タイ・バンコクを拠点に活動するクリエーター・hironocさんに伺った、妊娠・子育てエピソード。
ーー今回はパパについてのお話をお聞きしたいと思います!もらいづわりになってしまうくらいママ想いのパパでしたが、りゅうせいくんが生まれたときの様子を教えてください。
hironoc
予定日の1ヵ月前に出産になり、息子は生まれてすぐNICUに運ばれることになったんです。私は産後の処置などで分娩室に残っていたので、夫が息子に付き添い、息子の容態や今後のことなどの説明を先生から聞いてくれました。動けない私のかわりに病室とNICUを何度も往復し、写真や動画を撮って逐一様子を報告してくれました。
ーー急なことで大変でしたね……!
hironoc
想像を越える形でドカンと息子が誕生したことで、戸惑う隙なく現実に向き合うことに私も夫も必死でした。生まれて1ヵ月くらいは息子の検査が続き、不安と心配で、検査のことや症状などをインターネットで調べてばかりの毎日でしたね。でも最終的に「どんな結果でも受け止めて、その上で向き合って考えよう!」と、夫と話し合いました。今でも夫とそのときのことを振り返るたび、「私たちはあのとき息子に一気に親にしてもらったねえ」とよく話しています。
ーー夫婦でしっかりと相談をし、初めての育児に向き合っていったのですね。パパは産後はどのように育児に協力してくれましたか?
hironoc
タイでの出産で、両親が手伝いに来る予定もなかったため、夫は“育児頑張るぞ!感”をメラメラと発していました。
ですが、無事に息子がNICUから退院になり、いざ家で息子を迎えると、「小さくて触れるのが怖い……」となってしまって。出産前の両親学級では沐浴の練習などにも参加して、「お風呂は自分が!」と意気込んでいましたが、入れてみると「赤ちゃんが動いて怖い!」とすぐに私にバトンタッチ。
その他のことも実際にやってみると色々とうまくいかないようで、「おっぱいが出たらなあ」とぼやいてみたり、「なんでこんなにうまくいかないんだろう……」とだいぶ落ち込んでいた時期がありました。このまま夫が育児ノイローゼになったらどうしよう、となかなか不安になりましたね。
ーー理想と現実は違ったのですね……!そんなパパの姿を見ていかがでしたか?
hironoc
“育児頑張るぞ!”という気持ちはひしひしと伝わってきて、ありがたかったです。でも夫ができないなら「私が頑張らなければ!!!」と思ってしまって、無駄に自分にプレッシャーをかけてしまっていました。今考えれば普通にしていればよかったと思うのですが……。
それからいろいろ考えていったなかで、夫が手伝ってくれることにも、向き不向き、慣れがあるんじゃないかということに気づきました。そこで、パパの一番の得意なことは「息子と遊んでくれること」なんじゃないかと思いました。


近所へ二人でお散歩へ行ったり、プールに通ったり、就寝前に帰宅できた日は寝る前に絵本の読み聞かせをしてもらうようにしました。そうすることで、だんだんとパパと息子との距離が縮まってきて、特に絵本を読むと大興奮して声をあげて喜ぶまでになりました。まるで“大きなお友達”のようでした。
ハイハイができるようになってからは、パパが帰ってくるドアの音が聞こえると、高速ハイハイで玄関へ駆け寄り、笑顔でお出迎えしています。

ーーそれは嬉しいですね!
hironoc
私も夫と息子の距離が近くなったことで、気持ちの部分でも育児の部分でもすごく楽になりました。夫がいつも近くで支えてくれることに、とっても助けられています。うまくいかないことがあっても、合言葉は「私たちの子だから仕方ないよね〜(笑)」。二人とも気負わず毎日楽しく過ごしています。
ーーとても素敵なお話ありがとうございました。



PROFILE
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ブリコルール(寄せ集めてものを作る人)。タイ・バンコクを拠点に、写真と色のきれいな布や紙などをコラージュしてものづくりに取り組んでいる。
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(制作 * エチカ)