Hello New World!!「二人で写真を撮ろう」
ミュージシャン、絵描き、会社員として、フォトグラファーの妻と夫婦で綴る育児奮闘記。今回は、妊娠期の写真の思い出。
こんにちは。前回に引き続き、子どもが産まれる前の妊娠中後期のお話を少し。このコラムは妻と同じ題材に沿ってお互いの目線で書いています。お互いの記事を確認せず書いてあるので、意見の違う事もあるかと思いますがそれも面白いと思って頂ければ幸いです。
2019年1月。年が明け、妻が作ってくれた豪華なおせち料理やお雑煮を食べでお正月を過ごした。二人でのお正月はひとまずこれが最後なのだ。新年を迎え、出産予定日までのカウントダウンが急に迫ってきた感じがした。それと同時にこれが二人で最後の〇〇という思いも強くなっていった。
1月末に安産祈願へ。といっても、何をするのか知らず少し緊張しながら出かけた。安産祈願の最中、妻はおなかに手をあててさすっていた。「私は今、心臓が2つあるの。不思議じゃない?」と妻が言った。そんな神秘的な事に対して、昔も今も最後は祈るしかないよな。「どうか無事に産まれますように!」と願うばかり。
3月は二人の誕生月。妻の行きたいお店で食事をしたりケーキを食べたり「来年は来れないね」なんて、まるで最後の晩餐かのように笑って話した。
突然、友人達からサプライズがあった。
結婚式を挙げていない僕たちに写真館での撮影をプレゼントしてくれたのだ。ありがとう。平間写真館という素敵なところを予約してくれた。当日、二人で探し歩いて選んだ衣装を着て、ヘアメイクをしてもらい、仕事道具である楽器とカメラを持って会場に向かった。
撮影とだけ聞いていたけど、なぜか続々と扉を開けて入ってくる友人達。「えっ?」なんと妻の両親、弟夫婦まで。「えーっ?」そんなサプライズ撮影会は、みんなに見られながらカッコをつけるわけなので、それはそれは恥ずかしかった。家族写真や友人達との写真も撮ってもらった、もちろん二人のビシッとしたやつも(笑)。娘が大きくなって写真を見ながら「これが〇〇おばちゃんの若い頃だよ。じぃじとばぁばも若いね」なんて話してあげたい。
新元号が令和に決まった4月。予定日まであと約2ヵ月。妻の体調をみながら最後の二人旅に出かける事にした。少し車を走らせ温泉宿へ向かうだけなので旅というには大袈裟だけど。今となっては貴重なのんびりとした時間を過ごした。妻の心と身体のケアにも良い旅になったと思う。
令和元年5月。僕のバンドの大阪公演があった。「来なくていい」という僕の言うことを聞かない妻はおなかが大きくてもお構いなしで大阪までついてきた。どうせ来るなら僕の地元、愛媛に寄って帰ろうということになり、結果、最後の最後の二人旅となった。
妻が安定期に入ってから体調を気遣うのはもちろん、心のケアも大事だと思った。僕が音楽をやったり絵を描いたりするように妻も写真を撮っている。写真を撮りに出かけたいのだ。彼女が幸せを感じる瞬間になるべくお供できればと思う。その幸せがきっとおなかの子にも伝わっているはずだと思ったから。