神楽坂発酵美人堂・清水紫織さんの、取り分け発酵離乳食 #1「甘味が優しい『甘酒肉じゃが』」
妊娠をきっかけに発酵食と出会い、発酵料理専門の料理教室を開催するなど、その魅力を伝える清水紫織さん。「発酵調味料は時間のないママの味方」と話す清水さんが、今回は大人と赤ちゃんの料理が一度に作れる離乳食期の取り分けレシピを教えてくれました。1回目は、甘酒を調味料としてつかった「甘酒肉じゃが」です。
——取り分けレシピを考えたきっかけはありますか?
清水さん
1人目のときは離乳食の作り方さえ分からないまま、とにかくきっちりと本の通りに頑張っていました。食材ごとにすり潰して、一食分ずつ冷凍したり。 でもそれはとても大変でしたし、楽しめなかったんです。2人目のときにはその経験を存分に活かそうと思い、料理の工程を分解して考え、全部のメニューを大人からの取り分けで作ることにしました。多くのお料理は味付けをする前に食材に火を通すので、そこで赤ちゃん用を作り、残りを大人用の味付けにすれば問題ないんですよね。たとえそのせいで大人には少し柔らかくなりすぎることがあっても、それは目をつぶることにしました。別々の食事を作らなくて良いのでとても効率的ですし、なによりも同じものを一緒に食べられるという楽しさがありました。
——今回教えていただいた「甘酒肉じゃが」は、どんな料理ですか?
清水さん
一般的には砂糖で甘みをつける肉じゃがですが、甘酒を使うことで大人にとっても心地よい自然な甘みに仕上げた一皿です。赤ちゃんとの取り分けレシピの際のポイントとしては、「米麹」でつくられた甘酒を使うことです。酒粕でつくられたものとは異なりアルコール成分がはいっていないため、妊婦さんでも安心です。水分多めが食べやすいお子さんには、お出汁を多めに加えてすり潰して口当たり良くしてあげてください。
——甘酒は他の料理でも砂糖の代わりに使っても良さそうですね!
清水さん
はい、そうなんです。 甘酒の甘みはブドウ糖なのですぐにエネルギーに変わります。体への負担が少なく、お子さんにも大人にも優しい甘味調味料なんです。それにオリゴ糖や食物繊維が含まれているので、腸内環境を整えるのにも効果的。離乳食を始めたころは便秘になるお子さんもいらっしゃるので、その改善も期待できますよ。
RECIPE
甘酒肉じゃが
材料(2人分)
A
|・じゃがいも…3個
|・玉ねぎ…1/2個
|・人参…1/2本
|・水…200ml
|・昆布5cm角…1枚
|・干し椎茸…1個(またはスライスタイプ…6枚)
|・米麹でつくられた甘酒(濃縮タイプ)...大さじ2
・玉こんにゃく…3個 ※大人用
・牛薄切り肉…100g
・インゲン…3本
・本みりん…大さじ1
・醤油…大さじ2
・酒…大さじ1
作り方
- 1.じゃがいもは一口大に、玉ねぎは1.5cm幅の半月切り、人参は乱切りにする。玉こんにゃくは半分に切りインゲンは3cm長さに切る。干し椎茸は手で割っておく。
- 2.深鍋にAを全て入れ中火にかけて沸騰してから蓋をし、7分ほど煮る。じゃがいもが柔らかくなったら子ども用にじゃがいも、玉ねぎ、人参を取り出しすり鉢ですり潰す。
- 3.本みりん、醤油、酒を加え玉こんにゃくと牛薄切り肉を入れて肉の色が変わったら、最後にインゲンを加えて蓋をし、1分ほどして大人用の出来上がり。
- Point
・濃縮タイプの甘酒は水分を増やさずに甘みの調整だけができるのが便利です。通常の甘酒を使用する場合は、たくさん使用しても甘みは控えめな仕上がりになるので、大人用を仕上げる際に砂糖やみりんで味の調整をしてください。
・こんにゃくは離乳食期ではNGな食材なので、必ず取り分けてから入れてくださいね。
PROFILE
清水紫織このライターの記事一覧
自身のアレルギー改善をきっかけに発酵料理人の伏木暢顕氏に師事し、広く発酵食の魅力を伝えたいと2015年に発酵料理専門の料理教室「神楽坂発酵美人堂」を立ち上げる。発酵をより深く学ぶため、東京農業大学醸造科学科で科目等履修生として三年学ぶ。教室運営のほか発酵食品のブランドも手がける。0才からの腸活を掲げキッズ発酵教室も定期的に開催。著書に『発酵料理のきほん –はじめてでも、とびきりおいしく』(朝日新聞出版)、『発酵調味料でつくる からだにいい 発酵スープ』(朝日新聞出版)、時短にもなって、多忙なママやパパにおすすめの『発酵食のストックレシピ “漬けて置く”だけ、おいしく整う』(マイナビ出版)。
https://www.hakko-bijindo.com/
(制作 * エチカ)