神楽坂発酵美人堂・清水紫織さんの、マタニティ期に発酵料理をひとさら添えて #1「日本の伝統調味料『醤(ひしお)』、知っていますか?」


妊娠をきっかけに発酵食と出会い、発酵料理専門の料理教室「神楽坂発酵美人堂」を立ち上げて、たくさんの人にその魅力を伝える清水紫織さん。妊娠中のエピソードとともに、マタニティ期におすすめのレシピを教えていただきました。1回目は発酵レシピの万能調味料「醤(ひしお)」の作り方です。
——なぜ発酵食に注目したのですか?
清水さん
第1子の妊娠がきっかけでした。私は幼少期からアレルギー体質で、改善をしたいという目的もありました。アレルギーの遺伝の可能性やそもそもの原因、改善方法はあるのか?など、勉強を始めたところ、腸内環境の改善が効果的と知ったんです。それ以来、腸内環境を整えてくれると言われている発酵食品を継続的に食べること、添加物などを止めること、そして食材のトレーサビリティなどを調べて買い物もするようになりました。
——発酵食に出会って、清水さんはどんな変化がありましたか?
清水さん
発酵食を取り入れたことと、食生活の見直しも行ってきたことなどもあってか、アレルギーや、体調も改善されてきたと感じています。さらに、肌も綺麗になって痩せるというおまけ付き。こんなにも素晴らしい日本の伝統食を、もっとたくさんの方に知ってほしいとの思いから、発酵の料理教室を始めたんです。発酵食のレシピはどれも簡単で手軽なものばかりなので、妊婦さんや子育て中のお母さんの手助けにもなればとも。
——清水さんご自身は、妊娠中はどのように発酵食を食卓に取り入れていましたか?
清水さん
一日一杯はお味噌汁を必ず飲み、今日ご紹介する「醤(ひしお)」や「塩麹」をお料理に使ったりしていました。また、甘いものが欲しいときには「甘酒」を飲んでいましたね。「甘酒」は、よくアルコールが入っていると勘違いされることもあるのですが、麹を発酵させてつくられたものはノンアルコール。天然の点滴と呼ばれるほど栄養価も高く、妊婦中でも安心して飲むことができます。
——本日レシピを教えていただく、「醤(ひしお)」について教えてください。
清水さん
万葉集にも載っているほど歴史のある発酵調味料で、味噌や醤油のルーツと言われているものなんです。麹といえば米麹がよく知られていますが、「醤(ひしお)」は麦麹と豆麹のブレンドである「ひしお麹」を使って作ります。旨み成分が多いので、食材に混ぜるだけで、簡単に美味しく1皿が作れる万能の調味料なんです。体にいいことや美味しいはもちろんですが、子育てで時間のない方や料理が苦手な方にもおすすめですよ。
RECIPE
醤(ひしお)
材料(作りやすい量)
・ひしお麹(ここでは神楽坂発酵美人堂の「まろやかひしおの素」を使用)…100g
・濃口醤油(材料が大豆・小麦・塩だけのシンプルなもの)…100ml
・水(浄水器を通した水やミネラルウォーター)…50ml
・昆布…お好みで、5cm角
作り方
- 1.大鍋に沸騰させた瓶とフタを入れて5分以上煮沸するなどの消毒をした、清潔な瓶に材料を全て入れ、清潔なスプーンでよく混ぜる。
※煮沸後は瓶が非常に熱いので、常温まで冷ましてから利用してください。 - 2.直射日光が当たらない常温に保存し、1日1回清潔なスプーンで混ぜる。
- 3.10日〜約2週間程度で麹が柔らかくなり、甘い香りがしてきたら出来上がり。冷蔵庫へ入れて保存し、使い進める。粒が気になる方はハンドミキサーなどで滑らかなペースト状にすると良い。





PROFILE
清水紫織このライターの記事一覧
自身のアレルギー改善をきっかけに発酵料理人の伏木暢顕氏に師事し、広く発酵食の魅力を伝えたいと2013年に発酵料理専門の料理教室「神楽坂発酵美人堂」を立ち上げる。発酵をより深く学ぶため、東京農業大学醸造科学科で科目等履修生として三年学ぶ。教室運営のほか発酵食品のブランドも手がける。0才からの腸活を掲げキッズ発酵教室も定期的に開催。著書に『発酵料理のきほん –はじめてでも、とびきりおいしく』(朝日新聞出版)、『発酵調味料でつくる からだにいい 発酵スープ』(朝日新聞出版)。
https://www.hakko-bijindo.com/
(制作 * エチカ)