札幌で長く続く絵本とおもちゃの専門店「ろばのこ」代表の藤田進さんは、子どもと大人のための月刊新聞の編集長も務めるバイタリティあふれる2児のお父さんです。今回は、絵本やおもちゃの選びかたを2回に渡り、プロならではの視点で教えていただきます!まずは、藤田家の場合を振り返っていただきました。
ーー藤田さんは仕事柄、たくさんの絵本やおもちゃに囲まれていたと思いますが、自分のお子さんに最初にプレゼントしたものは覚えていますか?
藤田さん
おもちゃは覚えています!初めての誕生日に手回しオルゴールをプレゼントしました。まるで“おやき”のような、円柱の形をした木製のオルゴールです。絵本はもともと売るほどあるので(笑)、わざわざ息子のために買ったものはないかも。…覚えていません(苦笑)。その都度、読んであげたいと思った絵本を出してきましたね。本屋さんで気になるのを見つけたら、ほぼ自分のために買って、一緒に楽しみました。
ーーおやき型のオルゴールかわいいですね!なぜオルゴールをプレゼントしようと思ったのですか?
藤田さん
そのオルゴールは手回しで、どちらに回しても音が出るものです。子どもにとってもそれほど動作が難しくないのと、「聴く」ということを意識したときに、きれいな音色がいつでもそばにあって、そして、自分でその音を鳴らせるのは、嬉しいんじゃないかな?と思ったからです。オルゴールは赤ちゃんでも、美しい音色を奏でられる楽器なんですよ!赤ちゃんたちがどんな音の環境の中にいるかって、自分たちに比べるとあまり意識することはないと思うんですよね。でも、耳はいつも開いているし、よくなんでも聞いて(聴いて)いるように思うんです。そんなわけで、心地よい音が近くにたくさんあるといいなぁと、そのための道具であるオルゴールをプレゼントしました。大人がゆっくり回してあげて聴かせてあげていると、そのうちに自分で触っていると不意に音が鳴るようになり、やがて、仕組みに気がついて、自由に音が鳴らせるようになりました。自分で回せるようになってからは、回しながら歌を歌ったりしてましたよ!
ーーおもちゃを通して“できる”の経験が楽しく積めるのはいいですね!絵本はどんなものを選んで読んであげていましたか?
藤田さん
絵本は、意識して選んだというよりも、そこにあるものをたっぷりと読みましたね。これ読んだらどうなるかなぁ?とか、僕自身が読んでみたいものを手当たり次第という感じです。赤ちゃん絵本は、大人が読んでいてもちんぷんかんぷんなのですが、赤ちゃんと読むと、わかることがたくさんあるんですよ。ここで喜ぶのかとか、これが嬉しいのかとか。息子から、絵本のことをたくさん教わり、特に乳児期には絵本にたくさん助けてもらいました。オノマトペしかない絵本なんかは、もう目をつむっても読めるくらい一緒に楽しみました。
ーー絵本は、親も一緒に楽しめるのも魅力なんですね!
藤田さん
そうですね!読み聞かせていると子どもの反応は面白いし、子どもの成長を発見することも。また、絵本を通して、一緒に同じものを見たり聞いたりする時間は、どんどん進んでいく映像とは違って、自分たちのペースで意思疎通ができるところもいいところ。我が家ではいまでも、寝る前には数冊の絵本を読むのが習慣になっていますよ。
ーー絵本やおもちゃを通じて、どんな風にお子さんの成長を感じますか?
藤田さん
絵本は楽しみかたが成長とともに変わっていきます。指差しから始まって、言葉を覚えたり、動きが加わったり。いつも読んでいる絵本を覚え、同じ音を出したりするだけで、父としてめちゃくちゃ嬉しくなったりします!また、歯が生えてくる絵本を読んで、自分の歯を指差したときには、「おお!」と感動しました。もうひとつ面白いエピソードがあって、長男がまだ文字を読めなかったころなのですが、自分が読んでもらったように、妹に絵本を読み聞かせていたのも印象深かったです。ほとんど完璧に覚えていて驚いちゃいました(笑)。微笑ましいなと思うのと同時に、自分にしてもらったことは、人にもするんだなと。親の責任って重いなぁとも思いました。絵本を通して、日々成長を感じていますね。
PROFILE
藤田進このライターの記事一覧
北海道むかわ町出身。札幌育ち。えほんとおもちゃの専門店「ろばのこ」代表、庭ビルの運営に携わり、子どもと大人のための「庭しんぶん」編集長。女の子と男の子の二児の父、まもなく3人目が家族に仲間入りする予定。
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