子育てエール!専門家による、ママパパ応援コラムvol.119

【小児科医が解説】赤ちゃんの嘔吐。なぜよく吐くの? どう対処すればいい?

2022/2/18
【小児科医が解説】赤ちゃんの嘔吐。なぜよく吐くの?... 【小児科医が解説】赤ちゃんの嘔吐。なぜよく吐くの?...

赤ちゃんが吐くと、どこか体調が悪いのかな、病院に行った方がいいのかなと心配になってしまいますよね。そこで、高円寺こどもクリニック院長の保田典子先生に、赤ちゃんが嘔吐したときの対処法、受診する目安などを教えていただきました。

赤ちゃんはなぜよく吐くの?

赤ちゃんを心配するお母さん

赤ちゃんが吐くと病気かも?と心配になりますが、実は赤ちゃんは病気でなくてもよく吐きます。なぜなら、赤ちゃんの胃は大人の胃と異なり、カーブしておらず入り口が緩くなっているため、食道に逆流しやすいからです。そのため、病気でなくても授乳のあとに飲んだものを吐き戻してしまうことも少なくありません。

赤ちゃんが吐いたあと、機嫌がよく元気で発熱などほかの症状がないときは、慌てずに必要な対処をして、経過を見ても大丈夫です。ただし、何度も吐く、水分がとれない、吐いたあとにぐったりとして元気がない、発熱などほかの症状があるといった場合は、病院を受診しましょう。

赤ちゃんが吐いた! 親がまずすることは?

赤ちゃんが吐いても落ち着いて対処する

赤ちゃんが急に吐くと慌ててしまいますよね。赤ちゃんのために親がまずすることは5つ。確認しながら落ち着いて対処してくださいね。

誤えんしないように横向きにし、吐いた物を取り除く

吐いたもので赤ちゃんがのどを詰まらせないよう、体と顔を赤ちゃんの右側を下にするように横に向けましょう。そして清潔なガーゼで顔をやさしくぬぐい、口の周りと口の中もきれいにしましょう。

吐いたものをきれいに片づける

ノロウイルスによる感染性胃腸炎など、感染力の強い病気にかかっている場合は、ママ・パパにうつることもありますから、まず換気をしましょう。その後、マスクとビニール手袋をして汚物を静かに取り除き、すぐに袋に入れて密閉します。嘔吐物が飛び散った部分をきれいに拭くのも忘れずに。できれば次亜塩素酸ナトリウムを使用して拭いた方が良いでしょう。

吐いたものをメモしておく

赤ちゃんが吐いたものはどのような色でどんな内容物か、何回くらい吐いたかを記録しましょう。もし余裕があるなら、吐いたものを写真で撮っておくと、受診したとき医師に伝えやすくなり役立ちます。

30分はなにもあげずに様子を見る

赤ちゃんが吐くと、脱水症になってしまうのではないかと心配になり、すぐに水分を飲ませなくてはと思うかもしれません。でも、吐いたあとにすぐ授乳したり水分を飲ませたりすると、さらに吐いてしまうことがありますから、30分~1時間はなにもあげずに様子を見ましょう。いつもの吐き方なら10-15分くらいでいいでしょう。

時間をおいても吐かないようであれば経口補水液や湯冷ましなどを小さじ1あげて、再度赤ちゃんの様子を見てください。その後、15分おきに小さじ2、3と増やしてあげ続け、1時間たって再度吐くことがなければ授乳しても大丈夫です。離乳食については、吐き方が激しい場合は、母乳やミルクなどで水分をある程度とっても吐かないことを確認してから食事を開始するようにしましょう。

検温する

吐き気が治まったら赤ちゃんの体温を測ります。発熱の有無のほか、機嫌や食欲はどうか、下痢などほかの症状がないかなど、赤ちゃんの全身状態を確認しましょう。

赤ちゃんが吐いたときの受診の目安は?

病院に電話をするお母さん

赤ちゃんで心配なのは、腸重積や嘔吐による脱水症などの病気です。今までにないような、おかしな泣き方で赤ちゃんが泣いているとき、何度も吐き続けるとき、吐いたあとにぐったりして顔色が悪いときは緊急受診を考えましょう。

何度か吐いているけど機嫌はあまり悪くない、顔色が悪くなくて遊ぶ元気がある、おしっこがいつも通り出ているときなどは、お伝えした対処法を家庭でおこなって、少し様子をみましょう。とはいえ、様子を見て大丈夫なのかどうか、わからないこともあると思います。もし判断に迷ったときや少しでも心配な場合は、病院を受診するようにしましょう。

新生児の吐き戻しはなぜ起こる?原因と予防方法や病院に行く目安は?【小児科医が解説】
(母乳育児情報サイト ぼにゅ育)

まとめ

嘔吐は心配な症状ですが、脱水を心配して慌てて水分をとらせようとすると、かえって逆効果なことがあります。いったん嘔吐物の処置をしたら、落ち着いて赤ちゃんの顔色や様子を見てみましょう。水分をとらせるのは1時間くらいしてからで大丈夫です。その上で、いつもと違って心配、などありましたら遠慮せずに受診を考えてくださいね。

保田典子

PROFILE

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小児科 | 高円寺こどもクリニック院長
2003年筑波大学医学部卒業、国立国際医療センター、大阪市立総合医療センター小児循環器内科勤務等を経て現職。小児科専門医。一般診療、小児循環器診療に加えて、漢方治療や発達相談にも対応している。2021年、高円寺こどもクリニック開院。3児の母。

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