先輩パパとママの毎日コラムvol.99

ちいさなアトリエ「大切に受け継ぐもの」

2017/9/21
ちいさなアトリエ「大切に受け継ぐもの」 ちいさなアトリエ「大切に受け継ぐもの」

クラフト作家・上原かなえさんの、子育ての楽しみ方。今回は我が家に受け継がれた子どものおもちゃのお話です。

赤ちゃんを迎えることとなると、あれこれと準備をしなくてはならないことがたくさん。そんな頃に夫の母に教わった、ものにまつわる大切なことと、我が家に受け継がれたおもちゃについてのお話です。

妊婦として過ごす日々に、楽しみにしていたことといえば、生まれてくる赤ちゃんを想像しながら、洋服を手作りしたり、おもちゃを選んだりすることでした。しかし実際のところ、想像していた以上に体調は優れないし、仕事柄得意だと思い込んでいた“夜なべ”や“時間を忘れるくらいの集中力”は、すっかりなくなってしまい、お買い物も億劫になってしまう日々。

ああ、なかなか思い描いていた通りに赤ちゃんの身の回りのものが揃えられないなあ、とため息をついていたときのこと。夫の母から「新しいものを揃える前に、とっておいたものがあるから、使えるものがあったらぜひ使ってね」といくつかの段ボールを見せてもらうことになりました。

その箱の中には、夫とお兄さんが赤ちゃんの頃に使っていた、ガラガラや歯がため、飴色になった木のおもちゃ達。

みんないつか再び出番がくると、倉庫の中で眠っていた愛らしい品々。そのひとつひとつには、しっかりと役目を果たした歯形や傷あとが残っていて優しい手ざわりのものばかりです。

木のおもちゃ

ほかにも、ヨーロッパで暮らした親戚から受け継いだ、木製の小さな農場のジオラマや、砂場遊びの道具。さらに、子ども用の木の椅子も夫の実家で、いつか受け継がれる日を楽しみに出番をずっと待ってくれていたのでした。

子ども用の木の椅子
木のおもちゃ2

さらに驚いたものは、きれいに洗濯されて、ピシッとアイロンのかかった布おむつの束!夫の母はいつかの出番のために、子ども達が使った布おむつまで、ていねいにとっておいてくれたのでした。

こうして再び出番がやってきた、おもちゃや、布おむつたちを眺めていると、夫の母はどんどん記憶が蘇ってくるようで、兄弟の幼い頃のことを楽しそうに語ってくれました。夫の両親がどんなことを大切にして子育てをしてきたか、どんなふうに育ってきたのか、手に取るように想像できるひとときです。

写真

子どもの成長は本当に驚くほど早くて、忘れてしまうはかないもの。その瞬間をこの愛用品たちが、大切にとどめてくれるのです。長持ちするものを選び、大切にする心。そして、子ども達の未来を想う気持ち。夫のお母さんに学んだ大切なことを私たちが未来に受け継ぐ番になったのだと心から実感するのでした。

上原かなえ

PROFILE

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クラフト作家。紙や布をはじめ、さまざまな素材に耳を傾けながら、暮らしを彩るデザインと手作りのアイデアを提案。北欧デンマークのスカルス手芸学校に留学経験を生かし、北欧に伝わるハンドクラフトの魅力を伝える活動も行なう。著書に『ハニカムペーパー・クラフト』『ごあいさつカードのてづくりレシピ』『北欧のかわいい切り紙』他。 http://salviakobo.tumblr.com

(制作 * エチカ)

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