息子が生まれたのはクリスマスイブの日でした。そこからの日々はこちら信州では氷点下10℃、日中でも零度を下回る極寒の日々。さすがに初めての赤ちゃん、風邪をひかせてはいけないと、３ヵ月間、春になるまでお散歩には行かず、ほぼ家の中にいました。

私の生きてきた日々で（笑）こんなに家の中にひきこもったことは初めてで、もう外に出たくてたまらなかったことを思い出します。そしてようやく３月になると光が強くなり、窓にはつららが下がり（気温があがって屋根の雪が溶けてくるので）、ところどころ地面も見えて春がきたことを感じられるようになります。この頃、暖かい日中を見計らって息子を抱きながら、庭に植えた球根たちの芽を探すのが子育ての合間のほっとする時でした。

（左）薪ストーブの横でにゃんこと。（右）雪の下から顔を出したスノードロップ。

やがて、待望の４月になり（とはいってもまだまだ氷点下の日もありますし、風も冷たい！）、ベビーカーを購入してお散歩の日々がはじまりました。その時３ヵ月だった息子はよく泣き、抱っこでしか寝てくれなくて、だんだん重くなり、夜もなんども授乳で起きて気力、体力共に私は限界だったのですが、お散歩することができるようになってかなり気持ちが救われました。

昼も夜も抱っこと授乳でほぼ寝ていないのでふらふらと歩いてはいたのですが、なんと！？息子はベビーカーに乗り外の空気にふれると、すぅーっと寝てくれたのです。私はそれだけで心が軽くなりました。

そして、大好きな浅間山の雄大な姿に気持ちがやすらぎ、川の音、鳥のさえずり、道々に咲く花たちの姿にたくさんの元気や喜びをもらいました。１日、朝と夕方で２〜３時間近く歩いていたでしょうか。家に戻っても息子は部屋に入ると起きてしまい、庭だとベビーカーで寝ているので、私はひたすら庭仕事？？朝から日の暮れるまで赤ちゃんと外にいる？そんな日々を８ヵ月頃まで過ごしていたと思います。

（左）ベビーカーを押しながらいつも見上げた大木のこぶし。（右）夏の庭を抱っこでお散歩。

一方、今ちょうど８ヵ月になった娘ですが、こちらは春生まれ。入院中にも庭が気になっていた私は、退院してその日に庭のパトロールに娘を抱いて出ました。早春の庭は発見と喜びがあちこちに溢れているのです！しかしさすがに10分ほどで部屋に戻りましたが、この日から娘と毎日庭に出る時間がとても楽しみでした。

そして１ヵ月後、初めてのお散歩へ出かけました。この日は息子がベビーカーを押してくれ、近所の小さな公園まで。遅咲きの桜の花びらが地面一面に落ちていて、小さなスミレの花が咲いていました。娘はベビーカーですやすやと寝てくれて、久しぶりにブランコにのった息子の背中を押してあげられたのも嬉しかったです。

（左）娘を出産後３人で初めてのお散歩。桜の花びらがいっぱいでした。（右）ベビーカーの中で眠る生後１ヵ月の娘。

娘は息子と違い、外で寝かすことはほとんどありませんが、お天気のよい時は庭でだいたい遊んでいます。生まれてすぐ庭に出た時に笑顔になった娘。それからほぼ毎日外での時を過ごしているからか、外が大好きで、葉っぱや畑の野菜と戯れてはいつもご機嫌です。私はその横で畑の作物を収穫したり、薪を運んだり、庭仕事をしたりしています。

休日は息子も一緒に遊んだり、畑を手伝ってくれたり…息子と娘が一緒に笑い合っているのを見る、そんな時間がとても幸せです。

晩秋の庭。息子が吹くシャボン玉を見て、娘は声をあげて喜びます。

そして、また季節は巡り、娘にとって初めての冬がやってきました。今はまだ日中は暖かい時間があるので、庭での時を過ごせますが、この先はどうしようかしら…息子は雪や氷が大好きで走り回っていますが…ずりばいの娘は…？

ちょっと悩ましい季節を迎えそうです…（笑）。

まもなく庭は真っ白な雪に覆われます。

PROFILE

阿部菜々恵このライターの記事一覧

ネイチャーガイド/保育士/野草ハーバリスト
道草を愛でること、食べることがライフワーク。軽井沢周辺の森のガイド、森のようちえんの講師などを行う。子育てや暮らしの中で美味しく、楽しい自然の楽しみ方を提案。野草茶、野草料理などのワークショップなども行う。下見と味見は2016年生まれの食いしん坊な息子と2021年生まれの娘と共に。

(制作 * エチカ)