先輩パパとママの毎日コラムvol.17

つぼみのころ「出産」

2016/6/13
つぼみのころ「出産」 つぼみのころ「出産」

モデル・デザイナーとして活躍する米田有希さんは、4人の子どもを育てるママ。今回は出産の思い出を伺いました。

日付が変わり、まだ辺りは薄暗い朝早くに、赤ちゃんがやってくる。

我が家では、4回の出産全て、立ち会い出産です。初めての長女の出産の時は主人が、次女、三女、長男の出産には、上の子たちも立ち会いました。

10月の半ばを過ぎたある日の分娩室で、専用のスモッグを着た子ども達は、口数も少なく、眠気も忘れて私の横に佇みます。私はというと、あまり痛がって子ども達を怖がらせてはいけないと思い、あまり痛くない「ふり」をしていました。生命の誕生というかけがえのない経験をさせてあげたい、という思いから立ち会いをさせていましたが、怖がらせてトラウマのようになってしまっては大変。1人目の子の時は、痛い痛いと大騒ぎしていたのに、子どもの前だと痛くないふりができるなんて、まさに「母は強し」です。

それでも、やはり陣痛が来ると必死で呼吸する私に、「ママ、がんばって!」と励ましてくれる子ども達。何回の波が寄せては引いたか……ふっと、波間から顔を出した赤ちゃんが、全ての痛みを取り去ってくれました。

産まれた!!

その瞬間は、何度経験しても、言葉では言い尽くせないほどの感動があります。初めてお姉ちゃんになった三女に、最初に息子を抱っこさせてあげると約束していたけれど、血だらけで出てきた弟を見て萎縮してしまい、その約束は果たせませんでした。それもまあ、いい思い出かな。

薄明かりの部屋の中、私の上に息子を抱いて、カンガルーケアをしていると、娘たちもそれを眺めながら、ようやく落ちついた表情に。

「産まれる瞬間」は誰もが自らが経験しているはずなのに、なんとも不思議な、非現実的な感覚になります。薄明かりの中、宇宙人みたいな小さな赤ちゃんを眺めていると、うつらうつらと、夢の中にいるような……。

さっきまでの壮絶な痛みはどこかに消え、突如として小さな人が目の前に現れたことの不思議。 これから、色んな時をこの子と一緒に過ごすんだな、この子と、家族と一緒に。

そんなことを考えていると、もう、空は白み、いつもの毎日という波に、この子と一緒に乗って、漕ぎ出して行くのです。

米田有希

PROFILE

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Omas Händeデザイナー。徳島県出身。女子美術大学短期大学部卒。10代のころからモデルとして活動。2012年、ブランド「Omas Hände」を立ち上げる。現在スペイン・バルセロナ在住。著書に「AQUÍ」(主婦の友社)がある。

(制作 * エチカ)

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