先輩パパとママの毎日コラムvol.563

火山のふもとで深呼吸「おっぱいとの自由な関係」 

2023/2/16
火山のふもとで深呼吸「おっぱいとの自由な関係」  火山のふもとで深呼吸「おっぱいとの自由な関係」 

浅間山の裾野に家族5人で暮らすピラティスインストラクター前村詩織さん。3人の子どもたちのおっぱいとの付き合いかたは三者三様だったと振り返ります。

おぎゃあ、とこの世に命を生み出してホッとするのも束の間。多くの母がわりとすぐに直面するハードルのひとつが「おっぱい」ではないでしょうか。まずは、おっぱいが出るかどうか。十分な量を与えられるか…から始まり、赤ちゃんと二人三脚でえっちらおっちら、ようやく授乳が軌道に乗っても、ミルクを与えるかどうかを悩み、仕事に復帰したら仕事と授乳をどうするか悩み、赤ちゃんが大きくなって離乳食を始めるとおっぱいとのバランスに悩み…と、成長にともないおっぱい関連の悩みは尽きなかったように感じます。そして最後は、いつおっぱいをやめるか?断乳するか、卒乳を待つか?と悩んでフィニッシュ。

もちろん正解はなく、自分なりに考えて答えを出すしかないのですが、悩んだ数だけ得るものはあります。そして、私にとって授乳の時間は何にも代え難いしあわせな時間でもありました。

「母乳神話」なんて言葉があるほど、子育て中は「〜べき」論に惑わされがち。でも、母乳で育ったかどうかなんて、本人は誰に聞かれることもなく、もちろん履歴書にも書きませんし(笑)、おっぱいとの付き合いは人それぞれ、自由でいいと思います。

我が家の3人の子どもたちはみんなおっぱいを飲んで育ちました。たまたま出るおっぱいだからそうしたのですが、スタイルは三者三様でした。

「おっぱいタイム、おっぱいタイム、マメとママのハッピータイム〜♪」。デタラメな歌詞で即興の授乳ソングを歌いながら、おっぱいをあげていたのは長男が新生児のころ。おっぱいを飲みながら私と目が合うとにっこり笑ってくれて、その口の端から母乳がこぼれたり。冬には赤ちゃんの温もりに、湯たんぽのようだと気持ちも緩んだり。急いで保育園にお迎えに行った帰り道、家まで待てなくて駅ビルの授乳室に立ち寄ったり。

思い返してみると、おっぱいにまつわる思い出は苦労したことすら、どことなくハッピーな顔をしています。

長男が1才のころ。仕事帰りにパパと待ち合わせて、ご飯やさんの半個室で楽しくご飯を食べた後のおっぱいタイム長男が1才のころ。仕事帰りにパパと待ち合わせて、ご飯やさんの半個室で楽しくご飯を食べた後のおっぱいタイム

長男はおっぱいへの執着が強く、長女の妊娠中に断乳したにもかかわらず、臨月にまた欲しがるように。「お産への準備になるから飲ませていいですよ」という産科医の言葉でついついあげてしまったのですが、赤ちゃんが生まれたらさらに執着するようになりました。新生児に授乳していると長男も欲しがり、結局タンデム授乳することに。断乳するまでの数ヵ月間は夜も眠れず、私もげっそり…。大変すぎて、この頃の記憶はあまりありません。

今はすっかり頼れるお兄ちゃんです。今はすっかり頼れるお兄ちゃんです。

長女は生後半年で保育園に通うようになったので、途中からミルクと母乳の混合。最初は哺乳瓶を受け付けなかったこともあり、ミルクではない方が飲むかもしれないと、搾乳して冷凍した母乳を毎日保育園に持参していました。それも夏になって気温が高くなり、管理が難しくなってやめました。職場復帰してからも授乳は続けていたので、仕事中におっぱいが張ってかちんこちんに。保冷剤で冷やしたり、ほかに行くところがなく、トイレで搾乳していたのはほろ苦い思い出です。

そして次女はさらに早く、生後4ヵ月で保育園に通い始めました。哺乳瓶を断固拒否して、保育士の先生がたを困らせていた話は別の記事に書きました。次女が1才3ヵ月のときに私の海外出張があったので、そのタイミングでおっぱいとさよならしました。3人の子どもたちの中では一番早い卒乳です。一晩中大泣きしましたが、あっさりバイバイできました。

おっぱいをあげるときの赤ちゃんとの一体感、やめるときの切なさ。そして数えきれないほど悩んだことすら、振り返ってみれば子育ての醍醐味なんだろうなあ。

前村詩織

PROFILE

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ピラティスインストラクター。日本で十数名しか保有していないオーストラリアのピラティス国家資格を取得し、ASICS Sports Complex TOKYO BAYなどでクラスを受け持つ。2020年長野に拠点を移し、フリーのインストラクターとして働きながら一男二女の子育て中。
https://www.instagram.com/shiorilates/

(制作 * エチカ)

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