二人の女の子のママである写真家・千倉志野さんに、赤ちゃんの写真について教えてもらうシリーズ。第1回は、千倉さんのママとしての実体験をもとに、撮っておくとよいシーンを紹介します。
フォトグラファーの千倉志野です。「ママはカメラマンなんだよ!」と私の仕事をすっかり理解できるようになったしっかり者の5才の姉、やることなすことコミカルでシャッターチャンスだらけな2才の妹、そんな二人姉妹の母でもあります。
私は日々、主に仕事でいろんなジャンルの方々のポートレート写真を撮影していますが、我が子を撮るのもそれと同じ感覚。自分の中では両者にあまり区別はありません。
家にいても、お休みの日でも、「おっと、これは!」と思った瞬間が現れたらピーン!と体の中のセンサーが作動し、いつでも手に取れる場所に置いてあるカメラをさっと取りに走ります。
だって、予測不可能な子どもの行動はいつだって突然で、シャッターチャンスは急にやって来るもの。どうしても逃したくない場面に出会った時は、子どもが寝起きで機嫌が悪くても、転んで泣いていても(あ、もちろんそんな時は時間をかけずささっとね!)シャッターを切らせてもらうことも多々……(ごめんよ、娘たち……)。
ふいに現るビッグチャンスに焦ってカメラの設定が間に合わず撮れた写真が真っ暗だったりなんてこともあるけれど、まあまた撮ればいいし!そのくらいの気持ちで失敗を繰り返していると、だんだん撮ることにも慣れてくると思います。
ベビー誕生の後、お宮参り、お食い初め、クリスマス、お正月、七五三などなどイベントは目白押し、そして記念写真はもちろんマスト。どれも人生の大切な節目ですから。でもじっとしていられない子どもの気持ちとは裏腹に、可愛く撮りたい、ちゃんと決まった場所に立ってほしい、などなど親の愛(エゴ!?)はとどまることを知りません。
そんな時、子どもがなかなか言うことを聞いてくれないなら無理矢理何かを強制するより、あるがままの今の姿をおさえちゃいましょう。頭の中に描いていた理想の写真像はいっその事さっさと捨て去ってね。その方が親子共に気が楽、というかみんなハッピー。変顔しかしてくれない男の子も、イヤイヤで道端に寝転んだ姿も、いじけてお顔を隠してしまっても、それが今の我が子。たとえブレブレでも、わんぱく過ぎてフレームアウトしていても、雨が降ってきちゃっても、あとで見るとむしろそんな写真たちも(いや、そんな写真たちの方が!?)あの時こんなだったよねーと素敵な思い出になると思います!
皆できちんと並んで撮った記念写真は大切な大切な家族の記録。でも、パワーみなぎる普段の子どもの表情や行動も、今しかない宝物。いい写真を撮ろうと一生懸命になりすぎず、写真を撮ることを楽しむのが一番!撮る人が笑顔だと、撮られる方も自然と笑顔になりますよ。
PROFILE
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写真家。学習院大学文学部ドイツ文学科卒業後、スタジオアシスタントを経験。2003年にドイツ・ベルリンに渡り、フォトグラファーAndre RivalとUlrike Schamoniに師事。2006年からフリーランスフォトグラファーに。雑誌、広告、作品提供など、幅広く活動中。著書に『PRESENT』(Harmonics inc.)がある。
http://www.shinofoto.net/
(制作 * エチカ)