子育てエール!専門家による、ママパパ応援コラムvol.50

赤ちゃんの虫歯対策は妊娠中からはじめよう!正しい虫歯予防方法とは

2019/12/18
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生まれてくる赤ちゃんの歯を守りたい、虫歯にしたくないとママやパパは思いますよね。でもわが子の歯を守るには、まずはママがお口のケアをすることが大切ということはあまり知られていないように思います。そこで今回は、赤ちゃんの虫歯予防のためにママができることと、生まれたお子さんにできることの両方のポイントをお伝えします。

●赤ちゃんの歯は妊娠中に作られるって本当?

妊娠7週頃から赤ちゃんは、歯の芽となる歯胚(しはい)が作られ、妊娠10週ぐらいまでの間に、合計20個の歯の細胞が並び、妊娠12週頃から乳歯の石灰化(=硬くなること)が始まります。赤ちゃんが生まれた頃にはもう乳歯の頭の部分はできている状態なのです。そして産まれると今度は永久歯の石灰化も始まります。妊娠中はバランスのよい食事をとることが大切ですが、赤ちゃんの歯を作るのに必要なカルシウム、タンパク質、リン、ビタミンA・C・Dの栄養素もしっかりとれているか意識しましょう。

●赤ちゃんの虫歯予防のために妊娠中にできること

虫歯菌で代表的なのがミュータンス菌。ミュータンス菌はプラーク(歯垢)の中に棲んでいて砂糖を餌に酸を作り出して歯を溶かします。これが虫歯の正体です。赤ちゃんにはもともと虫歯菌はいないのですが、生まれてから大人にうつされて虫歯になることがあります。感染を防ぐためにスプーンの共有などを避けていただきたいのですが、赤ちゃんとママは顔を近づけてお話しするので気をつけていても感染してしまうことがあります。そこでまずは、妊娠中からミュータンス菌を減らしておくことが大切。妊婦さんができることを3つお伝えします。

1.カリエスリスク検査を受けて、自分にあったお口のケア方法を知る!
カリエスリスク検査は、虫歯になりやすいか、なりやすい場合はその原因、また予防方法が分かる検査です。唾液を試薬に入れ、虫歯菌の量、唾液の量と酸を中和する力、プラーク(歯垢)の量などを調べます。検査結果と食事の回数やフッ素入り歯磨き粉の使用回数などから総合して、歯医者さんが虫歯の原因やケア方法を教えてくれるので、事前に歯医者さんに検査が受けられるかを確認して、ぜひ受けてみてください。

2.キシリトールガムを噛む
ある大学の研究によると、妊娠20週頃から13ヵ月間キシリトールガムを1日4回噛んでもらったところ、ミュータンス菌の量が、ガムを噛む前と比較して1/4の量に減ったそうです。つまりキシリトールガムを噛むだけでミュータンス菌を減らすことができるのです。ガムの噛み方ですが、1日4回、1回に10分以上噛むと効果的。噛むことが唾液の分泌を促し、唾液が歯の掃除の役割を果たしてくれるためです。食べ過ぎはお腹がゆるくなるので注意が必要です。

キシリトールガム

3.フッ素入りの歯磨き粉を使う
フッ素には、唾液によって歯が溶けだすことを防ぐ、ミュータンス菌の働きを抑える、歯の再石灰化を促すなどの効果があります。もし、つわりで気持ちが悪く歯磨きが難しい場合は、歯ブラシのヘッドを小さくしたり、下を向いて歯磨きすると緩和されることがあります。それでもどうしても歯磨きができないという場合は、フッ素入りのマウスウオッシュでお口の中をすすぎましょう。

フッ素入りの歯磨き粉

●赤ちゃんが生まれた後に虫歯予防としてできることは?

虫歯菌に感染しやすい時期は、歯が生えるタイミングに個人差があるため幅がありますが、1才~3才前後の間といわれています。主な原因は、歯がやわらかいこと、お菓子や色々な食べ物を口にする時期であること、1才半ごろから生えはじめる奥歯が複雑な形のため汚れがつきやすいことなどです。そこで赤ちゃんの歯を守るためにできることを4つお伝えします。

歯のある赤ちゃん

1.家族がお口のケアをする
ママだけでなく家族全員のミュータンス菌を減らすことが赤ちゃんへの感染予防につながります。「赤ちゃんの虫歯予防のために妊娠中にできること」でお伝えしたことをご家族全員で行ってください。

2.赤ちゃんの歯ぐきのマッサージをする
唾液は酸性に傾いたお口の中を中性に戻す力があり、歯が溶けるのを守ります。赤ちゃんの歯ぐきをママの指でマッサージすると、唾液の分泌を促すことができるのでおすすめです。これは歯磨き前に赤ちゃんが寝てしまった、というときにも有効。また、歯が生える前から習慣づけておくことで、赤ちゃんが歯ブラシを口に入れることを嫌がらないという効果も期待できます。

3.3才になるまでは砂糖の摂取を控える
砂糖はミュータンス菌が酸を作るための材料。そのため砂糖をお口に入れるほど、虫歯になりやすくなります。ママやパパが子どもに与える食べ物を選ぶということが大切です。

何かを食べている子ども二人

4.食事やおやつの時間や頻度に気をつける
寝る直前に食事をとったり、間食の頻度が多かったりすると、酸性に傾いたお口を中性に戻すための唾液の分泌が追いつかなくなるため、虫歯リスクが上がります。食事時間はもちろん、年齢に応じておやつタイムも時間を決めて、食事やおやつを口にいれない時間を確保しましょう。

最後に

ママの中には「自分の治療はあとまわしでいいけれど、子どもだけは虫歯を予防(治療)したいんです。」とおっしゃる方がいます。ですが、お子さんを虫歯から守るには、まずはママのお口をきれいにする、ということがとっても大切。ぜひママも妊娠中からお口のケアをはじめてみてくださいね。そしてお子さんが生まれたあとは親子でお口ケアを実践していきましょう。

川越じゅん奈

PROFILE

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原宿こども歯科院長
2004年岩手医科大学卒業後、赤ちゃん子供歯科、こばやし歯科クリニック、あーす歯科勤務の後、2015年に原宿こども歯科を開業。怖くない、また来たくなるような場所となることをモットーに、そして「歯医者さんに遊びに行こう!」をテーマに診療を行っている。院内は赤ちゃんの時からご家族で心の負担なく通えるよう幸せ感たっぷりな空間や仕掛け用意するなど、楽しめる歯医者を目指している。

原宿こども歯科HP
https://hk-dental.jp/

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