先輩パパとママの毎日コラムvol.411

こいもらいふ 「こいもくんを迎えた日」

2021/7/1
こいもらいふ 「こいもくんを迎えた日」 こいもらいふ 「こいもくんを迎えた日」

エディトリアルデザイナー兼イラストレーターの齋藤州一さんとイラストレーターの野田映美さんご家族の物語。今回も文章は齋藤さん、イラストは野田さんのご担当。出産当日から退院日までのお話です。

前回は息子こいもくんとの出会いまでを書きました。今回はその続きから書こうと思います。

予定帝王切開で産まれたこいもくんとの面会を終え、その日はいられる時間だけ病室で妻に付き添いました。さすがにおなかを切った直後なので少しばかり疼くようでしたが、母子ともに無事でひとまず安心。先生の説明を聞き、夜8時を回ってから病室を後にしました。

季節は夏の終わり、厳しい残暑が残る時期でしたから自宅へ着くころには汗だくです。誰もいない我が家の玄関を開け、居間で一息ついた時にぼんやりと、今日一日に起こったこと、父になったというふわふわとした夢のような現実、来週の今ごろにはこの家に新しい家族がやってくるのだという温かな未来の想像。それらを繰り返し反芻しながら、途中で買っていた缶ビールでプチ祝杯をあげたのでした。

手術後丸一日寝たきりだったので、そりゃこうなりますよね…(野田)。手術後丸一日寝たきりだったので、そりゃこうなりますよね…(野田)。

翌日からは自宅と病院との往復です。私の場合、年末商戦に向けて夏が仕事の一番のかき入れどき。繁忙期真っ只中でしたが、夕方6時までになんとか区切りをつけて病院に向かうという日々でした。妻の体調は良好、とはいえホルモンバランスによって精神的に浮き沈みがあるようなので、心を落ち着かせられるように会えない時間分の話をなるべく聞くようにしていました。

術後2日目からは母子同室となり、こいもくんと比較的ゆっくりと会えるようになりました。大体こいもくんは寝て過ごしていましたが、その寝姿の何と可愛いこと!頭や口、手、そのほんのちょっとした動きひとつひとつが愛らしく、何よりも動いていること自体にしみじみ感動を覚えました。それこそが命が存在している証、あるいはこいもくんの主張のようにも感じられ、夢のようにも思えていた現実が日々実感として湧いてきたのでした。いえ、こいもくんから受け取っていた、と書いた方が正確かもしれません。「父親になったのだなぁ」という実感を。

「赤ちゃんが可愛すぎる」という理由で泣いたことも(野田)。「赤ちゃんが可愛すぎる」という理由で泣いたことも(野田)。

あっという間に一週間が経ち、退院の日の朝。こいもくんを迎える準備です。赤ちゃん用のお布団を敷いて、小さな枕をセッティング。もちろんその両側には妻と私のお布団も。「おお、これが例の川の字というやつではないか」とニヤけたものです。そして買っておいたおむつや哺乳瓶、粉ミルクなどの確認。ちょうどよい室温になるようにエアコンの調節をし、病院に向かいました。

助産師が語る正しいラッチオンのやり方とは 母乳育児をスムーズにするラッチオンって知ってる?助産師が語る正しいラッチオンのやり方とは
(母乳育児情報サイト ぼにゅ育)

私が昼前に病室に着くと妻は退院のための準備を概ね終えており、あとは少しの手続きを残すのみ。同室の方たちは同じタイミングで帝王切開をした方ばかりだったのでその方々にご挨拶をしつつ、先生のお墨付きをもらい、助産師さんにもご挨拶をして、手続きを終え、いざ退院!

こいもくんをおくるみに包んで妻が抱っこする形でタクシーに乗り込みました。それにつけても道中の緊張感と言ったらありません。ちょっとした揺れでどこかにぶつけないか、タクシーから降りた家までの十数メートルもつまずいておっことしはしないか、そんなことばかり考えてしまいます(そう!私は極度の心配性なのです)。

そしていよいよ、我が家の玄関前までたどり着きました。ドアノブに手を掛け、ドアを開けます。いつもと変わらぬ動作のはずですが、いつもと違ったなんとも言えない気持ちでした。このドアの先に新しい生活が待っているんだ。もしかしたら大変なこともいっぱいあるかもしれない。でもどんなことでも楽しんで暮らしていきたいな。そんなことを思っていたかもしれません。

こいもくん、ようこそ我が家へ!——いや、おなかにいた頃から一緒にいたからおかえり!かな。用意していた新しいお布団にこいもくんをそっと寝かせて、お互い胸を撫で下ろしたのでした。

余談ですが、退院の夜は、野田家の両親が来てくれてお寿司でお祝いをしました。齋藤家の両親は遠方(宮城県)なのでテレビ電話を繋いでこいもくんを見せたり、祖父母同士で話の花を咲かせたりしていました。妊娠期間中に食べられなかった久しぶりの生ものに妻がしきりに感動していたのは言うまでもありません。

久しぶりの生魚が美味しくてのけぞりました(野田)。久しぶりの生魚が美味しくてのけぞりました(野田)。
齋藤州一・野田映美

PROFILE

齋藤州一・野田映美このライターの記事一覧

齋藤州一
1980年生まれ。宮城県出身。出版社のインハウスデザイナーを経て独立。書籍のデザインやイラストレーションなどを幅広く手がける。
http://sososographics.jp

野田映美
1982年生まれ。多摩美術大学美術学部生産デザイン学科テキスタイル専攻卒業。雑誌、ウェブなど各方面でイラスト、挿絵、イラストコラムを手がける。
http://nodakimi.main.jp

(制作 * エチカ)

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