子連れフジロックマスターのヒデさんに聞く!ベビー連れフジロックの楽しみ方


大人(親)になっても、好きなものを好きでいるって、いいと思いませんか? プレママや育児中のママにとってバイブル的雑誌の『たまごクラブ』、『ひよこクラブ』。その両誌のディレクターを務める米谷明子が、今のママ&パパが興味あるモノやコト、ヒトに会いに行く連載がスタート。雑誌では紹介しきれなかった気になるママやパパに、あれこれ質問をします!
米谷明子 Yoneya Akiko
『たまごクラブ』『ひよこクラブ』雑誌ディレクター、『妊活たまごクラブ』編集長
マタニティ雑誌、ベビー雑誌の編集を長年やってきた、エディター・ディレクターの米谷明子です。これまでたくさんのママやパパとお会いしてしてきましたが、子育て中って、みんなキラキラしていて「カワイイなぁ」と思ってしまうのは、私がみなさんよりお姉さんだからなのかも。取材を通して、迷い悩みながらも、自分の好きな育児スタイルを模索しているママやパパの姿に、いつもステキな発見をさせてもらうことがあります。
この連載では私自身がセレクトした、子育て中にちょっとおしゃれでカッコよくて、魅力的な方、心地よいこと、楽しいことをご紹介していきます。
初回は、4人のお子さんとともに毎年フジロックフェスティバルに参戦しているヒデさんにインタビュー。子どもと一緒に行くフジロックの魅力をうかがいました。
【フジロックとは?】1997年夏に始まった日本国内最大級の野外ロックフェスティバル。当初は富士山麓で開催されたためにこの名前に。「自然と音楽の共生」がテーマ。
赤ちゃん連れで音楽フェスに行く人っているのかな?どんな人たちなのかな?
ここ何年かで、子連れで「音楽フェスに行きたい」という声を聞くことが多くなったように思います。
音楽フェスといえば、野外でキャンプ?ご飯は外で?大音量でびっくりしない?子連れ、ましてや赤ちゃん連れで行けるものなのかな?と疑問に思っていました。
そうしたら、出会ってしまったのです!4人の子持ちで、愛する音楽と子連れフジロックについてブログを書く一人のロックなパパと!
■フジロックが1年の起点に。家族で毎年参戦中!

米谷
ヒデさんご家族のフジロックフェスティバル(以下、フジロック)歴を教えてください。
ヒデ
もともと僕がロック全般を好きで、独身時代の1999年に初参戦しました。2002年は当時交際中の妻と初めて一緒に参加。結婚した2003年にも行きました。子どもたちとは、長女の寧々が2才になった2006年が子連れデビュー。その後は2008年に長男の良門が1才で、2011年に次男の志門が1才誕生日直前の0才で、2018年に次女の瑠々が0才の時にそれぞれデビューしています。

米谷
すごい!ほぼ毎年参戦されていますね!フジロックと他のフェスの違いはどこでしょうか?
ヒデ
参加者の熱が全然違います。フジロッカー(フジロック常連参加者のこと)にとってお正月みたいなもので、現場で顔見知りと会うと「あけましておめでとう」みたいな。終わった時から翌年の予想や準備を始めていますし(笑)。
■意外!?フジロックにはパパ・ママやキッズにやさしい施設も
米谷
フジロックがお正月!?1年の起点になっていますね。私はフジロックに行ったことがなくて、野外は大変というイメージがあります。そんな中、子連れでも行こうと思われたのはなぜですか?
ヒデ
それはもう単純に僕らが行きたかったのと、子どもと一緒に行くのもおもしろいかな、と思って。2006年当時は子連れで行く人は少なかったですが、KIDS LANDという子どもの遊び場は当初からあり、キッズウェルカムな雰囲気はありました。

