神楽坂発酵美人堂・清水紫織さんの、取り分け発酵離乳食 #3「固形食への移行期にぴったり!『鶏ひき肉と里芋の味噌煮』」
妊娠をきっかけに発酵食と出会い、発酵料理専門の料理教室を開催するなど、たくさんの人にその魅力を伝える清水紫織さん。今回は「発酵調味料は時間のないママの味方」と教えてくれた清水さんによる、大人と赤ちゃんの料理が一度に作れる取り分けレシピをご紹介。3回目は離乳食から卒業するころにおすすめの「鶏ひき肉と里芋の味噌煮」です。
——清水さんは、離乳食から普通の食事へどのように移行していきましたか?
清水さん
赤ちゃんの様子を注意深く観察しながら、徐々に固さのあるものに移行しました。今回の里芋のように柔らかく煮ても形を維持できる食材だと、手づかみ食べもしやすいです。長男は特に食に対する好奇心が旺盛だったので、作り甲斐がありましたね。ただ、不思議なもので子どもは同じものばかり好んで食べる時期がある気がします。もちろん個人差はあると思いますが。同じものばかりを食べる息子に、最初はバランスなどを考えてしまって悩むこともありましたが、そのうちに満足したように次のお気に入りの食材に移っていったので、あまり神経質に考えないようになりました。そのときは気に入らなくても、色んな味が存在することを経験させてあげておくのは大切だと思います。
——味の経験、素敵ですね!現在清水さんが子ども向けの料理教室を開催しているのも、食の体験を育てたいという思いがあるのでしょうか?
清水さん
そうですね。赤ちゃんから小学生まで参加できる、お味噌作りや発酵調味料作りの親子教室を開催しているのですが、子どもたちに発酵食品が特別なものではなく、いつもそばにあったものだと感じてもらいたいのと、自然由来の旨みで味覚を育てていって欲しいという願いがあります。
——ところで今回のレシピで、砂糖の代わりに甘酒を活用されていますが、加えるだけでなく、漬け込む理由はなんですか?
清水さん
生の甘酒にはプロテアーゼという酵素が働いていて、お肉やお魚を漬けることで、タンパク質を消化吸収しやすいアミノ酸に分解してくれます。肉質が柔らかくなるので、まだ消化器官が未発達なお子さんの離乳食におすすめの調理法です。旨味成分も増えるので、より美味しくなるのも嬉しいところです。
また、赤ちゃんとの取り分けレシピの際のポイントとしては「米麹」でつくられた甘酒を使うことです。酒粕でつくられたものとは異なりアルコール成分がはいっていません。
RECIPE
鶏ひき肉と里芋の味噌煮
材料(2人分)
・鶏ひき肉…120g
・米麹でつくられた甘酒(濃縮タイプ)…大さじ1
・水…200ml
・昆布5cm角…1枚
・里芋…2個
・味噌…小さじ1
・仕上げの味噌…小さじ1
作り方
- 1.鶏ひき肉は甘酒を混ぜて30分ほど冷蔵庫で漬けておく。里芋は1cmの小口切りにする。
- 2.鍋に水、昆布、里芋、味噌小さじ1を入れてよく混ぜ、中火にかける。沸騰してきたら蓋をして5〜7分煮る。
- 3.里芋が柔らかくなったら鶏ひき肉を加え、箸でほぐしながら煮てひき肉に火が通ったら子ども用の出来上がり。子ども用を取り分けたら仕上げの味噌を加えて大人用の味付けをして出来上がり。
- Point
・ 濃縮タイプの甘酒は水分を増やさずに甘みの調整だけができるのが便利です。通常の甘酒を使用する場合は、たくさん使用しても甘みは控えめな仕上がりになるので、大人用を仕上げる際に甘さが足りないときは砂糖やみりんで味の調整をしてください。
PROFILE
清水紫織このライターの記事一覧
自身のアレルギー改善をきっかけに発酵料理人の伏木暢顕氏に師事し、広く発酵食の魅力を伝えたいと2015年に発酵料理専門の料理教室「神楽坂発酵美人堂」を立ち上げる。発酵をより深く学ぶため、東京農業大学醸造科学科で科目等履修生として三年学ぶ。教室運営のほか発酵食品のブランドも手がける。0才からの腸活を掲げキッズ発酵教室も定期的に開催。著書に『発酵料理のきほん –はじめてでも、とびきりおいしく』(朝日新聞出版)、『発酵調味料でつくる からだにいい 発酵スープ』(朝日新聞出版)、時短にもなって、多忙なママやパパにおすすめの『発酵食のストックレシピ “漬けて置く”だけ、おいしく整う』(マイナビ出版)。
https://www.hakko-bijindo.com/
(制作 * エチカ)