授乳初心者のママも赤ちゃんも安心。母乳育児がスムーズになるラッチオンとは?【助産師が解説】
皆さんは「ラッチオン」という言葉を知っていますか? 「ラッチオン」が正しく行えると、母乳育児を軌道に乗せやすくなり、授乳がスムーズになります。「ラッチオン」とは何か、どうやって行えばいいかについて、助産師で杏林大学の准教授である加藤千晶先生に教えていただきました。
「ラッチオン」とは
赤ちゃんがおっぱいを含むことを「ラッチオン」と言います。赤ちゃんの吸い付くタイミングに合わせて、ママの乳首だけでなく乳輪部まで深く口に含ませることができると、スムーズに授乳が始められます。また、上手にラッチオンできることで、赤ちゃんがおっぱいを吸う刺激によって、ママの母乳を出すホルモンが分泌されて母乳が出るようになっていきます。
赤ちゃんが授乳を始めるまでの手順
赤ちゃんに上手にラッチオンしてもらいおっぱいを飲んでもらうために、授乳の手順を知っておきましょう。2つのポイントをまとめましたので、参考にしてくださいね。
1.赤ちゃんの体をねじらずに一直線になるよう抱っこ。ママの姿勢も正しく
赤ちゃんのからだ全体がママのおっぱいに向かい合うようにします。このとき、赤ちゃんのからだがまっすぐになっていて、ねじれていないことが大切です。頭、首、背筋、腰までが一直線になっているか確認しましょう。ママは座って授乳する場合が多いかと思いますが、そのときに背筋を伸ばして前かがみにならないようにします。このように正しい姿勢でママと赤ちゃんが密着することで、赤ちゃんがママのおっぱいを含みやすく、集中して飲みやすくなります。
2.赤ちゃんが口を開いたら、おっぱいを含ませる
赤ちゃんを抱いたら、ママの乳首を赤ちゃんの口の高さが同じぐらいになるようにしましょう。赤ちゃんの唇にやさしく乳首をあてて反射を促して、口を開かせます。赤ちゃんが口を開けたら、赤ちゃんをママのおっぱいに引き寄せて、乳首を舌の真ん中に置き、乳輪部まで深く含ませましょう。このとき、赤ちゃんの唇は外側に向かって開く、いわゆるアヒル口になって吸いつけていれば、上手にラッチオンができているでしょう。深くくわえることができると、母乳の分泌がよくなることが期待できます。そして、乳首に傷ができることや、トラブルが起きにくくなるメリットもあります。
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正しい「ラッチオン」のサイン
授乳の際に、以下のような様子が見られたら、正しくラッチオンできているといえます。
・赤ちゃんの口が大きく開いている
・下唇が外向きに広がっている(アヒル口になっている)
・赤ちゃんの下あごがおっぱいについている
・赤ちゃんの下唇が乳輪をすくい上げるようにくわえている
これらのサインが1つもみられないときは、おっぱい(乳頭)のくわえ直しをしてみましょう。正しい姿勢になっているか見直し、授乳の姿勢を変えてみるのもよいかもしれません。
はじめはママも赤ちゃんも授乳初心者なので、思うようにラッチオンができないかもしれません。でも、いろいろ試しながら授乳を続けていくうちに、ママと赤ちゃんに合った授乳姿勢が見つかって、ラッチオンができるようになっていきますよ。
ママのおっぱいが陥没乳頭や扁平乳頭などの場合は、赤ちゃんが吸い付くのが難しいこともあります。そうでなくても、正しくできているか不安なこともあると思います。そんなときは助産師に相談して、飲ませ方やくわえさせ方を直接教えてもらうと良いですね。母乳外来や助産師訪問などで相談しましょう。
まとめ
母乳育児はママと赤ちゃんの協同作業です。はじめはうまくいかないのは自然なこと。ママも赤ちゃんも何度もチャレンジしながら、二人の方法を見つけるつもりで、焦らず気長に取り組みましょう。
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PROFILE
加藤千晶このライターの記事一覧
杏林大学保健学部看護学科 准教授
助産師として約10年大学病院にて勤務。その後、看護・助産教育に約15年携わり、産科病院にて看護部長を経験。現在、杏林大学保健学部看護学科准教授として助産師教育に携わっている。