ヒデ
ただ、子連れで行くのは初めてですし、もともとは夫婦揃って音楽や映画鑑賞が好きなインドア派。だから本番前に訓練キャンプに2回ほど行きました。最初に丹沢のキャンプ場に行ったのが本当に大変で。キャンプ自体がほぼ初めてで、テントを立てるのも四苦八苦していたら寧々が一人で河原の方に行ってしまって。もう2度とキャンプしないって反省ばかりでした(笑)。
米谷
フジロックは3日間ありますが、最初から3日間とも参加したのですか?
ヒデ
3日間とも行きました。やっぱり1日だけじゃ全部は楽しめないから、毎年行っている僕らのようなフジロッカーは3日間とも行く人が多いと思います。最近は寧々一人でステージを見られる年齢になりましたが、子どものペースですごすのが基本で、お目当てのアーティスト全てが見られるわけではない。その点は、子連れデビュー以来、変わっていません。

米谷
ライブだと音楽がガンガン鳴っていて、音の洪水って感じじゃないですか?小さな子どもはビックリしないのかな?
ヒデ
野外で空間が広いですから、ライブハウスよりも音は小さいです。僕らはステージから後方に拠点を張っているので、普通におしゃべりもできるくらいのボリューム。スピーカーの近くでなければ、音量を心配する必要はないと思います。
米谷
赤ちゃん連れだと授乳やオムツ替え、お風呂の環境も気になります。
ヒデ
授乳はKIDS LANDや救護テントでできます。妻は完全母乳だったので、スリングをケープ代わりにテントの中であげていました。最近、日本でも液体ミルクが解禁されましたが、当時あったら僕たちは絶対使っていたかも。

ヒデ
オムツ替えも救護テントでもできますが、うちは拠点のテントで替えていました。近くのプリンスホテルのお風呂が使えるので、そこも不便はないですね。一番大変なのはトイレトレーニング中かも。うちもちょくちょく漏らしていましたが、今は子どもが優先に入れるプライオリティトイレがあるので漏らすことも少なくなりました。
■数多の参戦歴から導き出した子連れフジロックの必需品は?
米谷
子連れで参戦する際の必需品はなんですか?
ヒデ
まずはベビーカー。抱っこやおんぶは、親も子どもも疲れます。ベビーカーで寝ていたほうが親子とも体力温存になりますし、フジロックは傘がさせないので一時的な避難場所にもなります。当初は軽い方がいいと思ってB形を使っていましたが、舗装されていない道なので、結局ベビーカー自体を持ち上げなければいけなくて。だからタイヤがしっかりしたベビーカーがおすすめです。

ヒデ
ほかには、抱っこ紐だけでなくケープにもなるスリングや、ひんやりした素材で遮熱する抱っこ紐カバー、脱着が楽な友人手作りの抱っこ紐が便利でした。夜は冷えるのであったか肌着やフリース、薄手のダウンジャケットも必須です。

■子どもがいるからこその、フジロックの楽しみ方
米谷
独身時代と今で、フジロックの楽しみ方は変わりましたか?
ヒデ
独身時代は見たいアーティストのため、あっち行ったり、こっち行ったりで動き回っていました。今は子どものペースに合わせるので、時間がゆっくりと流れています。フジロックは様々なところにオブジェがあるのですが、以前は「あ、あるな」程度だったけれど、今は「あそこにオブジェがあるね」って、子どもと一緒に歩いている時も楽しめるようになりました。だから待ち時間も子どもがいると飽きないし、楽しいんですよ。

米谷
フジロックはフェス慣れしている人が行くイメージで、なかなか一歩が踏み出せないママもいると思うんです。そんな方に声をかけるなら?
ヒデ
ほら、海外旅行も行くまではハードルが高そうだけど、行ってしまえばそうでもなかったりするじゃないですか。それと同じように、行ってみると開放感があるのか、子どもたちものんびりできるようです。フジロックは高揚感とか幸せ感が作られている空間で、ちょっと異国な雰囲気があるんですよ。隣の知らない人とハイタッチするって日常ではありえないけど、あそこなら自然にできる。確かに装備とか必要なものを揃えるのは大変かもしれないけれど、子ども1人なら買い揃えるのも少ないし。うちのように4人も子どもがいれば、最初にいいものを買って以降は下の子にお下がりにしていけばいいですしね。

