低月齢の赤ちゃんは、まだ寝返りをせずねんねの姿勢で過ごすので、どんなおもちゃを選んであげればいいかとわからないというママ・パパも多いかもしれません。そこで、高円寺こどもクリニック院長の保田典子先生に、低月齢の赤ちゃんにおもちゃを選ぶときのポイントや、おすすめのおもちゃについて教えていただきました。
赤ちゃんのおもちゃは、成長に合ったものを選ぼう
赤ちゃんは生まれたばかりでも音に反応します。そして生後1ヵ月になると、徐々に周囲への興味が出てきて、あやすと反応するようになります。赤ちゃんの耳はしっかりとママ・パパの声が聞こえていますから、スキンシップや声をかけてあげながら、おもちゃでも遊んでみましょう。
赤ちゃんのおもちゃを選ぶときは、赤ちゃんの月齢・発達に合わせたものを選ぶことが大切です。なぜなら、赤ちゃんの発達に合っていないおもちゃでは、赤ちゃんが遊べないからです。遊びから発達を促していくので、月齢・発達に合ったおもちゃで楽しく遊ぶことが、赤ちゃんの成長のために大事になってきます。
おもちゃ選びで押さえておきたいポイントは?
おもちゃを選ぶときは、デザイン性や楽しそうということだけで選ぶのではなく、安全性やお手入れのしやすさなどもチェックすることが大切です。低月齢のときだけでなく、赤ちゃんが成長しても押さえておきたいポイントをまとめました。おもちゃを選ぶときの参考にしてくださいね。
安全なものを選ぶ
何よりも気を付けたいのが安全性です。取れやすい小さい部品がないか、赤ちゃんが口に入れたりなめたりしても安全な素材・塗料が使われているかどうかを確認しましょう。日本製品なら日本玩具協会が定めた安全基準をクリアした「STマーク」付きのもの、海外製であればEU加盟国の基準をクリアした「CEマーク」が記載されているものを選ぶと安心です。
大きめサイズでケガをしにくい形状を選ぶ
誤飲や窒息事故を防ぐために、小さなパーツのおもちゃはNGです。赤ちゃんが口を開けたときの最大口径は39mmですので、直径39mm以下のものは赤ちゃんの手が届かないようにしましょう。もし誤飲してしまったら、すぐに受診してください。また、角があるものやとがったおもちゃは、口に入れたときや顔・頭・体に当たったときなどに、けがをしてしまう可能性があります。やわらかく、角に丸みがある形を選ぶといいでしょう。
お手入れしやすいものを選ぶ
自分の手でつかめるようになると、赤ちゃんは何でも口に入れてしまうので、清潔な状態を保ちやすいものを選んであげましょう。汚れるたびや使うたびに、洗ったりふき取ったりすることができるものが安心です。ベビー用品に使える除菌・消毒グッズなどの中から、ウエットシートやスプレータイプなど、ママ・パパが使いやすいものを選んでお手入れしてあげましょう。
対象月齢に合ったものを選ぶ
長く使いたいからと対象月齢より上のおもちゃを選んでも、発達に合わないため赤ちゃんは遊べません。対象月齢に合ったものを選びましょう。
赤ちゃんが見やすいよう、色のはっきりしたものを選ぶ
低月齢の赤ちゃんは、まだ物や色の識別がはっきりできません。そのため、色合いは原色やはっきりした色がおすすめです。
0~4カ月におすすめのおもちゃはコレ!
新生児期
新生児期は、まだ目もあまり見えておらず、そもそもまだあまり外に興味が向かない時期なので、とくにおもちゃを用意しなくても大丈夫です。もしおもちゃを用意するなら、ねんねの時期に長く使えるメリーやモビールがいいでしょう。
1ヵ月ごろから
少しずつ目で物をとらえるようになってくるので、メリー、モビール、プレイジムで遊べるようになります。メリー、モビールは、赤ちゃんから50cmくらい離れたところに設置しましょう。プレイマットは、この時期は触って遊ぶのではなく、物を見るだけなので、触らないから楽しくなさそうと心配しなくても大丈夫です。ガラガラを赤ちゃんの顔の近くで慣らして遊ぶのもおすすめ。
2ヵ月ごろから
追視が良くできるようになってきます。また、ママ・パパの声かけにも反応が良くなってくるので、モビールやプレイジムについている物を動かして、声かけをしてみましょう。
3ヵ月ごろから
うつぶせにも少しずつ慣れてくる時期です。追視はしっかりして、あやすと笑うようになってきます。うつぶせの姿勢で、起き上がりこぼしを置いて動かしてみたり、プレイジムで遊ばせたりしましょう。また、おもちゃだけでなく、体を使った遊びやマッサージもできるようになってきます。
4ヵ月ごろから
まだ自分から手を伸ばす時期ではないですが、少しずつ物を握ることができるようになってきます。手に持てるおもちゃやラトル(ガラガラ)、プレイジムに付いているおもちゃなどを握らせて、遊んであげましょう。寝返りの練習をしだすころなので、床に転がって遊ぶことも楽しめます。首もすわってくるので、抱っこなど体を使った遊びも取り入れて、さまざまな動きをしてみましょう。
まとめ
大事なのは選んだおもちゃを与えることではなく、赤ちゃんを観察することです。赤ちゃんを観察して、「これができるんだ!」という気付きがあったら、その気付きに合わせたおもちゃを選んでみてください。たとえば、物がつかめるようになった! と気付いたらつかめるおもちゃを準備してあげるとあまり失敗はないでしょう。赤ちゃんができることに合わせたおもちゃを通して、赤ちゃんと接することがより楽しくなっていくのではないかと思います。
PROFILE
保田典子このライターの記事一覧
小児科 | 高円寺こどもクリニック院長
2003年筑波大学医学部卒業、国立国際医療センター、大阪市立総合医療センター小児循環器内科勤務等を経て現職。小児科専門医。一般診療、小児循環器診療に加えて、漢方治療や発達相談にも対応している。2021年、高円寺こどもクリニック開院。3児の母。