先輩パパとママの毎日コラムvol.558

山神千里のマタニティー日記(2)〜つわりに奮闘!家族に支えられる日々〜

2023/2/13
山神千里のマタニティー日記(2)〜つわりに奮闘!家... 山神千里のマタニティー日記(2)〜つわりに奮闘!家...

フォトグラファーとして活動する山神千里さんのマタニティー日記。2回目は、日に日にひどくなるつわりと、母としての芽生えの話。

妊娠後、わりとすぐにつわりの症状が出てきて、むむむ?この週数でこの状況じゃわたしってつわりキツいタイプなのか!?と、なんとなくまずい気配を感じていたので、新規の仕事依頼の受付は休止することにしました。出産報告は安定期に入ってからしたかったのですが、結果的に家族や仕事関係の方には早い段階での報告となりました。

そして、仕事外は寝たきり状態に。仕事柄、妊婦さんや新米ママさんを撮影する機会も多かったので、つわりエピソードはよく聞いていましたが、まさか自分がこんな絵に描いたようなつわりになるとは…と思いました(笑)。

夫は、本当なら妊娠して大喜びしたいところだったと思うのですが、トイレとお友達状態でどんどん衰弱していくわたしを心配して、家事はほぼ全てやってくれるように。もともと食いしん坊な夫婦なので、それまでも週末は夫が料理をしたりはしていましたが、目指すはレストラン!のような、ザ・ご馳走メニュー。毎日のことになるとそうはいきませんから、次第に家庭料理に変化していきました。

この頃からは、掃除洗濯や、よくいう“名前もなき家事”までこなしてくれて、夫は家事と自身の生活を両立してくれていました。(…あっ、でも唯一わたしのベランダガーデニングのお世話だけは行き届かず、わたしが痩せていったタイミングで枯れていったのでした、涙)。ところが、そんなふうに一生懸命家事してくれているにもかかわらず、この頃のわたしは神経ピリピリ、匂い・音・光、全てに超過敏になっていたので、夫がスナック菓子を食べた匂いを感じたら激怒!テレビや生活音にも激怒!さらに、冷蔵庫に残っていたキムチを捨てさせるという暴挙にも及び、鬼のような妊婦になってしまっていました。よく耐えてくれたと思います。とほほ。

当時のことを振り返って夫は、おなかにどんどん育っている赤ちゃんがいるというのに、痩せていくことは心配していたそうです。これまでには見たことのないわたしの変化に、とにかく辛いんだろうな、代わることはできないから、出来ることをやるしかないとも思っていたそう。

夫が仕事で出張中の間は、実家の母が片道2時間かけて食べやすいものを差し入れてくれたり、様子を見にきてくれていました。母は、「ちーちゃんがおなかにいた頃は、10キロ痩せて20キロ増えたよ。つわりが終わるともりもり食べられるから大丈夫だよ」と笑いながら話してくれました。一番きつい時期だったので、明るい母にも塩対応どころか、冷たく接してしまいましたが、ただただ同じ家の中にいてくれる安心感がすごく強かったですね。あんなに冷たくしていたのに、母が帰宅してしまった後は寂しくて泣いてました。

食べられるのは、フルーツやスポーツ飲料のみ!あんなに食べたかった崎陽軒のシウマイ弁当も受け付けず。テレビやスマホも船酔いのようで目が回って見ることができなかったので、毎日毎日、ただベッドに寝て天井を見て、夕方のオレンジの光が差し込むと、やっと今日も1日が終わると、本当に時間が過ぎるのが長く感じました。

時間がゆっくりと流れていました時間がゆっくりと流れていました

そんな時、たまたまわたしより数ヵ月前に妊娠していた友人が、「いつかは必ず終わるものだから!赤ちゃん元気な証拠だよ!あと少しだよ!」「退院したらエンジェルサウンズ(赤ちゃんの心音を聞く装置)送るね!」と、電話で励ましてくれて嬉しかった。当時は気が遠くなるほど先のことのように感じる“出産”ですが、どんなに遅くてもつわりは病気ではないので、出産したら終わるというのが希望でした。また、とんでもない大物がこのおなかにいるんじゃないか?みたいな気持ちにもなりました(笑)。

8週後半、ようやく産院の初診を受けた時には、椅子に座っているのもやっとな状態。妊娠悪阻と診断されて、そのまま2週間入院して点滴で栄養補給してもらうことに。病院にいる安心感もあるのですが、あいかわらず情緒は不安定。入院初日は、院内の産声を聞いても泣いていたほど。妊娠当初に「わたしなんかがスムーズに出産までいきつけるはずがない、流産するかもしれない、期待を持ち過ぎたくない」というネガティブな気持ちに蝕まれていたわたし。いま思うと、あのひどいひどいつわりは、まだ胎動もなくて赤ちゃんの存在を実感しにくい時期に、息子が生命力の強さと存在を、一生懸命にアピールしてくれていたからだって思うんです。そして母であることをじわじわと実感していったのです。

夫と息子の手夫と息子の手

退院後は徐々に体調は回復していき、食事も摂れるようになっていきました。当時のことを振り返ってみても、産前産後とこれまでにないほど涙脆くなり、何度泣くんだって思いました。「全てはホルモンのせいだから!」と言い、家族にはものすごく甘えさせてもらいました。なんでもしてくれた夫。いろいろなことを乗り越えて、わたしを産んで育ててくれた両親。きっと絶妙なタイミングで、我が家にやってきてくれた息子。本当に命を繋いでくれたことに感謝しかありません。

山神千里

PROFILE

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1985年埼玉県所沢市生まれ。活発で男の子のような幼少期を過ごす。高校生まではスポーツ少女だった一方でものつくりが好きだった母の影響から、絵画や造形、映画に興味を持つようになる。大学は日本大学芸術学部写真学科に進学。卒業後、広告代理店制作部勤務。フォトグラファーを志し、広告フォトグラファーアシスタントを経験。2013年からの2年間はバンコクを拠点とし活動。2015年からは東京を拠点とし、人物写真、料理写真、ウェディングフォト、ファミリーポートレートなど女性らしいあたたかみのある写真を得意として幅広く活動中。
https://www.chisatoyamagami.com/

(制作 * エチカ)

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