米谷
奥さんは子連れフジロックのよさを、なんておっしゃっています?
ヒデ
日常が楽になったと言いますね。家の中なんて危険もないし、水道がこんな近くにあって、お風呂にもすぐ入れて、布団で寝ることのありがたみを楽しみながら体験できる、って。普段は子どもにも我慢させている部分もあるので、好きなものを食べるフェス飯も楽しみにしていて「早く行きたい」って言ってますよ。

米谷
ヒデさんご家族にとって、フジロックの魅力はなんでしょうか?
ヒデ
フジロックで初めて聞くアフリカの音楽とか、歩いている時にたまたま耳に入ってきたバンドがよかったとか。自分の知らない音楽に出会えるフェスならではの楽しみもありますし、偶然、現地で子どもの友達家族に会ったとか、子どもがいるからこそ広がる開放的な楽しさもあります。それにフジロックが始まるのを知らせる、忌野清志郎さんのテーマソングを聞きながら飲むビールは格別ですし(笑)。行ったら絶対楽しいし、目当てのアーティストが見られなくても楽しいことはいっぱいあるので、迷っている人はぜひ遊びに行ってほしいですね。
米谷
ヒデさん家族と会って、ちょっとフジロックのイメージが変わりました。「自然の中で音楽と家族と一緒にいる時間」がギュッと凝縮した3日間なのでしょうね。今年ももちろん行くんですよね?
ヒデ
もちろんです!(笑)
子連れフジロック歴10年を超えるヒデさんと奥様の直子さん。初めて長女の寧々ちゃんを連れて行ったときは、事前に2回もキャンプ練習に行くくらい、心配性なパパとママだったのだそうです。
赤ちゃんを野外フェスに連れて行くなんて!という声もありましたが、絶対「子どもから目を離さない」「子どものペースを最優先で行動する」が子連れフェスのお約束。「それができないくらいなら、子どもを連れて行ってはいけません」とヒデさんは言います。それくらい、親の覚悟や事前準備も必要です。
でも、それでも子連れフジロックは大人も子どもも楽しくてしようがない!「フジロックから帰ったときの日常が、キラキラ輝いて見える」と直子さんがおっしゃっていました。親子でフジロックという非日常体験は、日常を楽しくさせるための家族の絆の一つなのでしょうね♪
<フジロックインフォメーション>
FUJI ROCK FESTIVAL ‘19
https://www.fujirockfestival.com/
2019年7月26日(金)27日(土)28日(日)
新潟県湯沢町苗場スキー場
富士電子瓦版 フジロック好きが集まったフジロックファンメディア。子どもフジロックのコラムも多数掲載されています。
https://frf-en.jp/
★やっぱりまだフジロックは無理…という方には、毎年FMラジオで生放送もされています。今年はまずは音から雰囲気を楽しんでみるという方法もおススメです。
撮影/柳原久子(water fish) 取材協力/津島千佳

PROFILE
米谷明子 yoneya akikoこのライターの記事一覧
たまひよ雑誌ディレクター
出版社に新卒入社後、妊娠・育児雑誌の編集部に配属。結婚を機に退職し、一児の出産を経て雑誌編集に復帰。同じく妊娠・出産系の出版社勤務を経て、株式会社ベネッセコーポレーションへ。たまひよ事業部で『たまごクラブ』『ひよこクラブ』ディレクター、『妊活たまごクラブ』編集長を務めている。妊娠・育児雑誌を担当して20年以上経つが「ベテラン」と言われるのが嫌。子育て期のママ・パパの近いところにいつも居たいがモットー。
https://st.benesse.ne.jp/