きには影響があるのではないかなという気がしています。

生まれて初めての夏から毎年プチ移住をしている息子は、0才の夏のことは完全に忘れていますが、1才2才のときのことは、断片的には覚えていたりもします。長女も息子も、夏の写真を見返しながら「このときはああだった、こうだった」という話をするのが大好きです。「東京はこうだけど、田舎はこう」というような違いに気付いているのを聞いて、感心してしまうこともあります。

2016年に滞在した秋田県・男鹿では、家のすぐ前に日本海が広がっていました。2016年に滞在した秋田県・男鹿では、家のすぐ前に日本海が広がっていました。

また、涼しい場所を選んで行っているので、体への負担が少なく、元気に外出や外遊びができるのも嬉しいです。わたし自身がとても暑がりということもありますが、スマホに入れているお天気アプリから毎日「熱中症の危険あり、運動は原則禁止」などというアラートが飛んできて、学校のプールすら中止になったり、夜も寝苦しかったりするくらいの気候では、冷房を効かせて家に籠もるか、商業施設に行くくらいしかできない……となってしまいそう。日中の気温がそれなりにあがる土地でも、自然が多いところだと朝晩はちゃんと涼しくなって、それだけでも体への負担はかなり違いますよね。

町内を川が5本も流れている岐阜県・白川町。2017年の夏は、毎日川遊び三昧でした。町内を川が5本も流れている岐阜県・白川町。2017年の夏は、毎日川遊び三昧でした。

田舎暮らしの楽しみを更にもうひとつあげるとすれば、新鮮な野菜や果物が直売所などで手軽に買えること。あまり東京には出回っていない野菜を見つけたり、品揃えからその地域の特産を知ったりするのも楽しいです。そしてなにより、安い。特に、東京にいるとなかなか手が出ないような、ちょっと値の張る果物も、これなら、と財布の紐がゆるみます。

生後10ヵ月の娘は、この夏はじめてトウモロコシやメロンを口にしました。はじめて食べるトウモロコシやメロンが北海道の地物だなんて、贅沢〜!羨ましい〜!と家族みんなで盛り上がりました(本人は無表情でモグモグしていましたが……笑)。

左から、ゴールドラッシュ、恵味ゴールド、おおもの。左から、ゴールドラッシュ、恵味ゴールド、おおもの。新しい品種を見つける度に買って試していました。
夕張メロンを室温で追熟させていると、部屋中がメロンの香りで満たされて幸せでした。夕張メロンを室温で追熟させていると、部屋中がメロンの香りで満たされて幸せでした。

一見デメリットのように見えて、実はとても大きなメリットだと思えることもあります。移住先には、おもちゃも絵本も限られた数しか持っていけません。友達にも会えなくなります。なので、物足りなかったり退屈に感じたりもするようですが、一方で、あるものでなんとかする、自分たちで考えて遊びを作り出す、というように、頭と心を使って内発的に動き始めるようになるんです。親としても、なにかに飽きたらすぐ次に遊べるものを差し出せたほうが、楽だったりします。でも、暇で退屈な時間というのも、子どもにとっては大切です。その過程の苛立ちも含めて、干渉しすぎないようにグッと堪えて見守ることが大事なんだろうなと思っています。

おなかに次女がいたので、家でゆっくり過ごすことも多かった2018年の夏。おなかに次女がいたので、家でゆっくり過ごすことも多かった2018年の夏。退屈だと兄弟喧嘩も増えます……。

苦労する点としてはやはり、環境の変化に伴う体調不良や、精神的な不安定さでしょうか。次女は、北海道に行ってから、東京ではおさまりかけていた夜泣きがぶり返してしまいました。今年はあまり誰も体調を崩しませんでしたが、到着した翌日くらいに子どもが発熱したこともあります。

完全なバケーションではなく、家族の誰か(我が家の場合は夫)が仕事をしている場合は、「子どもたちに仕事の邪魔をさせない」というのも重要なミッションなんですが、これが実はなかなか大変です。慣れない台所と調理道具で家族全員分の食事(自分+子ども+更に夫の分も!)を毎日3食作るのも重労働です。ペースを掴めないうちは、バタバタしていて次女に離乳食をあげるのを忘れてた、なんてことも何度かありました。笑

今年の夏は、次女の夜泣きに苦しみました。今年の夏は、次女の夜泣きに苦しみました。彼女も辛かっただろうけど、わたしも辛かった……。

家事をする立場としては、住み慣れた場所にいるほうが楽なのは間違いないのですが、子どもたちの育ちやこれらの経験から得られる学びを考えると、これからもできる限り、こういう夏の過ごし方を続けたいと思うのでした。

伊野妙

PROFILE

伊野妙このライターの記事一覧

東京生まれ、横浜育ち。女の子と男の子の三児の母。家庭業の傍ら、編集・ライティング・翻訳などの仕事を少々、ニットデザイン・制作販売の仕事を少々(Juhla[ユフラ]主宰 /『輪針だからカンタン! おしゃれでかわいい手編みこもの』発売中)。
http://instagram.com/eatoooni

(制作 * エチカ)

RELATED 関連情報はこちらから

RANKING アクセスが多い記事をランキング形式でご紹介。

妊娠・出産・育児は、
わからないことがいっぱい。
悩み過ぎず、自分のペースで
行える育児のカタチを紹介していきます。
コモドライフとは?