先輩パパとママの毎日コラムvol.506

はっぱと風とみちくさ子育て「おなかの中の赤ちゃんへの贈り物 〜胎児の頃の呼び名、そして命名へ〜」

2022/8/4
はっぱと風とみちくさ子育て「おなかの中の赤ちゃんへ... はっぱと風とみちくさ子育て「おなかの中の赤ちゃんへ...

自然豊かな信州でネイチャーガイドをしながら2児の子育てに奮闘中の阿部菜々恵さん。今回は2人の子どもたちがおなかの中にいたときの呼び名と産まれてからの命名についてのお話です。

息子がおなかにいるとわかってから3ヵ月。赤ちゃんが元気かどうか、ドキドキ。でも赤ちゃんの姿がみられるのが楽しみな健診の日。この日のエコー写真はしっかりと赤ちゃんの姿がみえ、人の姿になっていました。そして、その表情はゆったりとおなかの中で微笑んでいるかのようでした。今までふわ〜っとしていた赤ちゃんがおなかにいるという感覚が、その姿を目にすることができたおかげで、「我が子」としてしっかりと実感できた日でもありました。そして私はこの日から赤ちゃんを「もあちゃん」と呼ぶことにしました。モアイ像になんとなく似ていたので(笑)。

「もあちゃん、お日さま気持ちいいね〜にゃんこもいるよ〜」「お風呂はあったかい?」「もあちゃん、楽しいねぇ」などと、ことあるごとに声をかけるようになりました。そして名前って不思議ですね。名前を呼ぶたびに愛着が湧いてきて、一緒に過ごしている、共に生きている実感も湧いてきて、ただただ呼びかけるだけで幸せになりました。

おなかの中の息子とみていた庭。呼びかけながらみると、いつもと違う景色にみえました。おなかの中の息子とみていた庭。呼びかけながらみると、いつもと違う景色にみえました。

娘のときは、先生に3がたくさん並んだ予定日を教えてもらったときに、パッと頭のなかで「この子はみみちゃんだ♪そしてきっと女の子だ」とまだ姿もほとんどみえていないのになぜか確信し(笑)、健診からの帰りの車で、夫に「これから『みみちゃん』って呼ぼうね」と話しました。そしてやはり息子と同じ3ヵ月の頃、ヘソの緒で遊んでいるかわいい姿をみたとき、「うん!あなたはやっぱりみみちゃんだわ!」と思ったのです。

安定期を過ぎた頃、4才だった息子におなかの中に赤ちゃんがいること、みみちゃんと呼んでいることを伝えると、その日から息子はさかんに「みみちゃん元気?」とおなかに話しかけてくれるようになりました。また家族4人の絵を描いたり、出産間近な頃には覚えたてのカタカナでメッセージを書いたり、名前があることで赤ちゃんがおなかの中にいること、やがて家族になることがイメージしやすかったようで、とても楽しみにしてくれていました。

(左)みみちゃんと名付けた娘。へその緒で遊んでいます。今のやんちゃぶりが伺える?(右)おなかの中の娘にメッセージを送る息子。(左)みみちゃんと名付けた娘。へその緒で遊んでいます。今のやんちゃぶりが伺える?(右)おなかの中の娘にメッセージを送る息子。

そして本当の命名は、2人とも産まれるまで性別がはっきりしなかったこともあり、出産してそれぞれ顔をみてから考え始めました。そのときまでに共に過ごした日々や、産まれた季節、顔をみながら夫と母と私であれやこれや考えて名付けました。

ちなみに私の「菜々恵」という名前は産まれたときに菜の花が咲いていたこと、野菜をたくさん食べて元気に育ってほしいとつけてくれたのですが、菜の花ってみているだけで幸せな気持ちになりますよね。そして「野の花全体」を指す言葉でもあり、「恵」という字は自分が恵まれるのではなく、人に様々なことを与えてあげる字なのだと知り、なんとなく、今の私のライフワークとも重なっている?大好きな名前です。もちろん菜の花も!

そんなことから、子どもたちにも何か意味のある素敵な漢字の名前をつけてあげたいとずっと思っていました。息子は 冬産まれ、柚子が大好きな私、柚子湯に入ってからお産が進んだのにもちなみ、柚子の香りのように優しく人をほっとさせてくれる、そして「琉」の字のもつおおらかさをもった人に育ってほしいと思い、「柚琉(ゆずる)」と名付けました。

娘は春産まれ、何か花の名前をつけたいと思っていたのですが、なかなかその頃のいい花が思いつかず悩みました。みみちゃんでかなり定着していたので、みみちゃんのままにする?なんて考えも。やがて夫が 「ことりはどう?」と提案してくれ、春の小鳥もかわいいね!きっとみんなすぐ覚えてくれるね。じゃあ、どんな字を使う?響きはかわいいけど、字は大人っぽくいこうか?なんて話ながら「琴凜」と名付けたのでした。

(左)命名してすぐ息子を抱く私の母。嬉しそうに「ゆ〜ずくん!ゆずく〜ん!」と呼びかけながら。(右)退院したばかりの娘。まだみみちゃんと呼んでいたとき。(左)命名してすぐ息子を抱く私の母。嬉しそうに「ゆ〜ずくん!ゆずく〜ん!」と呼びかけながら。(右)退院したばかりの娘。まだみみちゃんと呼んでいたとき。

2人の子どもたちの名前を呼ぶとき、ふと、名付けた日の嬉しかったこと、幸せだったことを思い出します。名前を考えるって大変だけれど、とても楽しい時間でした。子どもたちがこれからこの名前と共にどんな日々を過ごしていってくれるのか、とても楽しみです。

阿部菜々恵

PROFILE

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ネイチャーガイド/保育士/野草ハーバリスト
道草を愛でること、食べることがライフワーク。軽井沢周辺の森のガイド、森のようちえんの講師などを行う。子育てや暮らしの中で美味しく、楽しい自然の楽しみ方を提案。野草茶、野草料理などのワークショップなども行う。下見と味見は2016年生まれの食いしん坊な息子と2021年生まれの娘と共に。

(制作 * エチカ)

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