編集者の池田圭さんによるパパコラム。今回は悩みに悩んで導きだしたという池田家流の名付けのメソッドについてです。
「名は体を表す」とはよく言ったもので、私の周りには、まさに名前の通りの大人に育った人が多いように思います。家族から1文字受け継いだり、生まれてくる季節を考慮したり、好きな歌手やスポーツ選手の名前を使ってみたり。名前の由来は人それぞれ違うはずなのに不思議ですよね。
名前は一生もの。考えても、考え過ぎということはないはずです。うちもたくさんの候補案をリストにして、出産が近づくにつれて少しずつ絞り込んでいきました。
親の数だけ名前の考え方はありますし、正解はありません。試行錯誤の末に生まれた「我が家流の名前の考え方メソッド」を書き出してみます。
まず1つめの条件として、身近に似た名前の人がいないこと。とても良いなと思う友人、知人、著名人の名前が多々ありましたが、候補からは外しました。その名前を付けると、どうしても彼、彼女の顔が思い浮かんでしまいそうなので。
2つめは、2文字であること。海外で生活していた時の経験として、短い名前の方が断然覚えられやすいのです。特に欧米人にとっては、4、5文字の名前は発音しづらいみたいで、短いニックネームで呼ばれている友人が多い。であれば、初めから覚えられやすい2文字がいいなと。
そして3つめは、読みやすい漢字を使うこと。私はクラス替えのたびに出欠をとる先生に間違えられない、簡単な名前で良かったなと感じてきました。あと、テストの時に画数が多い漢字を書くのって数秒不利じゃないか?なんてことを、子どもながらに思ったものです。いろいろなご意見があると思いますが、うちの場合は難し過ぎない漢字を使い、奇をてらわないシンプルな読み方で名前を考えてみました。
最後に4つめは、同じ音が2つ続くこと。この条件は、予定日が近づいてきて赤ちゃんが女の子とわかってから追加されたものです。なな、ねね、みみ、もも、ここ……。なんだか呼びやすいし、響きが可愛い名前になりそうな気がしませんか?
最終的には名前の候補案を5つほどまで絞り込み、あとは子どもが産まれて顔を見てからピンときたものに決めることに落ち着きました。不思議ですが、たくさん候補案を考えて悩みに悩んで「みんな、どうやって名前を決めてるのよ?」と嘆いていたにもかかわらず、いざ赤ちゃんが産まれてきて顔を見ると「ああ、この名前がぴったりだ」と思えるものがすんなり決まりました。これって、皆さんも同じですかね?
そんなこんなで、我が子の名前を発表する前にハードルが上がり切ってしまいましたが、うちの娘は「日々(ひび)」と名付けました。「特別な日も、なんでもない日常も、毎日を楽しく過ごしてほしい」という想いを込めました。毎日とても楽しそうにニコニコ笑っている、可愛らしい子に育っています。
ちなみに、我が家は出産後1週間ほどで里帰りし、「お七夜」で家族に名前を発表しました。「命名式」では、半紙に筆で名前を書いて発表するのですが、書き慣れていない漢字を書くのは想像以上に難しいものです。事前にもっと練習しておけばよかったなあ…。
PROFILE
池田圭このライターの記事一覧
編集者、ライター。40才を越えてから第一子を授かり、仕事そっちのけで溺愛する毎日を送る。共著に『無人地帯の遊び方』(グラフィック社)。編集を手掛けた書籍に『焚き火の本』『焚き火料理の本』(すべて山と溪谷社)など多数。
(制作 * エチカ)