初めての子育てで、山田愛さんが寝かしつけに四苦八苦した末に、たどりついた心境とは?
上の娘がおっぱいを卒業したのは1才半を過ぎた頃。夜中に度々起きることも減り、朝までまとめて寝られるようになりました。
なにせ初めての育児。ひとつの時期が終わると、育児書を開いては何をどうすればいいのかを確認。どうやらこの頃から生活リズムにメリハリが必要と書いてあります。平均的な睡眠時間、何時に起きてお昼寝はどのくらい、理想の就寝時間とは…。引っ越ししたばかりでママ友が周りにいない私は、手引き通りひとつひとつをこなそうと必死でした。
特に固執してしまったのはお昼寝。改めて思い返すと「なぜにそこまで」と客観的になれるのだけど、初めての育児はそんなことの連続です。
この頃の1日はこんな感じ。以前も書きましたが、パパの出勤時間に合わせて公園へ行くことも多かったので朝は早く5時頃には起床。お散歩へ行って帰宅したら朝ごはん。家で色々遊んでいよいよお昼寝の時間です。
そして問題はここからです。
毎日同じ時刻に寝かせようと必死でした。テレビなんかで目にしてきたお昼寝の光景って、ふんわりとブランケットをかけて小さな背中を優しくトントンと叩くといとも簡単にすやすや眠る…。ところが現実は違っていました。
寝かさないと寝ない。
寝かせようとしてもなかなか寝ないこともしばしば。そんなときは部屋を暗くしたり、抱っこしてゆらゆらうろうろしたり。眠りを導く音楽を探して流したりもしました。早く寝てくれないとお昼ご飯、夕飯、そしてさらに寝る時間に響く。なんて考えるとあせる、あせる。ようやく寝てくれた。と思ったら、今度はなかなか起きない。3時間、4時間。夕方近くなるとまたあせるあせる。
一日が終わっていよいよ夜です。夜もまた平均的な時刻にとらわれた寝かしつけ。夕飯やお風呂に入る時間を変えてみたりもしました。おっぱいがあればスーッと寝てくれていたけれど、きっかけになるものを失って暗闇でトントンを繰り返すけど全然寝てくれない。
1時間が経ち、長いときは2時間。薄眼をあけて隣の娘の様子を伺うと目をぱっちりあけて天井を見上げています。私自身も寝つきが良い方ではないので、それも個性だと冷静に判断できるようになったのはしばらくしてからのことでした。
寝かしつけることにこれほどに苦戦を強いられるなんて想像もしていなかったので、夜が訪れるのがとても不安でした。結局20時頃には寝かせたいと思っていたのに、21時、22時に寝るリズムに。
半年ほどが過ぎたでしょうか。娘を寝かせることにすっかり疲れきってしまったある日。「もうお昼寝しなくても良い時期なのかもしれない」。育児書に書いてある時期より随分早いので成長や発達の妨げになりやしないか、なんて考え過ぎてしまっていましたが、もうそうも言ってられず、思い切ってお昼寝をやめてみました。するといつも無理やりにでも寝かせていた時刻を過ぎても機嫌を損ねることなく楽しく遊んでいる娘。
そして夕飯とお風呂を済ませて寝室へ。あくびを繰り返しうつらうつら、いい感じです。一緒に絵本を読んで電気を消すと、今にも眠りにつきそうな娘。そのときようやく我に返りました。お昼寝をたっぷりして眠くもない娘を毎日無理やり寝かしつけようとしていたのです。娘に対して申し訳なく情けない気持ちになりました。「目の前の子どもに素直に寄り添えばよかったんだ…」、涙が溢れてきました。
ごめんね。ありがとう。そのとき、私の口から自然とでた言葉が
「きょうもいちにちありがとう。おやすみなさい」
すると娘もあとに続いて繰り返しました。
「きょうも、いちにち、ありがとう。おやすみなさい、ママ」
そう言うと目を閉じ気持ち良さそうに眠りました。一見なんてことない、このおやすみの挨拶ですがその日から一度も欠かすことなく今も家族全員でおまじないのように声を揃えて眠りについています。
下の息子は寝つきが大変よく、生まれて2週間ほどから上の子の生活サイクルで寝起きしてくれたおかげでその後の生活リズムも保たれていて、現在も朝5時にはぱっちりと目を覚まし18時には寝室へ。それぞれ30分ほど読書をしてお手洗いを済ませたら、電気を消します。
「きょうも、いちにち、ありがとう。おやすみなさい」