赤ちゃんがせきをすると、苦しそうで心配になるママ・パパは多いでしょう。病気でなく、ただせきが出ただけなのか、元気そうだから様子を見ていいのか、なかなか判断は難しいもの。そこで、高円寺こどもクリニック院長の保田典子先生に、赤ちゃんがせきをしたときの対処法、受診する目安などを教えていただきました。
赤ちゃんのせき、まず確認することは?

せきが出るのは、気管にたまった分泌物や異物を除き、呼吸機能を正常に保つためです。赤ちゃんは大人よりもせきが出やすく、空気が乾燥したくらいでも出ることもあります。ただ、その場合はあまり頻度も多くなく、軽い感じのものです。
赤ちゃんがせきをしたら、どんなせきをどのくらいの頻度でしているかなど、状態を観察しましょう。また、元気かどうかや機嫌、食欲、熱や鼻水などほかの症状がないかどうかも確認してください。せきは出ているけれど、元気でおっぱい・ミルクや水分、離乳食もとれるときは慌てずに必要な対処をして様子を見ても大丈夫です。
ただし、発熱などほかの風邪症状がみられるとき、何度もせきをして苦しそうなとき、水分がとれなかったり、元気がなかったりする場合は、病院を受診しましょう。
せきが出た!親がまずすることは?

赤ちゃんがせきをすると心配になりますよね。おうちで親がまずすることは5つ。赤ちゃんができるだけラクになるよう、対処してくださいね。
せきの様子をそれ以外の症状を確認する
「ゴホンゴホン」、「コンコン」、「ケンケン」など、どんなせきが出ているかを確認しましょう。「ヒューヒュー」、「ゼーゼー」などの呼吸音があるかどうかもチェックしてください。元気がない、機嫌が悪い、食欲がないなど、赤ちゃんにいつもと違う様子がないか、鼻水や熱などほかの症状がないかも確認をしてください。
飲んだり食べたりできるか確認する
せき込みがひどく、飲食ができない、あげても吐いてしまう場合、脱水症になる危険があります。おっぱい・ミルク・湯冷まし・麦茶(生後1ヵ月を過ぎていれば飲ませることができます)などの水分を補給できるかどうか、離乳食を少しずつでも食べられるかどうかを確認しましょう。
たて抱きにして背中をトントンする
赤ちゃんをたて抱きにすると気道がまっすぐになり、呼吸がしやすくなります。また、背中を軽くトントンするとたんが切れやすくなります。背中をさすってあげてもいいでしょう。首すわり前の赤ちゃんをたて抱きにする場合は、赤ちゃんの頭と首をしっかり支えておこなってください。
換気して空気を入れ替える
室内の空気が汚れていると、せきが出やすくなります。こまめに換気をして、室内の空気をキレイにしましょう。空気の入れ替えをしたら、室内を温めて、家の中の温度差をなくします。また、空気が乾燥するとせきが出やすくなるので、室内の湿度は加湿器などを使って50~60%を保ちましょう。加湿器を使う場合は、1日中つけているとカビの原因になるので、お昼寝の時間や夜間など工夫して使うといいでしょう。
せきの様子などの経過をメモ
いつどういう状況でせきが出るのか、一日中出るのか、決まった時間に出るのか、だんだんひどくなっているのかなど、せきの様子を経過観察してメモしておきましょう。受診時に役立ちます。
赤ちゃんがせきをしたときの受診の目安は?

赤ちゃんがせきをしているときは、風邪などの感染症が一番考えられます。軽いときは、乾燥やホコリの可能性も。せきがあまりひどくない、おっぱい・ミルクが飲めている、機嫌が良いときは家で様子をみることも可能です。顔色が悪い、ぐったりしているときは緊急受診を考慮しましょう。
赤ちゃんのせきが病気のために出ているのか、空気の乾燥などで出ただけなのか判断できないとき、様子を見て大丈夫かわからないときもあると思います。もし判断に迷ったときや少しでも心配な場合は、病院を受診するようにしましょう。
まとめ
はじめてのせきだと心配なことも多いかと思いますが、基本は授乳ができていて機嫌が良い場合は心配ないことが多いです。心配なことは都度かかりつけの小児科を受診して、不安を解消しましょう。

PROFILE
保田典子このライターの記事一覧
小児科 | 高円寺こどもクリニック院長
2003年筑波大学医学部卒業、国立国際医療センター、大阪市立総合医療センター小児循環器内科勤務等を経て現職。小児科専門医。一般診療、小児循環器診療に加えて、漢方治療や発達相談にも対応している。2021年、高円寺こどもクリニック開院。3児の母。