信州・浅間山のふもとに夫と、木登り大好き食いしん坊な４才の息子、この春産まれたばかりの娘と小さな木の家に暮らしています。小さな家ですが、日々子どもたちと過ごす庭と畑を大きな窓から眺めることができ、庭から崖の下には原っぱ、湧水のある池、小川へと続き、八ヶ岳と浅間山を望むことのできる自然豊かなところです。

（左）我が家の眼下に広がる池。（右）池のほとりをお散歩。

信州に移り住んだのは20年前のこと。物心つく前から母と道草をしながら歩き、いつのまにか草花や自然が大好きになりました。私が母にしてもらったように子どもたちや、お母さんたちに自然の楽しさを伝えたいとネイチャーガイドの道を歩み、八ヶ岳周辺や浅間山、軽井沢の森を案内してきました。15年ほど前からは森のようちえんのスタッフとしても関わり（今は息子も通っています）、私は妊娠中の方や０、１、２才と保護者の方を対象にした森のプログラムを行っています。

やがて息子と娘が産まれ、自分の妊娠、出産、子育ての中でも身の周りの自然にたくさん助けられ、食べたり遊んだり、まさに道草を子どもたちと食いながら（笑）、その恵みを四季折々にいただいてきました。そんなことをみなさんとシェアしたいと、野草を使った野草茶や野草料理のワークショップなども行ってきました。

このコラム「はっぱと風とみちくさ子育て」では息子と過ごしてきた日々や、今まさに娘と共にいる時間を道草食いながら？綴っていこうと思います。よろしくお願いいたします。

今、娘は生後３ヵ月。みなさんもされていることでしょう。授乳とオムツ替えと抱っことお昼寝と…の繰り返しの日々です。今回は私と娘の授乳タイムの話をしたいと思います。

娘の出産にあたって、ひとつだけ買い物をしました。それは窓辺に置いたソファー。授乳は１日何度もしますからリラックスして、そして体勢が楽なものがよいな、と高さや背もたれの角度を考え、ゆったりとした気持ちになれるよう庭を眺められる場所に置こうと決めました。

（左）庭で摘むことのできる野草たち。食べたり、飲んだり、遊んだり…。（右）授乳をしている窓辺のソファー。

そして退院したその日には息子とソファーに座り、息子が娘に授乳をしてくれました。窓辺にはこのあたりで春一番に咲く黄色のダンコウバイの花が満開でした。

（左）ちょっと緊張？しながら生後７日目の妹に授乳をしている息子。（右）窓辺では満開のダンコウバイが迎えてくれました。

２ヵ月の頃から娘はおなかがいっぱいになると、乳首を離して「ぷぅ〜くぅ〜」などと声をだし窓の外を眺めるようになりました。そのみつめる娘の瞳には風に揺れる葉っぱと空がうつりこんでいます。窓をあけているので鳥の声も風にそよぐ葉擦れの音も、そしてテラスで遊ぶ猫の鳴き声も聞こえてきます。

私の腕に横たわりながら、何を感じているのだろう。風を感じているのかな。葉っぱがみえているのかな？と私もそのひととき、娘と共に自然と一体となる時間を楽しんでいます。

（左）授乳途中に私の膝の上で声をあげながら窓の外をみつめる娘。（右）娘がみあげている窓辺からみえる木々と空。

窓辺には森の木の実や蔓、鳥の羽でつくったモビールもさげてあり、それが風で時折くるくると回ったり揺れたりしています。娘は首をくいっともちあげてそれを眺めたりもして、そんな様子がたまらなくいとおしいです。

森の木の実や庭の花でつくったモビール。授乳中、上をむくとちょうどみえます。

最近では哺乳瓶を持つようにもなり、おなかがいっぱいになると自分で離したり、口でむにむにょと乳首をかんで遊んだり…そしてまた外を眺めたり…。

私も娘を膝に乗せながら、あ、畑のトマトが赤くなってきたな〜。ブルーベリーが色づいてきたぞ。むむ！あそこは草がぼうぼうだ。草むしりしなくては〜。などとちょっと集中していないときもありますが（笑）、外の自然の変化と共に娘の成長を心に刻んでいます。

長い子育ての中で授乳はこの赤ちゃんの時だけ！ゆったりとこの時間を娘と共にしばらく楽しもうと思います。

PROFILE

阿部菜々恵このライターの記事一覧

ネイチャーガイド/保育士/野草ハーバリスト
道草を愛でること、食べることがライフワーク。軽井沢周辺の森のガイド、森のようちえんの講師などを行う。子育てや暮らしの中で美味しく、楽しい自然の楽しみ方を提案。野草茶、野草料理などのワークショップなども行う。下見と味見は2016年生まれの食いしん坊な息子と2021年生まれの娘と共に。

(制作 * エチカ)