ママやパパは、普段何気なく赤ちゃんを抱っこしていると思いますが、赤ちゃんの体の構造を知ると、普段の抱っこの仕方も変わってくるかと思います!今回は、整形外科医で医学博士である加藤先生に赤ちゃんの体の構造に関してインタビューしてきました。
当たり前かもしれませんが、生まれてから数ヵ月は、赤ちゃんは自分ひとりでは歩けません。移動する時は、ママやパパが抱っこをしてあげますよね。実は、この日々行う『抱っこ』という動作ですが、赤ちゃんの体の構造を理解すると、まだまだか弱い赤ちゃんの体を守ってあげるだけでなく、ママやパパの体の負担を減らせるかもしれないのです。
そんな赤ちゃんの体の構造を、整形外科医であり、医学博士の加藤晴康先生に教えてもらいました。
ーー赤ちゃんの体はどのような特徴があるのでしょうか?
加藤先生
人間は進化の過程で、二足歩行をするようになってきたのですが、赤ちゃんは受精してから、出産・その後の成長の間に、人間が進化してきた間に経験してきた過程を踏んで成長していると言われています。そういった意味で、出産後すぐの赤ちゃんは、まだ二本足で立つことができず、進化の過程としては四足歩行の状態なんです。だんだんと二足歩行ができる状態になっていくのですが、生まれたての四足歩行の状態では、その状況に合わせた体の形にしてあげることが大事だと思います。
具体的には、股関節を曲げてあげる、背骨を起立させず、曲げてあげて子宮の中にいた頃の状態にしてあげるなどですね。
ーーなるほど。では赤ちゃんは骨格的にも変わってくるのでしょうか?
加藤先生
そうですね。ずっと四足歩行をする犬や猫と違って、人間は二足歩行を行うようにプログラムして生まれてきますので、徐々にそのような体に変わってきます。生まれてすぐは、二本足で立つことができないので、まだ体が二足歩行に耐えうる体になっていないことを考えると、赤ちゃんの頃は四足歩行で楽な姿勢を保ってあげるのが、赤ちゃんにとって楽な姿勢だと考えることができますね。
ーー体はまだ二足歩行に向けて準備中なのですね。とはいえ、赤ちゃんは四足歩行することもできないので、移動はママやパパなど大人に抱っこしてもらうことになると思いますが、体のつくり的に、楽な姿勢を維持してあげる必要はあるのでしょうか?
加藤先生
そうですね。股関節と、ひざが軽く曲がっている姿勢の方が、負担のない姿勢になりますね。赤ちゃんも快適な姿勢なのではないでしょうか。股関節だけでなく腕も同様に体から90度曲がっている状態が楽な姿勢ですね。この姿勢になると自然に背骨も丸くなります。

大事なのは、関節が楽な位置にあるか、ということになります。大人になって四十肩などと言われるようになるのは、腕が真下に伸びた状態が続き、関節に負担がかかってきてしまっている為になりますね。
ーー大人でも影響があるんですね!赤ちゃんは、特に関節の位置などを気にしてあげる必要があるのは、やはり体が未成熟だからなのでしょうか?
加藤先生
そうですね。赤ちゃんの骨はしっかりと形成されておらず、まだほとんどが軟骨なのです。だんだん二足歩行ができるように、骨も形成されてくるんです。軟骨とは言え、筋肉や脂肪などよりは、はるかに固いのですが、まだまだ傷つきやすく、変形もしやすい状態ですね。
ーーだからこそ、赤ちゃんの姿勢は大事なんですね。
加藤先生
そうですね。四足歩行の姿勢が、筋肉や関節の関係から考えても、バランスが取れている姿勢ですので、どこか一方が伸びている姿勢などは、負担のかかる姿勢になってしまいますので、抱っこの時に、腕と足の位置を気にしてあげるとよいかもですね。
ーー抱っこするときには、どのように抱っこしてあげるのがよさそうでしょうか?
加藤先生
抱っこをしてあげる大人の体に密着させる、ということが大事ですね。抱っこをする人の重心と、赤ちゃんの重心が近い方がより負担なく楽になる、ということと、大人と赤ちゃんの動きが近くなり、重心のずれが少なくなるので体への負担も減り、楽になりますね。

ーーママやパパにしっかりくっついている方が赤ちゃんも安心しそうですね。
加藤先生
あとは、より高い位置で抱っこすると楽になると思います。肋骨近辺は腰回りに比べて動きが少ないので、密着度があがり楽に感じるはずです。
ーー抱っこは日々長い時間行うことになるので、赤ちゃんもママ、パパも楽な姿勢を理解して行うのがよいですね。最後に、ママパパへのメッセージをお願いします。
加藤先生
赤ちゃんは、大人が小さくなったのではなく、まったく違う形態になっています。様々な箇所が発育の途中です。徐々に大人の体に成長していく過程ですので、赤ちゃんの体の構造を知り、負担のない姿勢で抱っこをしてあげられるようにしてみてくださいね。

