先輩パパとママの毎日コラムvol.559

サンフランシスコのんびり子育て日記「アメリカで出産〜無痛分娩の醍醐味?〜」

2023/2/13
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コミックやアートブックの翻訳出版を手がける神戸一絵さんが、サンフランシスコを舞台に繰り広げる初めての妊娠・出産・子育ての物語。今回は無痛分娩で臨んだ出産についてです。

こんにちは。2才半の娘が「お母さん大好き」とキラーワードを発するようになり有頂天の神戸です。

その一人娘を出産したのは、アメリカ・サンフランシスコ。コロナウイルスが猛威をふるい始めたころ、私は妊娠後期に入っていました。出産後1ヵ月は両家の親が交代で手伝いのためにアメリカへ来てくれる予定でしたがそれも断念。夫と2人で「親が来ると気も遣うし、よかったよね、逆に?」と不安を押し込めて肩肘を張っていました。さらにアメリカでは出産から退院までが日本より早く、経膣分娩で特別な医師の指示がなければ出産の48時間後には放り出され…失礼、退院します。

そんな状況だったのと、「どうしても自然分娩で!」というこだわりは一切なく、周りから自然分娩へのプレッシャーをかけられることも全くなかったので、産後の体力回復が早いと言われる無痛分娩にしようと気持ちを固めました。

まずは病院が主催する無痛分娩(「硬膜外麻酔」の英語から取って”epidural”と呼んでいました)についての講習会を受け、メリットとリスクをしっかりと説明してもらいます。確かその病院では60〜70%くらいの妊婦が無痛分娩を選ぶと言っていました。当時、育児休業手当はカリフォルニア州とサンフランシスコのものを併せても12週間分。経済的に仕事復帰を早めざるを得ず無痛分娩にする、という人も多いのだと思います。

私が出産予約をしたのは産科が有名でbaby factoryの異名をもつ病院。麻酔科医が常駐しており、無痛分娩は特に予約も必要なく、打ちたいときに麻酔科医が空いていればいつでもいい、という贅沢な体制でした。出産当日、「一生に一度かもしれないから、陣痛の痛みも経験したい」と欲張り子宮口4cmまで粘りましたが、雄牛のような唸り声が自然と出てくるぐらい痛かったので根を上げ麻酔を入れてもらいました。麻酔が効いてくるとうたた寝できる余裕がありますがそれも束の間、「さっき4cmって言ったけど6cmだったみたい!」とナースに明るく謝られ、程なく子宮口は全開に。

雄牛のように唸って痛がる私とそれを写真に撮る夫。写真はいいから背中でもさすってくれ、と言いたいです。雄牛のように唸って痛がる私とそれを写真に撮る夫。写真はいいから背中でもさすってくれ、と言いたいです。

陣痛から分娩まで1つの部屋だったので担当医とナースがドドドッと集まってきて、瞬く間に分娩体制になります。でも麻酔が効いているせいで「いきむ」感覚がよくわからずお産が進みません。そこに担当医から「出てくるところを見るとやる気が上がるしタイミングが分かりやすいのでいきみやすくなるよ」との助言が。20cm四方の手鏡を向けられ、自分の股から子が出てくるところを見ながらいきむことに。痛みはないので淡々と“Push!” の掛け声に合わせて踏ん張る自分。想像していた感動の出産とはだいぶ違うシュールな光景に、やる気より笑いが込み上げてきましたがなんとか捻り出すことができました。

臍の緒を切る瞬間。けっこう弾力がありました。その後、すぐにその場でカンガルーケア。よいカメラで撮ってくれたので陣痛のときの夫への恨みは帳消しにします。臍の緒を切る瞬間。けっこう弾力がありました。その後、すぐにその場でカンガルーケア。よいカメラで撮ってくれたので陣痛のときの夫への恨みは帳消しにします。

無事産まれた直後、立ち会った夫がナースから臍の緒を切るハサミを渡されるもビビって辞退。「陣痛の痛みと同様に、一生に一度かもしれない」と思い、2分前に産んだばかりでしたが"Can I do it?"と志願しました。ナースに「自分で切る人初めて見た(笑)」と言われたのはよい思い出です。自然分娩がフルマラソンなら私の分娩(麻酔後)は5kmジョギングくらいだったので、臍の緒を切る余裕があったんですね。無痛分娩の醍醐味?かもしれません。

神戸一絵

PROFILE

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大阪府出身。2019年に渡米し、現地のサブカル系出版社に勤務。2020年にサンフランシスコで第一子(一人っ子予定)を出産。現在は神奈川県鎌倉市在住で、子育てをしながらフリーランスでコミックやアートブックの翻訳出版にたずさわる。鎌倉の丁寧な暮らしとアメリカの合理的な子育てのハイブリッドを目指している。

(制作 * エチカ)

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