先輩パパとママの毎日コラムvol.224

なんとなくおかあさん「できないことは、無理しない!~前編~」

2019/1/22
なんとなくおかあさん「できないことは、無理しない!... なんとなくおかあさん「できないことは、無理しない!...

2人の子どものママでもあるライター・小宮山さくらさんによる等身大の子育てコラム。

10ヵ月という長いようであっというまの妊娠期間。大きなおなかをさすりさすり、もうすぐやってくる赤ちゃんとの暮らしをいろいろと想像しながら心の準備をする時間は、ドキドキ楽しいものですよね。

おっぱい、おむつ、だっこ、げっぷ、寝かしつけ、お散歩。はじめてのおでかけ、いよいよ離乳食。ひとつひとつに理想のイメージがあって、イメージの中の自分はとっても幸せそうに赤ちゃんと向かい合ってたりして。

でも、でもでも。実際に赤ちゃんが生まれてからは、なかなか理想通りにいかないもの。想像以上にハードなお産。そして予想以上に思うように動かない産後の身体。わくわくと思い描いていた「理想の子育てのイメージ」が、だんだんと自分を追いつめるストレスに変わっていったりすることも。

とっても真面目で頑張り屋さんなママほど、理想通りにできない自分に憤りを感じてしまうのかもしれません。

おっぱいは三時間ごとにあげなくちゃ。
スマホもテレビも見ないで、赤ちゃんに集中しなきゃ。
寝かしつけは最後までやさしく寄り添わなくちゃ。
できるだけ規則正しく寝起きしなくちゃ。
料理も洗濯も、赤ちゃんが寝ている間にすませなくちゃ。
部屋はいつもきれいに片付けておかなくちゃ。
離乳食は完全手作りじゃなきゃ。
赤ちゃんがいてもきれいでいなくちゃ。
せっかくの赤ちゃんとの暮らし、おしゃれでいなくっちゃ。

たしかに。たしかにね。これ、ぜーんぶできていたら、すばらしいです。それこそ、完璧ママです。本当に尊敬します。素敵過ぎるし、心の底から憧れます。

でもね、すべてのママが、完璧である必要はないんじゃないかな、とわたしは思うようにしていました。自分を振り返っても、体調が万全なときだって気分の浮き沈みはあったし、「今日は家事さぼりたい……」っていう日もありました。産後ならなおさら、身体の変化が大きすぎてホルモンバランスは乱れまくりだし、疲れやすいし。いきなり小さな人間がおなかのなかから現われて、「この子の命は今日からあなたが守るんですよ」なんて言われてね。信じられないぐらい大変です。そのストレスもプレッシャーも、相当なものでした。

モッコウバラ

わたしにも、妊娠中はあれこれとやりたいことがありました。ママ雑誌でライターもしていたこともあり、素敵な先輩ママの暮らしをたくさん取材しながら「手作りの赤ちゃんグッズ、素敵だな」「授乳中のファッションもとってもおしゃれで真似したいな」「赤ちゃんのいるインテリアってこんなに楽しめるんだな」と感動することも多く、憧れのイメージもわくわくふくらんでいきました。

しかし。命がけの出産を経て(世間的には「安産」と言われるものでしたが、何度振り返っても、あれは「命がけ」と断言したいような体験でした)、ふらふらで病室に戻ってきたとき、脳裏に浮かんだのは「疲れた……」「寝たい……」という、ものすごくプリミティブな欲求のみでした。そして退院後、赤ちゃんとの暮らしがはじまったころには、「なりふりかまってられるかーい!」「とにかくサバイバルや!!」「生きてたらそれでええ……」という、おしゃれママとはほど遠い関西弁で頭の中が埋め尽くされておりました。

とにかく「産後は人生における緊急事態。赤ちゃんに安全な食べ物と、安全な場所さえ提供すれば、あとはなんとかなる!」と自分に言い聞かせることで、手を抜けるところは抜く、家族や友人や外部のサービスを頼る、人と比べない、細かいことは気にしないなど、意識的に「適当さ」を身に付けるよう努力しました。そしていま、何度かコラムを読んでいただいている方にはご理解いただいているかもしれませんが、わたしはものすごく適当なお母さんになりました。そうなんです、結果オーライというものなのかもしれませんが、とりあえずいまは、適当作戦大成功!と言ってもさしつかえなさそうな日々を送ることができています。

お昼寝

理想のママ像があるというのはとっても素晴らしいことなのですが、わたしの場合、「あまりにも高すぎる理想は、守れなかったときに自分を責めてしまう原因になるし、ひいては自分も我が子も追いつめてしまうかも……!?」とハッとした経験が、ゆるママへの第一歩だったような気がします。

後編につづく。

小宮山さくら

PROFILE

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ライター。クリエイターへの取材やインタビューを中心に、『カメラ日和』『tocotoco』(第一プログレス)などの雑誌、書籍、広告などで活動。参加書籍に『無名の頃』(パイインターナショナル)、『脇阪克二のデザイン』(PIEBOOKS)、『エジプト塩の本』(美術出版社)、『猪熊弦一郎のおもちゃ箱』(小学館)など。目下、2児の子育て中。

(制作 * エチカ)

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