篠崎芽美

先輩パパとママに聞きました!

vol.119

ダンスで開く、子育ての明るい扉。「『好き』を続ける、マタニティライフ」

プロのダンサーとして幅広い作品に参加しながら、子連れで受けられるピラティス教室や親子向けのワークショップなど、子どもや親子に向けた活動を積極的に行っている篠崎芽美さん。二児の母であるご自身の妊娠や出産について、今回はさまざまなお話を伺いました。第1回は「『好き』を続ける、マタニティライフ」です。

ダンスで開く、子育ての明るい扉。「『好き』を続ける... ダンスで開く、子育ての明るい扉。「『好き』を続ける...

ーーダンサーとしてご活躍中の篠崎さんですが、妊娠中はどのように過ごしていましたか?

篠崎
初めての出産が33才でした。「珍しいキノコ舞踊団」というダンスカンパニーに所属しながら、ピラティスの講師の資格を取るための勉強もしていたときに、第一子の妊娠が分かりました。先輩の女性ダンサーのなかには、妊娠や出産を機に引退される方もけっこういらっしゃったのですが、自分には、休む、やめる、という選択肢がなかったので、ダンスにもピラティスにも積極的に取り組んでいました。大変なことも多かったですが、今思えば、子どもを産んだあとの自分自身生き方の指針に繋がるような、とても大切な期間だったと思います。

公演のようす1

ーー妊娠中、ダンスというお仕事とはどのように関わっていたのでしょうか。

篠崎
「珍しいキノコ舞踊団」にはわたしが高校生のときからお世話になっていたのですが、ここの代表の伊藤千枝子さんは、ダンスに対する独特の哲学がある方でした。「自分以外の誰かになろうとしないで欲しい。その人にはその人の「今」のダンスがある」というふうに、踊る人の年齢、生活の変化を自然なこととして受け入れてくれるところだったんです。

なので、妊娠したわたしがやるべきことは、おなかに命が宿っている今の自分にしかできない踊りを踊ること。本番では、おなかに「Boy or Girl?」と矢印マークがついている衣裳を着て、妊婦の自分としての踊りを表現しました。

ーー人生でいちばん自分の身体が変化する時期に、自分の変化を受け入れて表現するというのは、本当にそのときにしかできないことですね…。

篠崎
妊娠中とひとくちに言っても、おなかの赤ちゃんが成長するのに合わせて、身体も気持ちもどんどん変わっていくんですよね。体の重心も変わるし、ホルモンバランスも変わる。関節の柔らかさも変わるし、精神的な変化も起こる。できること、できないことが毎日変わる。自分の踊りを見つけるためには、そういった変化に対して敏感で在り続けないといけない。とても難しい課題でしたが、まったく新しい表現方法を手に入れたような感覚もあって、いま思えば素晴らしい体験でした。妊娠中に踊ること自体の辛さはほとんどなかったです。歩くよりも踊っているほうがラクでした(笑)。

公演のようす2

ーー現場では、どのように過ごしていましたか?

篠崎
語弊を恐れずに言えば、「珍しいキノコ舞踊団」の稽古場では、ダンスに関してわたしに対する特別扱いが一切なかったんです。怒られ方、注意のされ方も妊娠前とまったく同じ。ダメなときはめちゃくちゃ怒られますし(笑)。でもそれは、逆に言うと、信頼関係がしっかり築けているからこその厳しさで、手を抜くことなくまわりのメンバーと同じ扱いをしてもらえるというのは、すごくありがたかったです。また、カンパニーとそういう関わり方ができたのは、わたし自身も一緒に環境を作っていたところがあったと思います。

ーープロの世界ならではの厳しさと信頼関係ですね。

篠崎
そうですね、本当に、変わらず踊り続けられることをまわりに感謝する日々でした。ただ、もちろん最優先すべきは「おなかの赤ちゃんの命を守る」ことでしたから、おなかが張ったり、脚がつったときはすぐに横になって休む、かかりつけの産婦人科の先生に相談しながら仕事を続けるなど、おなかの赤ちゃんの安全には徹底的に気をつけていました。カンパニーの仲間も当然のようにサポートしてくれました。おかげさまでギリギリまで楽しく踊り続けることができて、最終的には妊娠8ヵ月まで稽古場に通っていました。

ーー現在はピラティスの講師としてもご活躍中の篠崎さんですが、ピラティスを始めたきっかけは何だったのでしょうか。

篠崎
ダンスで腰を痛めたときに、前から興味のあったピラティスの教室に通ってみたのが最初なのですが、ピラティスを始めたことで自分のダンスに対する意識が驚くほど変わりました。ダンスによる身体のトラブルも減ったし、ダンスの振り付けと体の構造の関係性のようなものも把握できるようになり、以前よりもぐっと踊りやすくなったんです。ピラティスというのはわりと解剖学的な側面も大きくて、自分の身体のなかで普段どういうことが起きているかということが客観的に把握できるから、自分の動きひとつひとつに納得がいくし、地に足のついた生き方ができるようになる気がして。知れば知るほど面白く、もっと深く学びたくて講師の資格を取るために勉強しているときに、第一子を妊娠したという感じです。

おなかが大きくなってきた頃の篠崎さん

ーーピラティスとヨガの違いがよくわからない方もいらっしゃると思うのですが…。

篠崎
ふたつは一見似ているようですが、歴史や目的はかなり違います。ヨガは約4500年前の古代インドで発祥したものですが、ピラティスは第一次世界大戦中に負傷兵が寝たままリハビリできるエクササイズとして始まったもの。ヨガはストレッチや呼吸、瞑想やポーズを落として心身の安定をはかるものですが、ピラティスは解剖学に基づき、決められた動きやポーズを通すことで骨格や筋肉をあるべき状態に導くものです。呼吸法もそれぞれ異なります。個人的には、ヨガはヨガ自体が目的でありゴールであることに対して、ピラティスは別の何かの目的のためにやるもの、という感じがありますね。

ーー「マタニティヨガ」はよく耳にしますが、ピラティスも妊婦さんがやっていいものなのでしょうか。

篠崎
もちろんです!「マタニティヨガ」と同じように、「マタニティピラティス」というものもあるんですよ。妊娠初期やつわりがあるときは避けることと、無理な体勢はとらないこと。そこに気をつけさえすれば、ピラティスはマタニティ期を心地よく楽しむための大きな助けになると思います。妊婦さんにとって重要な骨盤周りにもアプローチできますし、もっと広く普及したらいいなぁと思っています。教室やスタジオも各地にあると思いますし、わたしも現在はリモートのピラティスの教室を不定期で行ったりしていますが、近くクラスも再開する予定です。ぜひ機会があれば利用してみてくださいね。

篠崎芽美

PROFILE

篠崎芽美このライターの記事一覧

高校在学中に「珍しいキノコ舞踊団」に出演。入団後、国内外で発表された全作品に出演。 CM、MV、演劇などへの振り付け提供多数。その他、子ども連れで受けられるピラティス教室やダンスワークショップを各地で行う。2016年より子育て中のアーティストと観客を支援する「ダンス保育園!!」の発足に参画。2018年より子どもと表現をテーマにしたワークショップとパフォーマンスのイベント「ヒョーゲンのメメメ」を主催。
@memi_shinozaki

(制作 * エチカ)

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コモドライフ編集長NOTE