サンフランシスコのんびり子育て日記「エコー写真で我が子を拝めるのは2回だけ。アメリカの妊婦健診事情」
コミックやアートブックの翻訳出版を手がける神戸一絵さんがサンフランシスコを舞台に繰り広げる初めての妊娠・出産・子育ての物語。今回はアメリカならではの妊婦健診についてのお話です。
こんにちは。人気占い師の友人に娘を占ってもらったら「コンテンポラリーダンサーの素質あり」と言われて、気分はすでにブロードウェイの神戸です(気が早い)。
「どんな子になるんだろうと想像する」という意味では、妊娠中からおなかの中を想像する機会は多かったです。私がアメリカの病院で受けた超音波検査は、日本でよく見聞きするよりも回数が少なく、出産して実際に娘の姿を生で見るまで、エコーで成長を確認したのはたった2回。「今はこのくらいかな?」とよく想像で補っていました。
私の場合は1回目のエコー写真を初回の健診時(2019年10月、妊娠8週目)に、2回目を中期の精密検査時(2020年1月、妊娠20週目)に撮っておしまい。1回目は胎嚢を確認するため、2回目は胎児の身体に異常が無いかを見るため。加えて臨月に逆子かどうかの確認でエコーをしましたが10秒くらいで終わり、写真ももらいませんでした。医療上必要のないサービス健診はしない。うーん、合理的。お金を払えば民間のクリニックで綺麗な4Dエコーが撮れますが、心配事があればいつでも担当ナース(practitionerという単語を使っていました)に病院のアプリを通して質問や相談ができたので、郷に入っては郷に従い、「順調に育っていればいいか」と気楽に構えることにしました。
そんな感じだったので1回目のエコーで豆粒だった我が子。3ヵ月後に見た時には、足の指まで確認できるほど人間らしくなっていました。妊娠中期の精密検査は聴診ではわからない病気のリスクを発見する目的で診るので、1時間近くたっぷり隅々までエコーを撮ります。
この検査を受けて初めて、夫も私も「本当に人間がおなかの中で育っているんだなぁ」と実感したように思います。この日、帰りの車の中で自然と名付けの話になり、「チャーミングで賢く、自分のセンスを信じる子になって欲しい」と漢字を選び、娘の名前を決めたのでした。将来、彼女の感性を発揮して踊っているのかいないのか、どうなっていても彼女らしい人生が歩めていたら御の字、と相変わらず気楽に構えています。
PROFILE
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大阪府出身。2019年に渡米し、現地のサブカル系出版社に勤務。2020年にサンフランシスコで第一子(一人っ子予定)を出産。現在は神奈川県鎌倉市在住で、子育てをしながらフリーランスでコミックやアートブックの翻訳出版にたずさわる。鎌倉の丁寧な暮らしとアメリカの合理的な子育てのハイブリッドを目指している。
(制作 * エチカ)