京都の海の町・久美浜で暮らす後藤さん家族は、父と母と息子・季之介くんの3人暮らし。父・孝文さんに聞く「子どもの服」のはなし。
妻も僕も、ちょっとこだわりが強い。
シンプルなものが好きで、家具や道具、日用品、そして身につけるものも過剰なデザインや色がないものが好きだ。
ただ、かなりのど田舎で暮らしているから、普段足を運んで買い物ができる場所は限られてくる。その限られたなかでも、シンプルかつ納得できる質感のものはなかなか売っておらず、もやもやすることは結構ある。だから、たまに(数時間かけて)遠出するときや、ネットショッピングでものを買うことが多い。
子ども、赤ちゃんのものも同様である。子どもができて実感したけど、本当に地方では選択肢が少なくて、赤ちゃん用品はまだしも、服に関しては全然気に入るものを見つけられなかった。妻も同じ風に思っていて、二人してもんもんとするなか、趣味嗜好が夫婦で似ていてよかったなとあらためて感じた。
こんな環境によって、もともと裁縫が趣味の妻の魂を燃え上がらせ、気に入るものがないならどんどん作る!となっていった。僕もそれは賛成だったけど、正直なところスタイやバッグみたいな割と簡単なものしかできないかな?と思っていた。
ところが、子どもの影響とはすごいもので、複雑なパターンのポケット付きズボン、棒針編みでニットポンチョを作ったり、スタイに刺繍でワンポイントを施したりなど、想像以上にいいものを作ってくれた。妻もすっかり子ども服作りにはまったようで、益々やる気がみなぎっている(布ストックもどんどん増えている……!)。
もちろんすべて手作りなんてできないから、夫婦で一緒に探して、納得のいくもの、気に入ったものを選んでいる。子どもが自分の意思で身につけるものを選ぶようになるまでは、僕たちが責任持ってしっかりしたものを選んでやりたいと思う。