京都の海の町・久美浜で暮らす後藤さん家族は、ちちとははと息子・季之介くんの3人暮らし。はは・明咲実さんが振り返る、寝かしつけのはなし。
妊娠中から、子育ては自分が想像している以上に大変に違いないと考えていた。特に、赤ちゃんの寝かしつけは抱っこし続けても寝てくれない。というようなイメージを持っていた。
いざ子育てが始まると、あれ、思っていたのと違う。ときのすけはよく寝る子だった。
新生児の頃は授乳中に寝てしまうことが多かった。しかも、産後の里帰り中は家の外で草刈機の大きな音がしても、早朝からはた織り機の音がしても眠っていた。これには、私の母もびっくりしていた。
3時間おきの授乳の時期は、一緒にお昼寝することもできて、親としては楽をさせてもらっているなあと感じていた。
なかなか寝てくれないときも、もちろんあった。
夜中の授乳後になかなか寝てくれず、眠い目をこすりながら抱っこしてトントンしながら部屋の中をグルグル歩き回った。抱っこし続けていると、腕もだるくなって、痺れてくる。産後の腰痛もあり、なかなか辛い。やっと寝たと思い、ベッドに下ろすと目がパチッと開き、目が合った。これが、背中スイッチというやつか!厄介だなあと思いながら、ふりだしに戻る。
寝ない、寝ないと思っていると辛くなってくるので、そんなに抱っこして欲しいのか。可愛いやつめ、しょうがないなあと前向きに考えながら、おじいちゃんとおばあちゃんは優しくて、料理が上手で、お父さんもとっても優しい人なんだよ。と家族の良いところをときのすけにゆっくり話して聞かせた。すると、すーっと寝ることが多かった。
ある日、寝かしつけに抱っこ紐を使ってみようと思いついた。
初めて使う抱っこ紐に悪戦苦闘してようやく装着完了。抱っこすると、こりゃ楽だ!なんでもっと早く使わなかったんだろうと少し後悔した。
そして、抱っこ開始2、3分で寝てしまった。すごいぞ!抱っこ紐!
横抱きよりも抱っこ紐を使うと、密着度が高くなるから安心して寝てしまうのだろうなと自分なりに解釈して納得した。
生後6ヵ月頃からは抱っこ紐を使っておんぶができるようになったので、おんぶして朝の家事をこなしていると、いつの間にか背中で寝てしまうことが多かった。
ときのすけが寝てからの楽しみはお茶タイムだった。ハーブティーやノンカフェインの紅茶を数種類ストックしていて、その日の気分で選ぶ。
淹れ終わって一口飲もうとすると、うぇーんと起きてしまう。なんてことはよくあった。再び寝かしつけた後はせっかく淹れたお茶は冷めてしまっている。でも、ときのすけの寝顔を見ていたら、まぁいいかという気持ちになる。
どうしてもあたたかいお茶が飲みたければ、レンジでチンすればいいのだ。
夜、どうしても寝てくれないときの最後の手段として、車でドライブすることも考えていた。私の両親から聞いた話で、私が夜寝ない赤ちゃんだったらしく、車で近所をドライブすると寝てくれたということを教えてくれた。今までにこの奥の手を使うことはなかった。でも、もしかしたら今後この奥の手を使う日が来るかもしれない。その日まで大切に取っておくことにする。