先輩パパとママの毎日コラムvol.573

山神千里のマタニティー日記(6)〜出産バッグを片手に、いざ!〜

2023/3/20
山神千里のマタニティー日記(6)〜出産バッグを片手... 山神千里のマタニティー日記(6)〜出産バッグを片手...

フォトグラファー・山神千里さんのマタニティー日記。6回目は、いよいよ出産!入院から退院までのお話です。

いつ陣痛が来てもおかしくない臨月の頃には、出産バッグは用意してありました。

何を持っていくのか。それは、妊娠初期につわりで入院をしていたことが役立ちました。病院で準備してくださいと言われているものに加えて、リラックスできるようなお気に入りのアロマスプレー(枕やタオルにシュッとする用)や、ハーブティーと保温ポット。そして、陣痛時には温めると痛みが緩和すると聞いたので、カイロや電子レンジで温める湯たんぽも持ち込みました!

健診だとまだまだ赤ちゃんが降りてきてはいない様子であると共に、計画入院をしての無痛分娩予定だったので、気持ちはゆったり身構えていました。当時は赤ちゃんが下の方に降りてきてくれるようにと、お散歩をよくしていましたね。

まもなく出産の頃。雪が降ってきましたー!まもなく出産の頃。雪が降ってきましたー!

そしていよいよ入院。計画出産だったので、予定日前日の午後に病院へ。病院へ向かう直前のお昼には、景気付けのために自宅で鰻を食べました。その時は、夫婦二人でゆっくり食事するなんてしばらくないんだろうな〜なんて、悠長に感慨深くなったりする余裕までありました。

コロナ禍だったので、病院は受付までしか家族は入れません。PCR検査をしてから結果を待つまで1時間程度時間があり、二人でしばし待ちました。この時間はだいぶ長く感じましたが、わたしは出産への緊張もなく、夫も普段通りで、他愛も無い会話をして見送ってくれました。

入院してからは、子宮口が開いてこなかったので、準備処置としてバルーンを入れることになりました。聞いてはいたけど、これがなかなかの痛さ!このまま陣痛が来る人もいるそうなのですが、わたしはその気配はなかったので、テレビを見ながらリラックスして過ごしました。

産科のフロアでは、産まれてすぐの赤ちゃんの声も聞こえてくるので、「ついにわたしも明日赤ちゃんに会えるんだな、この大きなおなかから出てきてくれるんだな。あんな可愛いほぎゃあという声が聞こえるんだな」と、嬉しさとドキドキが混ざった気持ちで眠りにつきました。

計画出産予定日、当日。朝から陣痛促進を開始!微弱に陣痛がきて麻酔も投入。だがしかし!午後になっても待てど待てど、陣痛が強くなっていくどころか弱まっていったのです。スマホで連絡をとる余裕もあり、時々家族とテレビ電話などもしてすごしました。相変わらず子宮口が開いていく気配はなく、1日目が終了しました。初産にはよくあることと聞いていたので、あまり心配することもなく、明日には産まれるかな?なんて、のんびり思っていました。

2日目。1日目と同様、朝から陣痛促進。昼には昨日より強い陣痛が来たものの、麻酔を入れたあたりから弱まっていってしまい、強くならず。隣の分娩室からは、産声と拍手が聞こえ、徐々に焦りが出てきたものの、赤ちゃんにはタイミングがあって、どうにもならないのでただ待つばかりでした。助産師さんがリラックスできるよう足湯をしてくださったり、マッサージをしてくださったのですが、この日も赤ちゃんには会えずでした。ただ、前駆陣痛といわれるものがあり、子宮口も多少開いてきているので、もうすぐ産まれるかもしれないと淡い期待を抱きつつ夜を越しました。

3日目。わたしは麻酔をすると陣痛が弱まるようなので、本当にギリギリのところまで麻酔を使わない作戦に変更して3日目がスタート。すると昼には破水し、午後には強烈な陣痛に!子宮口も8cmとだいぶ開いてきました。助産師さんが痛みの緩和のためにツボを押してくれたり、温めてくれたりしました。しかし、痛みで脚はガクガク。高熱も出てきて、意識も朦朧。陣痛だけある状態でお産が進まなかったため、緊急帝王切開になりました。帝王切開への恐怖などは全くなくて、とにかく、元気に赤ちゃんが産まれてくれたらいい。ただただ、その気持ちしかありませんでした。手術はスムーズに進み、意識もある状態で、赤ちゃんはおなかから出てきてくれました。

初めて聞いた我が子の産声は、イメージしていたようなか細い声ではなく、ものすごく大きくて野太くて、思っていたよりずっと逞しさを感じる声でした。

赤ちゃんとは、体を綺麗にしてもらい処置をしてもらってから、数分後にようやくご対面。ありきたりな言葉かもしれないけれど、本当に「やっと会えたね。産まれてきてくれてありがとう。こんなお顔をしているのね、夫のお父さんとわたしの弟に似てるかも」と思いました。

眠っている赤ちゃん

予定より2日遅れてようやく会えた息子。手術になったことで、夫がほんの少し赤ちゃんに会えました。夫は緊急帝王切開と聞いて、日中にわたしからの途中経過の連絡も途絶えたまま夜に病院に呼び出されており、怖い思いをしたようです。夫婦ともに安産のイメージしかもっていなかったので、長時間にわたるお産で、赤ちゃんが先に手術室から戻ってきた時にはただただ安堵しかなかったそうです。

このように、計画出産のもとに予定していたバースプランはほぼ叶わず、思い描いていたお産でもなく、“フルコース”と言われるようなお産になってしまいましたが、たくさんの方が支えてくださったことで自分のお産を肯定的に記憶に留めることができました。

実は息子の名前は夫婦でいくつか候補を絞ってはいたのですが、お産の真っ只中にいろんな人にすくわれていることを感じて、その想いを込めたいと名前を決めました。

産後から退院までは、わたしはとにかく回復することに全集中!赤ちゃんは幸い何の問題もなく、元気で、順調でした。

入院中は家族との面会ができないので、ビデオ電話で話したりもしました。自撮り棒は入院のために初めて購入しましたが、買っておいてよかったです(笑)。 

産まれたばかりの赤ちゃんは毎日お顔が変化してくので、カメラで撮るのも入院中の楽しみでした。ふだんは仕事としてカメラを持っていますが、我が子の写真は、学生時代に初めて一眼レフを使い始めた頃のようなウキウキ感がありました。どれもかわいい!!と、たくさん撮ってしまう親バカがここから始まりました。

退院して我が家にて。腕にすっぽり収まるほどの小ささ!
退院して我が家にて。腕にすっぽり収まるほどの小ささ!
寝ているだけでもかわいい。赤ちゃんがいる暮らしの始まりを感じました。
山神千里

PROFILE

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1985年埼玉県所沢市生まれ。活発で男の子のような幼少期を過ごす。高校生まではスポーツ少女だった一方でものつくりが好きだった母の影響から、絵画や造形、映画に興味を持つようになる。大学は日本大学芸術学部写真学科に進学。卒業後、広告代理店制作部勤務。フォトグラファーを志し、広告フォトグラファーアシスタントを経験。2013年からの2年間はバンコクを拠点とし活動。2015年からは東京を拠点とし、人物写真、料理写真、ウェディングフォト、ファミリーポートレートなど女性らしいあたたかみのある写真を得意として幅広く活動中。
https://www.chisatoyamagami.com/

(制作 * エチカ)

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